超富裕層1%のCO2排出量は1.5℃目標値の30倍 パリ協定達成は裕福な層しだいか

CO2排出量が多いといわれる富裕層

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NGO団体「オックスファム」の調査結果によると、2030年には世界の上位1%の超富裕層は、一人当たり年間70tの二酸化炭素を排出する。これはパリ協定達成に必要な一人当たりの排出目標の30倍におよぶ。パリ協定の目標を達成するためには、富裕層の二酸化炭素削減が鍵となりそうだ。

染谷優衣

フリーランスライター

YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。

2021.11.17
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超富裕層1%の二酸化炭素排出量は、世界全体の16%を占める

プライベートジェット機

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世界の貧困や不平等を根絶するため活動を行うNGO団体「オックスファム(Oxfam)」は2021年11月、環境問題対策の難しさについて改めて考えさせられる調査結果を発表した。

世界の上位1%にあたる超富裕層の一人当たりの二酸化炭素排出量が2030年には、パリ協定の目標達成に必要な一人当たりの排出目標の30倍になるというものだ。

産業革命前と比較して世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるという、パリ協定で策定された目標。これを達成するためには、2030年までに一人当たりの年間二酸化炭素排出量を2.3tにしなければならない。これは、現在の排出量のおよそ半分に相当する。

今回の調査結果によると、1990年における上位1%の超富裕層の二酸化炭素排出量は、世界の総排出量の13%を占めていた。だが、この層が現在と同じような生活スタイルを続ければ、2030年には一人当たり年間70tの二酸化炭素を排出することになる。これは世界の総排出量の16%を占める計算だ。

また上位10%の富裕層も、上位1%の層ほどではないものの、多くの二酸化炭素を排出している。2030年の一人当たりの二酸化炭素排出量は、パリ協定の目標達成に必要な排出量の10倍になる。

富裕層の二酸化炭素排出量が多い原因として、プライベートジェットやメガヨット、宇宙旅行などの「贅沢な二酸化炭素消費」が考えられる。

事実、2021年11月1日から行われた国連の気候変動対策の会議「COP26」に参加した各国のリーダーが、専用機を使ったことで批判を浴びた。英ボリス・ジョンソン首相は政府専用機を、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾスはプライベートジェットを使って、会場を訪れたという。

また2021年初めには、ベゾスが自身の宇宙開発企業が開発したロケット「ニュー・シェパード」に乗り宇宙旅行へ行っている。11分間の宇宙旅行で排出される二酸化炭素は少なくとも75tに達し、これは地球上でもっとも貧しい10億人が生涯で排出する量を超える。科学者たちは、このような「贅沢な二酸化炭素消費」を抑制するよう政府に求めている。

一方、世界の人口の下位50%に当たる最貧困層は、2030年の一人当たりの二酸化炭素排出量は1t。パリ協定の目標達成に必要な数値の半分以下だ。

パリ協定達成の鍵は、上位10%の富裕層のCO2削減

富裕層はプライベートジェットなどを利用するためCO2排出量が多い

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欧州環境政策研究所(IEEP)の低二酸化炭素・循環型経済プログラムの責任者であるティム・ゴアは、次のように述べている。「この調査結果からわかるのは、1.5℃の目標を達成するための闘いが、世界の富裕層の過剰な排出によって妨げられていることだ」

世界でもっとも裕福な上位10%の層が、二酸化炭素の排出量を制限するだけで、2030年までの1.5℃という目標を達成できる可能性もあるという。

ゴアは、2030年までの二酸化炭素排出量の削減を達成するために、各国政府は格差問題にも取り組むべきと述べている。

「裕福で二酸化炭素排出量の多い層に対象を絞り、対策を講じる必要がある。これには2つの対策がある。1つは、メガヨット、プライベートジェット、宇宙旅行などの贅沢な二酸化炭素消費を抑制する対策。もう1つは、化石燃料産業の株式保有など、気候変動に影響を与える投資を抑制する対策だ」

※掲載している情報は、2021年11月17日時点のものです。

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