プロが本気でおすすめする「エシカルファッション」ブランドBEST6

おすすめエシカルファッション」ブランド

Photo by DEDICATED.

エシカルファッションとは、地球環境や人、社会にやさしいファッション。『ELEMINIST』のエシカルディレクター中川原圭子が本気でおすすめする日本&海外のエシカルブランドを厳選。エシカルファッションを選ぶ基準やメリット・デメリット、エシカルファッションを楽しむコツを紹介する。

監修者: Keiko Nakagawara

ELEMINIST エシカルディレクター

何でも手作りしてくれた母の影響で、自身も2児の母として何事も自分で一度咀嚼し取り入れるライフスタイルを長年実践。「サステナブル・エシカル・SDGs」、難しい横文字を「暮らし」…

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2023.02.08
SOCIETY
学び

エシカルマーケティングとは? メリットや実例をわかりやすく紹介

目次

エシカルファッションとは

エシカルファッションのブランドを選ぶ基準は

エシカルファッションとは、人や社会、地球環境、地域に配慮された商品やサービスを選ぶエシカル消費」に基づいて製造・流通・販売されるファッションのこと。

世界的に注目が集まる「エシカルファッション」は「倫理的・道徳的なファッション」と直訳できるが、わかりやすく言うと「地球環境や人、社会にやさしいファッション」といえる。

エシカルファッションが重視される背景には、世界の名だたるファッションブランドの縫製工場が入っていたバングラデシュのビルが崩壊した「ラナプラザの悲劇」のような事件がある。従業員たちの劣悪な労働環境やファッション業界のゆがんだ構造がクローズアップされるようになったのだ。

エシカルファッションを選ぶポイント・基準

大量生産・大量消費型ファッションのような低価格な衣類は、環境汚染や劣悪な労働環境、生物多様性の喪失などさまざまな問題を引き起こしてきた。近年は環境意識の高まりもあり、世界のファッション業界はエシカルな方向へ舵を切っている。

エシカルやサステナブルに詳しい『ELEMINIST』のエシカルディレクター中川原圭子は、エシカルファッションを選ぶ基準について、次の4つのポイントをすすめている。

また「ファッションは1回でも多く着て楽しむ」ことが大前提。そのうえで、年齢・ライフスタイルにあわせて優先するべきポイントを決めてファッションを選ぶといいそう。

1. 着る人の肌に合った素材か?

肌がデリケートな方や敏感肌の方にとって、素材選びは肌ざわりを左右する重要な要素のひとつ。エシカルファッションブランドの多くは、オーガニックコットンやリネンなどの天然素材を使用している。

これらの素材は、安価で大量に生産が可能な化学繊維と比べて調達まで時間がかかるが、科学的に加工しなくても天然繊維自体が保湿性や吸湿性などを備えている。また、直接肌に触れる肌着に関しては、とくに天然繊維の素材を着ることで肌との摩擦・静電気を抑えることができる。エシカルに調達された素材は、そのまま肌にも心地いい素材と言える。

2. 環境に配慮&フェアトレードな商品か?

生産効率をアップするために、大量の農薬を使用して環境破壊につながるケースが多い。さらに、安さが売りであるファストファッションでは、開発途上国の生産者や工場労働者にしわ寄せがいきやすい。フェアトレードは、そのように不当な対価を押し付けるのではなく、適正な価格で原材料や商品を購入すること。彼らの労働環境が守られれば、大量の農薬が使われるようなことも防げるだろう。

3. トレーサビリティーが確保されているか?

トレーサビリティーの確保とは、「いつ・どこで・誰が・どのようにつくったか」といった製造のプロセスを“見える化”すること。原材料、生産場所、生産者、販売、廃棄まですべての情報が明らかになっていることは、サステナブルのサインそのもの。透明性の高い企業ブランドであれば、より信頼感をもっておしゃれを楽しめるはず。

4. 創業者やデザイナーが社会課題と向き合っているか?

