COP21とは? パリ協定との関係や具体的な内容をわかりやすく解説

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COPはグローバルな環境問題に深くかかわり、問題解決のためのイニシアチブが期待される存在だ。とくにCOP21は京都議定書に代わるパリ協定の採択にいたった重要な機会でもあった。本記事では、COP21の内容や京都議定書との関係、パリ協定などについてわかりやすく解説する。

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2022.10.31
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COP21とは

COP21とは、パリ会議とも呼ばれている。COPは気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties)であり、COP21は21回目のCOPにあたる。2015年11月30日から12月13日までフランス・パリで開催され、世界各国の首脳をはじめとした機関代表者が出席し、活発な議論を交わした。(※1)

COP21では、2020年以降の温暖化対策における国際的な枠組み・パリ協定が採択された。パリ協定は京都議定書に代わる新たな枠組みとして重要な意味を持つ。環境問題、とくに温暖化対策について世界各国が取り組むべきアクションの指針になる。

パリ協定以外にも環境に関する多くのアジェンダが取り上げられた。気候資金、緑の気候基金、長期目標に関する2013~2015年のレビュー、適応委員会など、ほかにも複数ある。環境問題を解決するために以前からおこなわれていたアジェンダである。

しかしやはりCOP21のコアはパリ協定だ。グローバルレベルでの会合となるCOPにおいて、パリ協定は歴史的な採択とも言える。気候変動について世界的なイニシアチブをとるCOPとはどのような存在なのだろうか。

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そもそもCOPとは

正式名称と読み方

COPの正式名称は「気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties)」。それぞれの頭文字を取り、COPと表記するようになった。読み方は「コップ」である。COPに続く数字が開催回数を示している。たとえば「COP21」なら「21回目のCOP」だ。

なお、「COP」は本来「締約国会議」のみを意味する頭文字だ。しかし気候変動についての情報発信が目立つ傾向があるため、一部では和訳のように「気候変動枠組条約」といった文言が入るケースもある。実際は気候変動だけではなく、砂漠化問題や生物多様性にかかわる問題など、広範囲にわたる環境問題を取り上げる会議である。

いつ・どこで開催されるか

COPは1995年、ドイツのベルリンで初めて開催された。1994年発効の「国連気候変動枠組条約」において決定された「発効後1年以内に締約国会議の1回目を開催する」という条約を受けてのことである。

COP1では2000年以降の温室効果ガス排出量の目標設定の合意や、COP3までに策定するべき事案について取りまとめられた。

目的

COPは気候変動枠組条約の最高意思決定機関として発足した。大気中の温室効果ガスの濃度を安定させるため、年に一度、条約締約国の代表者がつどい、国際枠組みについてディスカッションや決定をおこなう。

加盟国

気候変動枠組条約締約国の数は、2021年1月13日の時点でパリ協定を批准している189カ国が該当する。(※2)

過去に開催された主なCOP

過去に開催されたCOPのなかには大きな動きが見えたものもある。

1997年のCOP3では気候変動に関する国連枠組条約として京都議定書が採択された。パリ協定の前身とも言える条約である。(※3)

2009年開催のCOP15では「ポスト京都議定書」採択について各国の足並みがそろわず、決裂回避のために「コペンハーゲン合意」を採択することになった。気温上昇の抑制、開発途上国を含めた削減行動についての合意である。(※4)

2021年にはCOP26が開催。「グラスゴー気候合意」が採択される。カーボンニュートラルへの言及のほか、石炭火力発電のフェーズダウン、化石燃料補助金からのフェーズアウト推進などが盛り込まれた。(※5)

また、COP26開催前、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)事務局では世界的な脱炭素に向けてRace to Zero(レース・トゥ・ゼロ)キャンペーンを展開した。

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京都議定書とパリ協定

パリ協定は京都議定書に代わる新たな国際的な枠組みだ。2020年以降の地球の温暖化対策として採択にいたった。

京都議定書は1997年のCOP3で採択された枠組みである。気候変動枠組を具体的に煮詰め、参加国のなかの先進国に対して温室効果ガス排出量の削減を義務付ける初の世界的な取り決めだった。

しかし開発途上国には削減を義務付けないとしていたため、先進国が不満を抱くという課題が生まれた。それがもとで2001年にアメリカが京都議定書を離脱。日本も2013年から2020年の間は不参加という姿勢を取ることになる。

後継となるパリ協定においては、京都議定書で生まれた課題の是正について努力するほか、京都議定書にはなかった制度を活用し、世界一体となって温暖化対策を進められるよう強いイニシアチブを取ることが期待されている。

主要国の温室効果ガス排出削減目標

現在、2030年までの主要国の温室効果ガス排出削減目標は以下のとおりである。(※6)

