気候変動枠組条約とは? 主要な取り組み、仕組みや各国の役割を解説

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全世界で気温上昇や干ばつ、大雨などといった気候変動が起きている。この気候変動に対応する国際的な枠組みが「気候変動枠組条約」だ。この記事では、気候変動枠組条約の主要な取り組み、仕組みや各国の役割などを解説する。

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2024.11.16
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気候変動枠組条約(UNFCCC)とは

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「気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)」は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑え、気候変動の影響を軽減するために1992年に採択された国際的な気候変動対策の条約である。

国連の主導で各国が協力し合い、地球規模の気候問題に取り組むための枠組みで、1994年に発効した。この条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されている。(※1)

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策定の経緯と歴史的背景

1970年代から地球温暖化が科学者のなかで注目され始め、1985年にオーストリアで開催されたフィラハ会議を契機に国際的に危機感が広がり、深刻な問題として認識されるようになった。1988年に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が設立され、地球温暖化の科学的な根拠や影響について報告書を発表し、気候変動の現実がより明確に理解されるようになっていった。

こうした背景を受け、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」において、気候変動枠組条約が採択された。(※2)

署名国と参加国の数

気候変動枠組条約の署名国は、1992年6月の国連環境開発会議(地球サミット)で155か国。参加国は2022年10月時点で198か国・機関が参加している。おもなメンバー国には、アメリカ、日本、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランド、アイスランド、ロシア、 ウクライナなどがある。(※3、※4、※5)

気候変動対策が必要な理由

近年、地球温暖化により異常気象が地球規模で起きている。その例として、アメリカ北部・中央部での平均気温平年差が−12℃と低温になっていること、日本での日降水量が922.5mmにおよぶこと、北極での海氷面積が平均比で32.2%減少していること、南米での干ばつにより農業被害額が59億USDにものぼることなどがある。

これらの原因となっているのが温室効果ガスの排出だ。温室効果ガスのなかでも代表的なものが二酸化炭素で、人為起源の発生源の二酸化炭素排出量は年々増加傾向にある。こうした気候変動に対応するために、温室効果ガスの排出削減といった対策が必要なのだ。(※6)

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気候変動枠組条約の主要な取り組み

international conference

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1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されている。条約成立から今日までの主要な会議(COPなど)を解説しよう。

年次会議(COP)の開催

気候変動枠組条約の年次会議であるCOPのはじまりは、1992年6月の国連環境開発会議(地球サミット)である。このサミットで国連気候変動枠組条約が採択され、1994年に発効された。条約が発効した翌年となる1995年から、COPは毎年開催されている。(※7)

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京都議定書

1997年に京都で開催されたCOP3で採択されたのが「京都議定書」だ。これは、温室効果ガスの排出削減に関する国際協定である。京都議定書では、2012年までに先進国は排出量を削減する目標を設定することが求められた。(※7)

パリ協定

2015年にパリで開催されたCOP21では、「パリ協定」が採択された。この協定は京都議定書に代わるもので、先進国、途上国の区別なく、すべての国が温室効果ガス排出削減などの気候変動の取り組みに参加する枠組みだ。具体的な目標としては、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く、1.5℃に抑えるよう努力することとなっている。(※1、※7)

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気候変動枠組条約の仕組みと各国の役割

greenhouse gas

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ここでは、条約の仕組みと各国の役割について説明する。

条約参加国の義務

参加国は、温室効果ガスの排出量を抑制し、気候変動の進行を防ぐための政策を立案して実行する義務がある。また、実行した政策や温室効果ガスの排出量の実績を報告することも義務となっている。(※3)

先進国と開発途上国の役割分担の違い

先進国については、上記に加えて技術移転を行う開発途上国への資金供与や技術移転の推進などの追加義務が課せられている。開発途上国は、前述した条約参加国の義務を果たさなければならない。(※3)

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日本の気候変動対策の現状

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日本の気候変動対策の現状について解説する。

再生可能エネルギーの導入拡大

日本における再生可能エネルギーの導入は、2012年に始まったFIT制度(固定価格買取制度)以降、大幅に増加している。2011年度の10.4%から2022年度には21.7%に拡大し、2023年12月末時点でFIT制度開始後に新たに運転を開始した設備は、約7,700万kW(認定容量全体の約78%)にのぼる。(※8)

エネルギー効率の改善

エネルギー効率が向上すれば、温室効果ガスの排出量の削減につながる。日本におけるエネルギー効率は、1973年度の70PJ/兆円から、2020年度には34PJ/兆円に半減し、大幅に改善している。(※9)

交通・物流(運輸部門)の低炭素化

交通・物流(運輸部門)は、2030年度までに二酸化炭素排出量を2013年度比の35%削減を目標としてる。この目標を達成するために、政府はトップランナー制度に基づく燃費基準やグリーン税制を導入した。その結果、運輸部門における二酸化炭素排出量は、2001年度をピークに減少傾向にある。とくに2013年度以降は、ハイブリッド自動車や電気自動車の普及拡大に伴う燃費の改善により、旅客部門における自動車の二酸化炭素排出量は減少している。(※10)

森林吸収源対策

森林吸収源対策とは、森林や公園緑地などの吸収源を増やす取り組みであり、気候変動対策のひとつだ。森林整備の実施や木材利用の推進などにより、2021年度の森林等からの吸収量は4,760万トンで、前年度比3.6%増加している。(※11、※12)

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気候変動対策のためにできること

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気候変動対策のために、わたしたちにできることを説明する。

自動車ではなく公共交通機関を利用する

自転車や徒歩での移動や、公共交通機関を利用し、自動車による温室効果ガスを減らすように努めよう。また、電気自動車(EV)やハイブリッド車への切り替えも効果的である。(※13)

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再生可能エネルギーを扱う電力会社に切り替える

家庭で使う電力を、太陽光発電や風力エネルギーなど、再生可能エネルギーを扱う電力会社に切り替えることも気候変動対策になる。また電力消費を抑えるため、エネルギー効率の高い家電やLED照明に切り替える、節電を心がけるなどで、二酸化炭素排出量を削減できる。(※13)

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地産地消を心がける

地元で生産された食品を購入するようにすれば、食料の生産、加工、梱包、輸送のために使った資源やエネルギーを削減できる。さらに季節の食材を選ぶことで、環境負荷の少ない食生活が実現する。(※13)

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ごみを減らす工夫をする

リデュース、リユース、リサイクルの3Rを徹底することで、ごみを減らし資源の無駄を削減することも大切だ。とくにプラスチック製品を控え、再利用可能なものを選ぶようにしよう。

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国際的な気候変動対策である「気候変動枠組条約」

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Photo by Andreas Gücklhorn on Unsplash

気候変動枠組条約は、地球環境を守るための国際協調の礎である。参加する国々には、温室効果ガスの排出を抑え、気候変動の影響を緩和するための義務が定められている。

パリ協定で掲げられた、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より低く、1.5℃に抑えるよう努力することを達成するためにも、再生可能エネルギーを利用する、ごみを減らすなど、わたしたち自身でできることに取り組もう。

※掲載している情報は、2024年11月16日時点のものです。

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