【最新2024年】世界でもっとも貧しい国ランキング・ワースト30 貧困問題の現状と解決への取り組み

荒野でものを運ぶ人々

Photo by Ninno JackJr on Unsplash

世界における貧困国とはどのような国・地域か。ランキングとともに定義や現在の状況、世界への影響、貧困問題に至った背景を解説。また困窮している国を支えるために世界中で行われているアクション、そして個人レベルでの具体的な支援活動についても紹介する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2025.01.12
SOCIETY
編集部オリジナル

もうひとつの居場所を見つけた 地域が、わたしが、豊かになる「旅アカデミー」 ローカル副業入門【現地編】

Promotion

貧困国とは?その定義

あやとりで遊ぶ子ども

Photo by Alex Radelich on Unsplash

貧困とは、国連開発計画(UNDP)の定義より、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど基本的な物・サービスを手に入れられない状態を指す。(※1)

世界中にはさまざまな貧困の形があるが、経済的な指標として、例えば世界銀行では「1日1.90ドル未満で生活すること」を国際貧困ラインとして定義している。(2015年10月に設定されたデータであり、それ以前は「1日1.25ドル未満」であった)(※2)

主な国民が上記のような貧困状態に当てはまる国・地域が一般的に「貧困国」と呼ばれている。そして国の経済状況を示す指標のひとつとしてGDP(国内総生産)の値も用いられる。GDPはその国内で生産された価値の差し引き合計であり、国内の利益、ひいては労働者に対する報酬の源となるため、GDPを国民の人口で割った値=「一人当たりGDP」も国民1人1人の経済指標を表すとされる。(※3)よって「一人当たりのGDP」が低いほど国民の収入も低い傾向があり、これも貧困国の指標のひとつとされる。

世界の貧困の現状 その原因と引き起こされる問題とは

関連記事

2024年 世界の貧困国ランキングワースト30

成層圏

Photo by NASA on Unsplash

世界の経済情勢を観察する機関、国際通貨基金(IMF)では各国の一人当たりGDPについても公表している。(※4)ここで一人当たりGDPの値が低い国・地域が貧困に近い国といえよう。データの存在する国・地域のうちワースト30位までを下記に紹介する。参考までに、日本の一人当たりGDPの値は2024年において32859.112ドル、世界各国の順位付けではベスト39位である。(※5)

順位国・地域名1人あたりのGDP1人当たりGDP成長率
ブルンジ320.636ドル-2%
南スーダン340.986ドル-29%
マラウイ463.733ドル-17%
イエメン464.893ドル-16%
中央アフリカ529.492ドル4%
マダガスカル562.585ドル6%
スーダン606.289ドル-24%
モザンビーク645.329ドル4%
ニジェール697.974ドル12%
10コンゴ共和国702.373ドル5%
11ソマリア771.447ドル13%
12リベリア855.186ドル6%
13シエラレオネ856.315ドル14%
14ナイジェリア877.073ドル-46%
15マリ898.46ドル4%
16ブルキナファソ908.372ドル5%
17ルワンダ985.99ドル-6%
18ガンビア988.881ドル11%
19チャド1012.651ドル3%
20トーゴ1051.216ドル5%
21レソト1061.813ドル3%
22ギニアビサウ1106.242ドル7%
23ミャンマー1179.396ドル-1%
24ウガンダ1186.529ドル6%
25タンザニア1224.368ドル-2%
26ザンビア1226.095ドル-10%
27タジキスタン1275.5ドル8%
28エチオピア1350.401ドル-11%
29ネパール1381.053ドル5%
30東ティモール1453.881ドル-17%

モノカルチャー経済とは? 具体例やメリット、問題点について解説

関連記事

世界の貧困国が抱える問題

子ども

Photo by Shravan K Acharya on Unsplash

貧困国ではいままさに多数の問題に直面している。国民の生命・安全に直結するものが多く、いずれも恒常的な解決が望まれている課題だ。

生活インフラの不足(教育、医療、電力など)

