冷媒とは? 冷える仕組みや種類、環境への影響をわかりやすく

工場での冷蔵庫製造の様子

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冷媒とは、エアコンや冷蔵庫などで熱を運ぶ役割を持つ物質のことだ。本記事では、冷媒の基本的な意味や冷える仕組み、フロン・自然冷媒などの種類、オゾン層破壊や温暖化との関係をわかりやすく解説。SDGsや脱炭素と冷媒のつながりも、生活者目線で紹介する。

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2026.03.20

冷媒とは

冷蔵庫のなかに瓶に入った飲み物が並ぶ様子

Photo by Onur Burak Akın on Unsplash

エアコンや冷蔵庫、自動販売機など、私たちの身近な冷却機器の多くには「冷媒」と呼ばれる物質が使われている。冷媒とは、機器の内部を循環しながら熱を吸収したり放出したりして運ぶ役割を持つ物質のことだ。

エアコンや冷蔵庫は、冷たい空気をつくり出しているわけではない。空気から熱を取り出し、外へ運び出すことで温度を下げている。(※1)その熱の移動を担っているのが冷媒である。

冷媒の基本的な定義

冷媒とは、熱を別の場所に運ぶために使われている物質を指す。冷却装置の内部で液体と気体の状態を行き来しながら熱を移動させることで、物を冷やしたり温度を一定に保ったりする役割を果たす。

例えば、液体の冷媒が蒸発して気体になるときには周囲の熱を吸収する。一方で、気体が液体に戻るときには熱を放出する。この性質を利用して、熱を取り除いているのだ。(※2)

冷媒が使われている身近な製品

ふだんは目にすることのない存在だが、冷媒は空調機器や冷蔵設備、食品流通、医療分野など幅広い場面で利用されている。代表的な例は以下だ。

・エアコン
・冷蔵庫
・冷凍庫
・自動販売機
・コンビニやスーパーの冷蔵ショーケース
・冷凍倉庫

私たちの日常生活を支える多くの設備が、冷媒の働きによって温度を保っている。

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冷媒の仕組み|なぜ冷えるのか

凍るイメージ

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冷媒は、機器の内部を循環しながら状態を変化させることで熱を移動させている。この仕組みは「冷凍サイクル」と呼ばれ、エアコンや冷蔵庫など多くの冷却機器で共通して利用されている。

冷凍サイクルでは、冷媒が装置のなかを循環することで、空気や食品から熱を取り除き、その熱を外へ逃がしている。こうして熱の移動が繰り返されることで、室内や庫内の温度が下がる仕組みになっている。(※3)

冷媒が「気体と液体」を行き来する理由

冷媒が熱を移動できるのは、液体と気体の状態を行き来する性質があるためだ。液体の冷媒が蒸発して気体になるときには周囲の熱を吸収し、反対に気体が液体へ戻るときには熱を放出する。

この蒸発と凝縮のサイクルによって、熱をある場所から別の場所へ効率よく運ぶことができる。例えばエアコンでは、室内空気から熱を奪って冷媒が蒸発し、その後屋外で熱を放出して冷媒が凝縮することで冷却が行われている。(※4)

エアコン・冷蔵庫の簡単な仕組み

エアコンや冷蔵庫では、冷媒が装置のなかを循環しながら「圧縮・放熱・膨張・吸熱」という工程を繰り返している。この流れが、冷却を生み出す基本的な仕組みだ。

まず、コンプレッサー(圧縮機)が冷媒ガスを圧縮し、高温・高圧の状態にする。次に、凝縮器(熱交換器)で熱を外へ放出しながら冷媒は液体へ戻る(放熱)。

その後、膨張弁で圧力を下げることで温度が下がり、冷えた冷媒が蒸発器に送られる。蒸発器では冷媒が蒸発しながら周囲の空気や食品から熱を吸収する(吸熱)。

この圧縮→凝縮(放熱)→膨張→蒸発(吸熱)のサイクルが繰り返されることで、エアコンでは室内が冷え、冷凍庫では庫内の温度が保たれている。(※3)

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冷媒の種類と分類

複数並べられているガスタンク

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冷媒にはさまざまな種類があり、大きく「フロン系冷媒」と「自然冷媒」に分けられる。冷却性能や安全性、環境への影響などがそれぞれ異なるため、用途や時代の環境規制に応じて使い分けられてきた。