原料の栽培時には大量の農薬が使われ、生産過程では繊維廃棄物が出るほか、人権問題など、ファッション産業の闇は深い。そのため、ブランドの創業者やデザイナーが、環境問題や人権問題に真摯に向き合っているのかも、選ぶ基準のひとつとなる。短期的な利益を追い求めるだけではなく、ファッションを通して社会課題の解決に取り組んでいるかという視点も大切にしたい。

エシカル初心者の方へ 知っておきたい「洋服選びの基準」を教えます

関連記事

エシカルディレクターが本気でおすすめる日本・海外のブランド6つ

ここからは、エシカルディレクター中川原圭子が惚れた日本・海外のエシカルファッションブランド6つについて、「コンテンポラリー」「ナチュラル」「アウトドア」のジャンルごとに紹介する。なおブランド選定では、上述のポイントを考慮している。

CFCL <コンテンポラリー・日本ブランド>

「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」のデザイナーとして約6年間経験を積んだ高橋悠介氏が、2020年に設立した「CFCL」。3Dコンピューター・ニッティングを中核に据え、トレンドに左右されないファッションを追求している、日本でも有数のエシカルであることに注力したファッションブランドだ。

ウール100%の商品以外は、リサイクル成分に非認証物が混じっていないか検証するGRS認証を取得した再生素材を採用。認証素材の使用率が66.34%であるほか、量産で使用したすべての素材とその取り組みを開示している。

また、機能性だけなく、地球環境に配慮した製品づくりを大切にしていることも特徴。地域社会と連携し国産素材を選択するほか、サプライチェーンの透明性を高める取り組みを推進している。

さらに日本のファッション・アパレル業界では初となる、温室効果ガス排出の影響を認識するためにライフサイクルアセスメント(LCA)を実施。2030年までに排出量の実質ゼロの実現を目指している。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「地球環境と基本的人権に責任があると認定された素材の使用率を計算したり、季節商品の残りの糸を使用した限定版のアップサイクル商品を提供したり、本格的なエシカルな取り組みが素晴らしい! まだ日本の企業では少ないですが、社会や環境に配慮した企業に認定されるBcorp認証も申請済。今後の活動にも注目したいブランドです」

B Corp(B Corporation)とは? 取得方法とメリット・認証を受けた企業

関連記事

takes. <ナチュラル・日本ブランド>

すべてのアイテムに竹素材100%のTAKEFU(竹布)を使用する「takes.(テイクス)」。吸水性、保温性、抗菌性に優れるこの天然素材は、もともとは医療用ガーゼとして開発された背景がある。素肌に心地よく、夏にはひんやりと感じ、冬には暖かく一年を通して快適に着用できる。おまけにオーガニックなので地球環境にもやさしい。

また、TAKEFU以外でもオーガニック素材を採用。アパレル業界では一般的に、縫製にスパン糸やポリエステル糸が多く使われるなか、綿糸をこだわって使っている。華美な服ではないが、年齢や性別を問わず、時代を超えたベーシックなデザインを提供している。

さらに同ブランドは、製造から配送、販売と製品製造に至るすべてのプロセスで、プラスチック素材をできる限り使わないポリシーだ。製品情報は環境に配慮したインクで印字され、役目を終えたシャツは地球に還る。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「子どもも私自身も肌が弱く、化学繊維がこすれて発生する静電気などに悩まされていたときにTAKEFUに出合い、それ以来ずっと愛用しています。TAKEFUを使ったシンプルながらスタイリッシュなデザインが大好き。それに、縫い糸ひとつまで天然素材へこだわっているところも信頼できますよね。最終的には“土に還る”洋服で、安心して着られます」

Frank&Eileen <ナチュラル・海外ブランド>

2009年に米国カリフォルニアで誕生したシャツブランド「Frank&Eileen(フランク&アイリーン)」。イタリアの老舗生地メーカー、アルビニ社とのパートナーシップにより、「Oeko-Tex®(エコテックス®)standard100」のグローバル認証を満たす生地を採用している。この生地は有害な化学物質がないほか、トレーサビリティも確立。生地の原料となる種までさかのぼることが可能という徹底ぶりだ。

また創業当時から持続可能なビジネスを目指しており、アメリカのファッションブランドとしては珍しい、外部からの投資や支援を受けない100%自社所有の経営方針を貫いている。売上増加ばかりに集中するのではなく、従業員の雇用やパートナーシップ締結にも長期的な視点を忘れていない。

さらに同ブランドは、創設者のオードリー・マクローリン氏の起業家精神が息づき、女性の社会での活躍や人材育成にも注力している企業として知られている。マネージメントは100%女性で構成され、育児中の母親が働きやすい労働環境を整えている。