貧困国においては最低限の安全・健康な生活を保つための社会インフラが不足していることが多い。例えば清潔な水が得られない、適切な医療を受けられない、必要な物資が届けられないなどの問題で多数の人々の生命が危機にさらされる。また社会としても、経済活動のための電力不足、教育を受けられないことによる経済状況の悪化がさらなる貧困を招いている。

飢餓と栄養不足の問題

とくに貧困国では、自然災害や政情不安により恒常的な飢餓、それに伴う栄養不足が問題である。飢餓状態にある人々は当然健康・生命の危険にさらされるほか、社会的にも生産性が低下し、また食糧不足は争いの原因ともなりうる。現在も世界の飢餓人口は増加し続けており、安定した食料供給のため、各機関が複雑な要因の解決に努めている。(※6、※7)

社会不安や治安の悪化

貧困地域では安全保障に回せる力が確保しづらい、格差や不平等が発生するといった側面から、大規模な社会不安・治安の悪化が起こりやすい。このような状態にあると弱い立場にある人は安全に暮らすことができず、最低限の生きる権利をも奪われてしまう。(※8)

また人々の間の信頼や自尊心、連帯感も低下し、経済活動の発展も阻害され、貧困からの脱出も遠ざかる。これを是正しなければ、私達も含め同じ世界に暮らす人間同士として対等に尊重しあうことができなくなるだろう。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」のために何ができる? 原因と現状を解説

関連記事

貧困国が生まれる原因と背景

あみを持つ男性

Photo by Hải Thanh on Unsplash

貧困国の発生は突然に始まったことではなく、地理的・歴史的な要因が複雑に絡み合い、主に経済的な困窮を生んだ結果である。むろん単純に理解して解決できるものではないが、その一端とされるものを解説する。

植民地支配の歴史的影響

貧困の続く一部地域では、肥沃な土地があってもそれを目当てに植民地支配され、自国としての発展を妨げられた経緯がある。例えば農産物や鉱物などについて、植民地は資源供給の役割だけを持たされ、利益は支配国にといった形で搾取が行われた。ここで生まれた格差や社会構造が現在も残り続け、未だ貧困から抜け出せない国が存在する。(※9)

気候変動や自然災害

地理的な要因として、気候や自然災害の問題も挙げられる。干ばつ・台風といった季節性の災害から近年の異常な高気温まで、人々や建造物、農作物への影響は大きく経済発展に影響する。また災害が起こりやすいかそうでないかに関わらず、ひとたび大きな災害が起こると貧困国においては社会インフラ等の不足から被害が大きく、それが発展を妨げ貧困を生むという負のスパイラルに陥りやすい。(※10)このような現状も、国際支援を行う際の課題となっている。

政治的不安定や汚職

「貧困国」と一口に言っても国民全員が困窮している訳でなく、富の集中が起こっている場合もある。主に元首や政治家、一部の国民のみが富を独占して余裕のある生活をし、大多数の国民が困窮しているといった状況も散見される。その是正が難しいのは、国民による政治の仕組みが成り立っていなかったり、暴力による不当な制圧が行われていたりと、政治的不安定によるところが大きい。またそのような国では既存の財産を守ろうとするための汚職で格差が継続するうえ、自国内/他国との紛争も起こりやすい。他国からの介入で貧困を解決するためには、綿密かつ長期的な活動が必要となる。(※11)

日本で飢餓?貧困問題の影にある実態と原因・解決策は?

