ベルリン在住のイラストレーター・KiKiが、自身が育った西伊豆の日本の村とベルリンの暮らしの共通点をつづるコラム(毎月14日28日更新)。敏感肌に悩む彼女が出会ったあるサイトには、日用品のレシピが満載。ベルリンに共通する手づくり精神と、シンプルにつくれる歯磨き粉のレシピを紹介。
KiKi
イラストレーター/コラムニスト
西伊豆の小さな美しい村出身。京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業後、同大学マンガ学科研究室にて副手として3年間勤務。その後フリーランスに。2016年夏よりベルリンに移住。例えば、…
「すだちの香り」で肌と心が喜ぶ 和柑橘の魅力と風土への慈しみあふれるオイル
Photo by Kristina Balić on Unsplash
このサイトのことを知ったのは、ベルリンに引っ越した2年目。とあるレズビアンカップルとルームシェアをしていた頃だ。そのうちの1人がコラムのVol.3で紹介した“クラインガルデンを所有しているルームメイト”で、仕事から帰ったらすぐに庭仕事に出かけたり、キッチンで何かをつくるのを日課にしていた。
ある日、洗濯をしようと洗濯機のあるキッチンにいったとき、そこにいたルームメイトに「敏感肌だから、本当はオーガニックの洗濯用洗剤を使いたいんだけど、値段が高いんだよね〜」と、悩みを打ち明けた。わたしは小さい頃から、手の皮がむけるのが治らず、皮膚科によく通っていたのだ。
「この本を参考に、洗濯用洗剤はオーガニックのものを自分でつくれるし、値段も市販のものを買うより数倍も安いのよ」。そう言ってルームメイトが薦めてくれたのが、Smarticularの本だ。
実際に自分でつくった洗濯洗剤は、わたしの敏感肌にも問題なく、安心・安全。洗浄効果もきちんとあって、肌触りも香りも自然でとても癒される。柔軟剤も必要なかった。これで2リットル分の材料費は、たったの30セント(約38円)。
ちなみに市販のBIOの有機の洗濯用洗剤は平均で8ユーロ(約1000円)。ケミカルな洗濯用洗剤は、だいたい5ユーロ(約630円)だから、買うよりもつくったほうがとってもお得だ。
本を教えてもらってからもう2年。すっかり洗濯用洗剤を手づくりする習慣がついた。
Photo by KiKi
わたしの実家は築100年を超えている古民家で、洗面台などというおしゃれなものはなかった。台所で歯磨きも洗顔も手洗いもしていたところ、父に「食器洗剤で、ちょちょちょっと、手を洗えばいいんですよ」といわれ、小さいころから当たり前のように食器洗剤で洗っていた。
手荒れの原因はわからなかったのだが、ある日親戚のおばさんに「食器洗剤で手を洗うのをやめなさい」と注意され、固形石鹸に変えてから、だんだんと治っていった。
「いまのものは余計なものがたくさん入って売られているんだから。むかしはみーんな自分でつくっていたのよ」と、おばさんに言われたことがあるが、もしかして、洗浄力を高めるための化学物質が必要以上に使われていたのかもしれない。
これが、わたしが買い物の際、成分をよく見るようになった最初のきっかけだ。
いま思い返せば、祖父と祖母はなんでも手づくりしていた。野菜や米、お茶、味噌、梅干し、干し柿、たくあん、干し芋、と挙げていくとキリがない。わたしのおままごとセットも寒い冬に着ていたはんてんも手づくりだった。
わたしが生まれた頃にはいなくなっていたが、父が子どものころは鶏や豚も飼育していたらしい。まさに畑と自然に密着した自給自足の生活を、当たり前のように送っていたのだ。
Smarticularのテーマである「購入せずに自分でつくることが健康につながり、そしてお金の節約にもつながり、ハッピーになれる」は、ベルリンだけではなく日本の村でも同じだったのだ。
わたしはいまでも、何かを手づくりしようとするときに、懐かしい気持ちでいっぱいになる。
2/28公開予定の次回は、「空き瓶のサステナブルな活用法」ついて紹介したい。
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