かつてはフロン系冷媒が広く利用されていたが、オゾン層破壊や地球温暖化への影響が問題となり、現在はより環境負荷の小さい冷媒への転換が進められている。

フロン系冷媒とは

フロン系冷媒は、人工的に合成された化学物質で、エアコンや冷蔵設備などで長く利用されてきた冷媒である。おもに以下の3種類に分類される。(※5)

・CFC(クロロフルオロカーボン)
かつて広く使用されていた冷媒で、安定性や冷却性能が高い。しかし、オゾン層を破壊することが明らかになり、現在は国際的に使用が禁止されている。

・HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)
CFCの代替として開発された冷媒で、オゾン層への影響は比較的小さいが、完全にゼロではない。そのため、現在は段階的に削減が進められている。

・HFC(ハイドロフルオロカーボン)
オゾン層を破壊しない冷媒として普及したが、温室効果が高いという課題がある。そのため近年は、温暖化対策の観点から使用量の削減が進められている。

自然冷媒とは

自然界にもともと存在する物質を利用する冷媒を「自然冷媒」という。代表的なものに、以下がある。

・アンモニア(NH3)
・二酸化炭素(CO2)
・水(H2O)
・空気
・炭化水素(HC)

これらは、温暖化への影響が比較的小さいため、環境負荷の少ない冷媒として注目されている。(※6)コンビニの冷蔵ショーケースや自動販売機など、私たちに身近な部分でも、CO2冷媒を使用した設備の導入が進んでいる。

それぞれのメリット・デメリット

冷媒は、単なる冷却性能だけでなく、安全性や環境への影響などを考慮して選ばれる。フロン系冷媒は冷却効率が高く扱いやすい一方、温暖化への影響が大きな課題だ。

一方、自然冷媒は、環境負荷が小さいというメリットがあるが、可燃性や毒性を持つものもあり、安全対策や機器設計の工夫が必要になる。

このため現在は、環境負荷の低減と安全性を両立させる次世代冷媒の開発が世界的に進められている。(※7)

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冷媒と環境問題の関係

黒煙が立ち上る工場

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冷媒は、空調や冷蔵設備を支える重要な技術である一方、環境問題とも深く関わっている。とくに問題となってきたのが、オゾン層破壊と地球温暖化である。

冷媒の種類によっては、大気中に放出されることで環境に大きな影響を与えることがある。現在、冷媒の使用や管理に関する国際的な規制が進められている。

オゾン層破壊と冷媒

1970年代から1980年代にかけて、冷媒として広く使われていた「特定フロン(CFC)」がオゾン層を破壊する原因物質であることが明らかになった。(※8)

オゾン層は、太陽から届く有害な紫外線を吸収し、地球上の生態系を守る重要な役割を持つ。もしオゾン層が破壊されれば、人体をはじめ、生態系・農業・海洋への影響など、さまざまな問題が起こると考えられている。

こうした背景もあり、フロン類の使用によるオゾン層破壊が世界的な環境問題として認識され、国際的な規制が進められるようになったのだ。

地球温暖化への影響

オゾン層を破壊しない冷媒として普及したのが、HFC(ハイドロフルオロカーボン)だ。しかし今度は、温室効果ガスとしての影響が課題となった。

温暖化への影響の大きさは「GWP(地球温暖化係数)」という指標で表される。二酸化炭素(CO2)を基準としたとき、ほかの温室効果ガスがどれだけ温暖化に影響するかを示すものだ。

IPCC第4次評価報告書の値によると、フロン類は、CO2の数千〜1万倍の温室効果を持つとされている。(※9)そのため、冷媒の管理や削減は、気候変動対策の重要なテーマのひとつとなっている。

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冷媒をめぐる国際的な規制と日本の制度

握手をする2人

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冷媒による環境問題に対応するため、国際社会ではさまざまな規制が進められてきた。現在の冷媒政策は、オゾン層保護と温暖化対策の両方を目的としている。

モントリオール議定書とは

1987年に採択された「モントリオール議定書」は、オゾン層を破壊する物質の削減を目的とした国際条約だ。この条約により、CFCなどの特定フロンは、世界的に生産と使用が段階的に禁止されることになった。モントリオール議定書は、拡大傾向にあったオゾンホールの拡大が見られなくなるなどといった一定の成果を上げており、環境問題に対する国際協力の成功例としても知られている。(※10)

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キガリ改正とHFC削減

2016年にはモントリオール議定書の「キガリ改正」が採択され、HFCの削減も国際的に進められることになった。

HFCはオゾン層を破壊しないものの、温室効果が高いため、温暖化対策の観点から削減が必要とされている。キガリ改正では、各国が段階的にHFCの使用量を減らしていくことが定められている。(※11)

日本のフロン排出抑制法

日本では「フロン排出抑制法」によって、冷媒の適切な管理が義務付けられている。業務用のエアコンや冷凍機を使用する事業者には、定期的な点検や冷媒漏えいの管理が求められている。また、機器の廃棄時には冷媒を回収し、大気中に放出しないよう処理することが義務化されている。(※12)

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脱フロン・次世代冷媒の動向

暗闇で光る物体に手を差し伸べる様子

Photo by Ramón Salinero on Unsplash

冷媒をめぐる環境規制が進むなかで、現在はフロンに依存しない冷媒への転換が世界的に進められている。とくに注目されているのが、温暖化への影響が小さい「自然冷媒」や「低GWP冷媒」である。

これらの冷媒は、環境負荷を抑えながら冷却性能を維持できる可能性があるため、空調機器や冷凍設備の分野で導入が広がりつつある。

ノンフロン冷媒への転換

近年は、フロン類に代わるノンフロン冷媒の導入が進んでいる。代表的なものが、前述した自然冷媒だ。

自然冷媒は、温暖化への影響が比較的小さいため、さまざまな分野で採用が広がっている。(※13)また、温暖化係数(GWP)の低い新しい冷媒の開発も進められており、環境負荷を抑えた冷却技術への転換が進んでいる。

技術的課題と安全対策

ノンフロン冷媒の普及には、いくつかの技術的課題もある。冷凍・冷蔵機器は、用途や規模によって必要な性能が異なるため、適した冷媒の種類も一様ではない。

例えば、小型の冷凍冷蔵機器では、CO2冷媒の実用化が進んでいる。一方、中型のショーケースや大型の冷凍倉庫などでは、アンモニア冷媒やCO2を組み合わせた新しい冷却システムの開発が進められている。

しかし、自然冷媒のなかには、可燃性や毒性を持つものもあり、安全に利用するための管理体制や機器設計が必要になる。また、新しい冷媒を採用した機器は初期導入コストが高い場合もあり、普及に向けた技術開発やコスト低減も課題とされている。(※14)

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冷媒とSDGs・脱炭素の関係

会議でメモをとる様子

Photo by Dylan Gillis on Unsplash

冷媒対策は、気候変動対策のひとつとして国際的に重要視されている。とくに温暖化係数の高い冷媒の削減は、温室効果ガス排出削減にもつながるため、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして注目されている。

冷媒対策がSDGsにどう貢献するか

冷媒の管理や転換は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」と深く関係している。

冷媒の漏えいを防ぎ、温暖化への影響が小さい冷媒へ切り替えることは、温室効果ガス排出の削減につながる。よって、冷媒対策は、エネルギー効率の向上と並び、気候変動対策の重要な取り組みのひとつとされている。

企業・自治体の取り組み例

冷媒による環境負荷を減らすため、企業や自治体でもさまざまな取り組みが進められている。環境省では、CO2などの自然冷媒を使った冷凍冷蔵機器の導入を支援する補助事業を実施し、設備の転換を後押ししている。(※15)

また、自治体のなかには、業務用冷凍空調機器の管理や点検の重要性について事業者へ周知している例もある。高知県では、フロン排出抑制法に基づく定期点検や冷媒漏えいの管理などを呼びかけている。(※16)

私たちができる冷媒対策

キッチンで楽しそうに調理を行う家族

Photo by Vitaly Gariev on Unsplash

冷媒対策は、企業や制度だけの問題ではない。私たちの生活のなかでも、環境負荷を減らす行動につながる場面がある。

家庭でできること

家庭では、エアコンや冷蔵庫などの機器を適切に使い、整備を定期的に行い、長く大切に利用することが重要だ。また、機器を買い替える際には、省エネ性能の高い製品やノンフロン製品を選ぶことも環境負荷の低減につながる。

さらに、エアコンや冷蔵庫を廃棄する際には家電リサイクル制度を利用し、冷媒を適切に回収することが大切だ。(※17)

冷媒を知ることが、未来の環境を守る第一歩

冷媒はふだん意識することの少ない存在だが、私たちの生活を支える重要な技術である。同時に、オゾン層保護や地球温暖化対策とも深く関わる環境テーマでもある。冷媒の仕組みや種類、環境への影響を理解することは、持続可能な社会を考えるきっかけにもなるだろう。身近な冷却機器の裏側にある技術を知ることが、未来の環境を守る第一歩につながる。

※掲載している情報は、2026年3月20日時点のものです。

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