国名排出削減目標
日本46%(2013年比)
アメリカ50%~52%(2005年比)
EU55%以上(1990年比)
中国60%~65%(2005年比)
インド45%(2005年比)

アメリカとパリ協定

パリ協定をめぐり、アメリカでは少なからぬ混乱が起きた。当時のトランプ政権がパリ協定は自国民への負担が大きく、また、他国と不公平であると表明し、2020年11月に離脱を選択した。

しかしアメリカの離脱は国内外から懸念や非難の声を集めることになる。その後樹立したバイデン政権はパリ協定の重要性を肯定2021年2月、パリ協定に復帰した。以降パリ協定のもと、アメリカは積極的に温暖化対策を推し進めている。

COP21・パリ協定の注目ポイント

COP21で採択されたパリ協定は多くの項目から成る枠組みだが、なかでも注目するべきポイントが3つある。

1.5℃目標の策定

産業革命以前と比較し、世界の平均気温の上昇を2℃より低く保ち、かつ、1.5℃に抑えることを目標としている。なかでも温室効果ガスの排出量と(森林・植林などによる)吸収量を均衡させるカーボンニュートラルは、効果が期待できるとしてフォーカスされている。

削減量の可視化

温室効果ガスの排出量削減は脱炭素社会の実現に不可欠である。とくにカーボンニュートラルは排出した温室効果ガスとそれを吸収する森林のバランスが重要だ。目標達成のために削減量を可視化し、正確に計測しなくてはならない。

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途上国支援

開発途上国に対し、先進国は資金の提供をおこなう。途上国も自主的に資金を提供する。二国間クレジットの活用も効果が期待される。

パリ協定の問題点・課題

京都議定書の課題の是正を含めたパリ協定にも、問題点・課題がある。

実効性への懸念

各国の削減目標の達成が義務化されておらず、実効性において問題が出る可能性がある。達成のために資金や技術を投入して努力する国があるいっぽう、国力の問題で達成が困難な国があらわれるかもしれない。足並みがそろわないことに不満を抱く層が出る懸念がある。

資金拠出割合の問題

先進国は資金拠出を求められるが、途上国はあくまで自主性による拠出決定でいいとされている。先進国の経済的な負担が大きくなりかねない。アメリカ・トランプ政権がパリ協定を離脱した理由の一端でもある。

温度目標と実現可能性の剥離

パリ協定は世界の平均気温の上昇を産業革命以前より2℃以内に抑え、さらに1.5℃以内を目指すという温度目標を掲げている。しかしそのために必要な削減量は、2030年に各国が達成するべきとして提出した目標と150億tもの差が予想されているのである。

この差を埋めることは技術革新を進めても容易ではないという見方も出ており、各国の積極的なイノベーション支援とより緊密な国際的連携が必要になる。2021年に開催されたCOP26では、1.5℃に抑える努力を追求するとした合意文書が採択された。パリ協定で採択された合意内容から、一歩前進したかたちだ。

また、超富裕層の二酸化炭素排出量がパリ協定の達成に影響を与える可能性がある。以下の記事で詳しく解説している。

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企業の取り組み

COP21のパリ協定を受け、独自の取り組みによって目標達成に貢献しはじめた企業は多い。そのいくつかを紹介する。

エルメス(フランス)

フランスのラグジュアリーブランド・エルメスは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前の1.5℃に抑える目標のため、温室効果ガス排出量の削減に着手した。このアクションはSBT(Science Based Targets・科学的根拠に基づく目標)でパリ協定の目標達成手段に整合すると承認された。

エルメスが1.5℃目標へのコミットを表明 SBTイニシアチブの承認を取得

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アドビ(アメリカ)

アメリカのテクノロジーカンパニー・アドビは、2035年までに100%再生可能エネルギーを使用した業務態勢の実現を目指している。エルメスと同じくSBTの承認を受けた。また、自社での利用のみではなく、誰もが100%再生可能エネルギーの購入が可能なシステムの構築を計画している。(※7)

BMW(ドイツ)

ドイツの自動車メーカー・BMWは、燃料電池技術「ゼロ・エミッション・モビリティ」に着手した。従来の電気自動車の電源を、再生可能エネルギーを用いた電池でまかなうことにより、化石燃料からの脱却をはかる。

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COP21とパリ協定 脱炭素社会の実現を目指して

COP21で採択されたパリ協定は、地球温暖化問題の解決になくてはならない国際的な枠組みだ。京都議定書に続き、批准国すべてが同じ目標に向かって歩むための重要な指針になっている。

パリ協定自体に課題が残るとはいえ、各国や企業の取り組みはすでにはじまっている。2030年の目標達成を目指し、今後の動向に期待したい。

※掲載している情報は、2022年10月31日時点のものです。

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