関連記事

世界の貧困国を支える国際的な取り組み

手と砂糖菓子

Photo by Julia Taubitz on Unsplash

貧困国問題は当事国だけでなく、世界的にも影響を及ぼすもので、多くの人が関心を持つ問題でもある。国際的に貧困国を支える取り組みの例を紹介したい。

国連の持続可能な開発目標(SDGs)

SDGs(Sustainable Development Goals)もその一つだ。この目標はあらゆる側面から人間と地球がよりよく生き続けるためのもので、そのなかにはもちろん貧困国およびその国民も含まれる。(※12)目標の第1項としても「地球上のあらゆる貧困をなくす」ことが掲げられており、解決すべき課題として重視される項目だ。(※13)

先進国からのODA(政府開発援助)

日本も含む先進国の政府による援助(ODA)も貧困国支援に寄与している。(※14)その理念は双方にとってよい結果をもたらすことで、長期的な援助、さらに長期的な国際関係を考慮していることも特徴である。活動の種類も多岐にわたり、技術協力や無償援助のみならず再生立て直しのための資金融資などもあり、相手国の発展により自国にも利益となるwin-winの関係づくりなどが行われている。

ODA(政府開発援助)とは? ODA拠出額ランキングや成功事例も紹介

関連記事

国際NGOや慈善団体の活動

貧困支援のために活動するNGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)は多数存在する。(※15)世界的に有名な団体では子どもの命と権利を守ることを理念とするNPO「unicef」(※16)、貧困国に限らず医療支援を行うNGO「国境なき医師団」(※17)などがそれにあたる。また赤十字社の一員である日本赤十字社も、ルワンダへの看護師派遣や給水設備建設などの活動を行っている。(※18)

ユニセフとSDGsの関係は? 関連する取り組みや私たちにできることも解説

関連記事

私たちにできる貧困国支援とは

交流する人々

Photo by Javy Luzania on Unsplash

ここまで紹介した国際支援は非常に大規模なもので、自分たちには関係ないと考える方も多いかもしれない。しかし個人レベルでも、微力ながら確実に支援の後押しができる。

寄付やクラウドファンディング

先に述べたNPO法人などを通じて支援物資を送ったり、団体の活動資金に充てる寄付金を送ったりできる。近年ではクラウドファンディングを通じて寄付金を募り、活動報告を順次報告することで、さらに関心を高めてもらう取り組みも増えている。(※19)

寄付と寄附の違いとは? 意味やメリット・寄付の方法を解説

関連記事

公平貿易製品(フェアトレード)の購入

これまで貧困国と先進国の貿易においては、国家間の圧力で不当な値下げを強いられたり、既存の競争力で後進国の不利につながる市場支配をされたりなど、国民の力の及ばないところで不利益を被ってきた。その結果、現在でも資源採取や生産過程で非常に安い賃金や危険な現場での作業を強いられる労働者は少なくない。それを是正するために始められたのが一般的にも知られている「フェアトレード」だ。

国際的な企業間での貿易において、いわゆる買い叩きがないこと、利益が労働者に還元されていること、生産地の環境破壊を防ぐことなどの基準を満たしたものは「国際フェアトレード認証ラベル」を表示できる。(※20)このような商品をすすんで購入することにより、フェアトレードの理念を後押しできるのだ。これは「自己責任」や「援助してあげる」といった考えを排し、対等な取引として対価を払い買い支えることでもある。(※21)

フェアトレードとは 仕組み・基準・認証をわかりやすく解説

関連記事

教育支援やボランティア活動

現地での活動として、さまざまな技術を持ったボランティア参加者が活躍している。日本では代表的な「JICA海外協力隊」もそのひとつだ。(※22)もちろん外国での活動にあたり家族の理解・協力や派遣前の訓練なども必要であるため、興味のある方は良く調べ、自分の考えをしっかり持ったうえで臨もう。また現地に行かなくてもできるボランティアのひとつとして、オンライン映像授業での教育支援も存在する。(※23)技術革新や支援の広がりに伴って、活動の種類も多様化しているのだ。

同じ世界に存在している貧困国

水辺で働く男性

Photo by Victor on Unsplash

貧困国・途上国といえば、授業で習って知っている程度の認識かもしれない。しかし距離は遠くとも同じ世界に生き、いつか出会うかもしれない人々についての話だ。自分たちとは遠い場所のことと思わずに、同じ世界の人間として捉えていきたい問題のひとつである。

※掲載している情報は、2025年1月12日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends