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省エネラベルとは、家電製品が省エネ基準をどのくらい達成しているか表示するマーク。「統一省エネルギーラベルや」「省エネラベル」「簡易版統一省エネラベル」には何が表示されているのか、詳しく解説。さらに家電の省エネ性能をチェックする方法と、省エネ性能の高いエアコン・冷蔵庫を紹介する。
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省エネラベルとは、家電製品などが省エネ基準をどの程度達成しているか表示するマークのこと。経済産業省・資源エネルギー庁が管轄している。
2000年8月に「省エネルギーラベリング制度」が日本工業規格(JIS)によって導入されたのがはじまり。エネルギー消費機器の省エネ性能を示すものだ。このラベルは、カタログや製品本体、包装など、見やすいところに表示される。(※1)
消費者が家電製品などを購入するとき、省エネ性能が優れている製品を選べるよう支援するため、日本では2006年より「小売事業者表示制度」が開始された。この制度は、省エネ法にもとづいて、小売事業者等は消費者に対して、製品の省エネに関する情報を提供するよう努めることが規定されている。
省エネラベル制度の対象となるのは、以下の21機器。エアコンや冷蔵庫、テレビなど、一般の家庭で使用する家電製品や住宅設備が中心となっている。 (※2)
エアコン、照明器具、テレビ、電子計算機(コンピュータ、サーバ)、磁気ディスク装置、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、ストーブ、ガス調理機器、ガス温水機器(ガス瞬間湯沸器、ガスふろがま)、ガス温水機器(暖房機能付き)、石油温水機器(給湯用、給湯・浴用)、石油温水機器(暖房機能付き)、電気便座、ジャー炊飯器、電子レンジ、DVDレコーダー、ルーティング機器(小型ルーター)、スイッチング機器(L2スイッチ)、電気温水機器、電球
家電製品の省エネ性能を示すラベルには、以下の3つの種類がある。
(1)省エネルギーラベル
主にメーカーが表示する
(2)統一省エネラベル
(3)簡易版統一省エネラベル
主に小売り業者が表示する
主にメーカーが表示するラベルが、「省エネルギーラベル」だ。消費者に向け、家電製品の省エネ性能に関する情報提供を行うことで、省エネ効果の高い製品の普及を促進する。省エネルギーラベルには、以下の情報が示されている。
省エネ法に定められた省エネ基準をどの程度達成しているかを表示するもの。基準を100%達成した製品は緑色のマークが、100%未満ならオレンジ色のマークが表示される。緑色のマークのほうが、省エネ性が高い優れた製品であるということだ。目標年度は、製品や区分ごとに設定されたトップランナー基準*を達成すべき年度を示す。
*トップランナー基準:省エネ法で定められた省エネ基準のこと。
製品が属しているトップランナー基準の区分において、目標基準値がどの程度達成できているか示している。目標基準値は区分ごとに設定されている。この数値が大きいほど、省エネ性が優れていることになる。
エネルギー消費効率は、製品ごとに定められた測定方法で得られる数値のこと。エアコンの省エネ性能を表すJIS規格「APF」(通年エネルギー消費効率のこと)のように、効率で表すものや、年間消費電力量のようにエネルギーの消費量で表すものがある。
主に小売り業者が表示するラベルが、「統一省エネルギーラベル」。2006年4月に施行された改正省エネ法で、小売事業者の情報提供にかかわる努力義務が規定された。これを受け、同年10月からテレビ、エアコン、冷蔵庫を対象として統一省エネルギーラベルの運用を開始。2009年5月からは、電気便座が対象として追加された。
統一省エネルギーラベルは、市販製品を相対的に評価し、比較しやすいよう多段階評価による表示を行っているのが特徴。統一省エネルギーラベルで表示される内容は以下の4つの項目だ。
市場における製品の省エネ性能について、高い順に5.0から1.0まで、0.1きざみの41段階で表示されている。
例えば、エアコンの場合は省エネ基準達成率が121%以上なら星5つ、114%以上121%未満で星4つ、テレビの場合は省エネ基準達成率が246%以上で星5つ、198%以上246%未満で星4つという具合に、細かく設定されている。
グリーン、もしくはオレンジでアルファベット「e」をデザインしたマーク。省エネ基準達成率とエネルギー消費効率も併記されている。
省エネルギーラベルの下に、その製品を製造したメーカー名と、その製品の機種名を表示している。
ラベルに記載されているのは、一定の条件のもとで使用した場合の年間の目安電気料金である。照明器具の場合、1日平均約5.5時間使用(年間2000時間)が基準。テレビでは、1日5.1時間で、リアルタイムの視聴だけでなく、録画視聴やネット利用にかかる時間も考慮し、算出している。
2006年に始まった「小売事業者表示制度」は、2020年11月と2021年10月に改正を行った。統一省エネルギーラベルについては、デザインがシンプルに変更され、テレビについてはそれまでの5段階評価から、0.1きざみの41段階(5.0~1.0)の評価点となった。またエコキュート、ガス温水機器、石油温水機器は多段階評価制度の対象となった。(※2)
「簡易版エネルギーラベル」は、主に小売り業者が表示するラベル。電気冷凍庫、ジャー炊飯器、電子レンジ、DVDレコーダーなど、多段階評価を行わない製品を対象としている。統一省エネルギーラベルとの違いは、多段階評価点が表示されていないこと。
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世のなかにたくさんある家電から、どれが優れた省エネ家電か自力で見つけ出すのはひと苦労。そんなときは、「省エネ型製品情報サイト」を利用するのがおすすめだ。
使い方は以下の5ステップ。
1. 対象機器を選択する
2. 一覧表が表示される
3. 気になる製品を選択する
4. 複数の製品を比較したい場合は、「選択した製品だけを比較表示」と、気になる製品のチェックボックスにチェックを入れる
5. 知りたい製品の多段階評価点、省エネ性マーク、省エネ基準達成率、年間目安エネルギー料金などを比較できる
では実際に、エアコンで見比べてみよう。お目当ての製品がないときは、「多段階評価」や「省エネ基準達成率」の文字部分をクリックして、省エネ性が高い順にソートをかけてみるのも一案だ。
省エネ基準達成率で最上位となったのは、日立の「白くまくん(RAS-XC40J2、RAS-X40J2)」で、達成率は157%。APF(通年エネルギー消費効率)では、三菱電機の「霧ケ峰(MSZ-FZV4021S、MSZ-FZ4021Sなど)」が7.9でもっとも高い数値となった。(※目標年度は2010年)
では電気冷蔵庫はどうだろうか。
「省エネ基準達成率」でみると、インタックSPSの「ビルトイン(EKB9271)」が、268%でもっとも達成率が高かった。年間消費電力量では、インタックSPSの「アンダーカウンター(SUIK1510)」が、98kWh/年でもっとも少ない結果に。(※目標年度は2021年)
ただし冷蔵庫は、家族の人数や使用目的によって、必要なドア数や容量などは異なる。それらも比較検討できるので、自分に合ったものを見つけたいものだ。
家電製品は日進月歩で技術が進み、どんどん省エネで高性能な製品が開発されている。省エネ家電は、地球にもやさしいばかりか、自分のお財布にもやさしい。モノを長く使い続けることはよいことだが、使用電力などを見直して買い換える方がエコになることもあるだろう。そんな場面では、今回紹介したラベルを参考にすると、よい選択ができるのではないだろうか。
使用目的や頻度はどれくらいか、はたしてその製品が本当に必要なのかも含めてじっくり考えて賢く選びたいものだ。
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