さらに未来の女性リーダー育成のために、今後10年間で1,000万ドル(約12億円以上)を寄付する「Giving Pledge」プロジェクトを立ち上げるなど、労働環境への配慮や、社会貢献にも熱心に取り組んでいる。このような取り組みが評価され、サステナブルな企業に与えられるB Corp認証を取得している。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「女性の雇用に関して積極的に改善を行っているのが特徴です。女性の社会進出を後押しする企業理念と、パートナー企業と信頼関係をもってつくられるプロダクトは、どれも長く安心して楽しめるデザインです」

DEDICATED. <ナチュラル・海外ブランド>

「環境配慮型のファッションは、色・柄・デザインの楽しさに欠けている」というブランド設立者ヨハン・グラフナー氏の想いから2006年に誕生した、スウェーデン発のストリートブランド「DEDICATED.(デディケイテッド)」。

主な原料は、土壌の二酸化炭素吸収を高めるオーガニックコットン、土地への負担が大幅に小さいリヨセル、ペットボトルをリサイクルし紡績したポリエステル糸とポリエステル中わた。いずれも環境に配慮した素材を厳選して使用している。

オーガニックコットンはGOTS認証、リサイクルポリエステルはGRS認証を、サプライチェーンの各段階で取得。「生産者として責任あるものづくりを広めたい」と言うとおり、縫製工場名などがオンラインストア上で公開し、トレーサビリティと透明性を徹底している。

日本ラインは2021年よりスタート。スウェーデン本社の定める生産や認証ルールにもとづいて、日本人の感性に合うデザインや原材料、カッティングを採用。高品質でオリジナリティのあるファッションを、スウェーデンの規格と遜色ないサステナブルな生産方法で紡ぎ出している。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「英語で『~に身を捧げた/専門の』の意味を持つ『DEDICATED.』。産業の持続可能性に身を捧げて注力するという誓いを表したそうで、ブランド名からも強い意思が感じられますよね。日本ラインでもそうした“意思”を纏うことのできるデザインが発売されています。お洒落とアクションを共にできるブランドだと思います」

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)<アウトドア・海外ブランド>

1966年の創業当初より、自然環境保全に取り組んできた「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」。1999年には、スポーツアパレル業界初のISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得し、環境破壊や気候変動との関わりを考えながら、サステナブルな社会の実現に取り組んでいる。

その取り組みのひとつが、楽しみながら地球の緑を守る「GREEN IS GOOD」。この環境プログラムには、不要になった服を回収してアップサイクルする「GREEN CYCLE」、環境負荷の低い素材を採用する「GREEN MATERIAL」、長く使えるものづくりをサポートする「GREEN MIND」を3本柱に展開している。

例えばGREEN CYCLEでは、ザ・ノース・フェイスやその親会社のゴールドウイン以外のブランドのものや、アイテムのコンディションも問わず回収(一部は除外)。ポリエステルとナイロンの服は原材料へ戻し、ダウンウエアは新たなダウン製品に生まれ変わる。

こうした環境保護活動だけではなく、大洪水や地震による被災地支援から、アウトドアブランドならではの知見を生かした地域振興まで幅広い活動を行っている。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「THE NORTH FACEといえば、アウトドアからタウンにも溶け込むスマートなデザインも印象的ですが、近年マタニティウェアにも力を入れています。雨の日に赤ちゃんを抱っこしながら羽織れる男女兼用のポンチョがあるほか、マタニティパンツのお腹の部分を産後に赤ちゃん用おもちゃにアップサイクルするサービスも。自然への取り組みはもとより、こうしたプロダクトの発表には嬉しくなりますね」

パタゴニア <アウトドア・海外ブランド>

独自に環境問題に取り組み、アウトドア業界における環境への取り組みを牽引してきた「パタゴニア(Patagonia)」。SDGsの重要性が声高に叫ばれる前から、オーガニックコトン100%やリサイクル素材の採用、フェアトレード縫製の採用など、環境や労働者に配慮した取り組みを行っている。

現在では、環境負荷が少ない染料の開発や、廃棄物を新たな原料に変えるケミカルリサイクルの取り組みを実施。さらにオーガニックの最高水準であるリジェネラティブ・オーガニック認証(RO認証)を管理する新しい非営利団体を創設し、業界のスタンダードを刷新し続ける。

また同ブランドでは、世界中にある農場・工場など、すべてのサプライチェーンの情報を開示。そこで働く人々に公正かつ合法に賃金を支払い、安全に労働できる環境にあるか確認する社会的責任についても明言。劣悪な環境下で働く人々がいるアパレル業界の問題に、明確な姿勢を示している。

こうした持続可能性をビジネスの成功の中心に据えた徹底的な手法が評価されて、2019年には国連の最上位環境賞である「地球大賞」を受賞している。

エシカルディレクター中川原が惚れたポイント
「ブランドサイトの各所にこめられた“プロダクトを通して環境・社会課題を解決したい”という想いに、強く共感します。これはぜひ一度サイトを訪れて見ていただきたいです。さらに、穴や破れなどが生じた場合にリペアサービスまで行われているのも、大きなポイント。サイズアウトが早い子ども服のタグには、お下がりに回せるよう大きめの名前欄が設けられているのも、嬉しい工夫です。」

エシカルファッションを楽しむアイデア

DIY、リメイクなど、エシカルファッションを楽しむアイデア

Photo by Merve Sehirli Nasir on Unsplash

エシカルファッションを楽しむ方法は、購入するだけにとどまらない。リメイクやリサイクルなどセカンドハンドなど、エシカルファッションを手軽に取り入れるアイデアを紹介しよう。

DIY・リメイクする

クローゼットに眠る古いデザインや、サイズが合わなくなった洋服は、自分好みリメイクしてより長く着られるようアレンジしてみよう。

例えば、せっかく長く大切にしようと手に取ったエシカルな一着にシミができたときは、染め直しがおすすめ。新しい色に生まれ変わり、シミや黄変(生地が黄色に変色すること)が目立たなくなるため、気分を新たにお気に入りを楽しめる。

また、ボタンを変えるだけでも、洋服の雰囲気ががらっと変わるもの。より愛着を持って長く着続けられるだろう。

リサイクル・リセールを利用する

賢くお得にエシカルファッションを楽しみたい方は、リサイクルやリセールの活用もおすすめ。リサイクルはその名の通り、不要な衣料品や装飾品の再利用のこと。リセールとは、一度誰かが着た衣類の再販や転売を意味する。

最近は高級ブランドなどもリセール事業を開始。型落ちや廃盤商品、デザイナーズ服など、正規価格では手が届かない憧れのハイブランドも中古品としてなら、手軽に入手できるかもしれない。

プラダが中古市場参入を検討 高級ブランドが次々と循環型経済へシフト

関連記事

スワップ・パーティに参加する

スワップとは「交換する」の意味で、不要になった洋服を新しい洋服に交換する方法をいう。金銭を介さない物々交換で、欧米などでスワップのサービスを提供する店ができたり、スワップ・パーティ(洋服の物々交換会)のイベントが開かれたりするケースが増えてきている。

日本ではスワップのイベントなどが行われることはまだ珍しいかもしれないが、仲のいい友だち動詞でスワップ・パーティを開いて洋服の交換会など催してもいいだろう。

エシカルファッションを取り入れるメリット・デメリット

メリット

エシカルファッションは原料の生産方法から、染め・織り・加工はもとより、着ることが難しくなった「その後」も考慮してデザインしているブランドが多く、ロングライフに楽しめるというメリットがある。着られなくなった服を回収し、再び服の材料にするサーキュラーエコノミー型がこれにあたる。

また、フェアトレードに重きをおいて「作り手にとってサステナブル」な環境を作り、その生産体制が安定的に続くことは、ひとつのアイテムを長く着続けることにつながる。お気に入りのアイテムをメンテナンスしてくれる工房が長くあることは、大切な1着を着続ける人々をサポートすることになる。

デメリット

デメリットなのは、割高ということ。ただシーズンごとに大量に生産するファストファッションは生産者や労働者の搾取で成り立っていることを考えると、エシカルファッションはむしろ適正価格と捉えられるはず。

またアパレル企業のなかには、エコや環境に配慮しているように見せかけていても、実はそうではない「グリーンウォッシュ」が紛れている可能性があることも注意したい。

エシカルファッションで未来につながるおしゃれを

未来のファッションはエシカル抜きに語れない。自分が選んだ服をつくるために、世界のどこかで厳しい環境にさらされている人がいたり、環境に大きな影響を及ぼしていたりしたら……。そう考えて、本当に選ぶべきアイテムについて考えてみてはどうだろう。

トレンドや値段で洋服選びをしていた方は、その基準をリセットしてみると、タイムレスに愛用できる運命の1着に出合えるかもしれない。

エシカルファッションとは 言葉の意味やブランドの取り組みを解説

関連記事
※掲載している情報は、2023年2月8日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends