暖房の推奨温度は何度? 冬の到来に備えて適切な室温と快適に過ごす方法を知っておこう

ソファとローテーブル

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環境省が推奨する暖房の推奨温度は20℃。温暖化など地球環境の変化によって外気温は年々と変化しているが、健康面や環境面において適切だとされている温度だ。ここではその理由と、快適に過ごすための具体的な寒さ対策も紹介する。

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2024.12.26

暖房の推奨温度とは

焚き火

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秋冬の生活に必要不可欠な暖房器具。温度設定・調節の可能なものは多いが、どの程度部屋を暖めればよいのか迷う場合もあるだろう。環境省によって推奨されている暖房の温度について解説する。

室温は「冬季20℃推奨」

環境省は、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すための指標として「室温が冬季20℃であること」を推奨している。(※1)これは暖房器具の設定温度ではなく、実測の室温であることに注意したい。

設定温度と室温の違い

先に触れたとおり、暖房器具の設定温度と実際の室温は必ずしも一致しない。なぜなら室温は暖房だけでなく、日当たりや部屋の空間構造、外気温などの影響を受けるからだ。そのため設定温度だけに注目せず、温度計を置くなどして実際の室温を確認できるようにするといい。

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暖房の推奨温度に設定するメリット

ベッドと本

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部屋を暖めすぎず推奨温度を保って暖房を使うことにより、環境面や健康面でも利点がある。

省エネとコスト削減

たとえば6畳用エアコンの場合、暖房時に設定温度を1℃調整することにより、10%の消費電力を削減できるとされる。(※2)消費電力を抑えることで個々の家庭での電気代の削減にもつながり、社会的には冬場の電力不足解消にも寄与できる。

健康への配慮

世界保健機関(WHO)は冬の室温が「18℃以上」であることを推奨している。(※3)これを下回ると、血圧が上昇したり睡眠の質が悪くなったりするなどの問題が発生するとされている。逆に室温が高すぎると頭痛やめまいの原因になるなどの悪影響がある。そのため、環境省の推奨温度と合わせて20℃程度を保つことが冬場の健康につながるだろう。

環境への配慮

日本国内で暖房器具に使われる電気は大半が火力発電からのものであり、発電の際は二酸化炭素(CO2)を排出する。暖房の出力が高いと消費電力も多く、つまりはCO2発生による環境負荷につながってしまうのだ。

経済産業省によると「外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)」、年間でCO2削減量は25.9kgになる。(※4)温度設定を適切に保つことで、CO2排出による環境問題の軽減にも寄与できるといえよう。

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暖房推奨温度に調整するためのポイント

オフィス

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温度設定を適切に行い、室温調整をするうえでのコツを紹介する。

器具のメンテナンス

日ごろからエアコンのフィルター掃除をしているだろうか。フィルター掃除をすることで出力効率が高まり、より適切な温度に調整しやすくなる。エアコンだけでなく石油ファンヒーターにもフィルターはあり、同様に手入れをすることで性能を発揮できる。(※5)また、エアコンの室外機前を塞がないようにすることで稼働効率を下げずに済む。

活動時間に合わせた温度設定

冬だからといって、暖房をとりあえずつけっぱなしにしていないだろうか。時間帯によっては日差しが入って暖かくなる、人が増えて室温が上がるなど、温度調節が必要になることがある。そこで面倒がらずに設定温度を調節し、推奨温度を保つことでより効率的な利用が可能だ。

エコモードやタイマー機能の活用

現在の暖房器具には「エコモード」機能が搭載されているものが多い。機能の詳細はメーカーや機種によって異なるが、下記のようなものがあり、室温調整の助けになる。

・エネルギー使用を抑えてゆっくりと室温を上げる
・室温の暖まりすぎを感知すると徐々に出力を下げて適正化する
・風速・風向の自動調整

使っている機器にエコモードがあれば、説明書等でぜひチェックしてみてほしい。
また外出前や寝る前など、タイマー機能を利用して効率的に運用しよう。(※6)

湿度とのバランス

乾燥しがちな冬、実は湿度が低いと体感温度も低くなってしまう。加湿器を用いて湿度を40~60%に保つことで、体感温度を上げて設定温度の上げ過ぎを防ぐことができるのだ。(※7)

乾燥を防ぐことで、肌荒れや感染症などのリスク軽減が期待できる。加湿器がない場合は水を入れた容器を置く、濡れタオルを吊るすなどの方法でも乾燥対策が可能だ。

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快適さを保ちながら暖房利用を節約する工夫

向日葵

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暖房を使ってもなかなか部屋が暖まらない、寒さを感じてしまうといった状況への対策として、器具の出力を上げるだけではなく、暖房効率を高めて快適に過ごす方法を紹介する。

防寒アイテムの活用

「寒ければ服を着る」は基本であるが、単に着こむだけではないコツを紹介する。分厚い服を1枚着るのもよいが、重ね着をすることで空気の層が増え暖かく感じやすい。

太い血管のある部分「首、手首、足首」を重点的に暖めると身体全体も温まるため、部分用のウォーマーを着用すると効果的だ。ひざかけやストールはサッと羽織ったり出先でも使いやすいため用意しておくと役に立つ。デザインも豊富で、冬のおしゃれとしても楽しめる。(※8)

サーキュレーターや扇風機で空気循環

物理法則として温かい空気は上にあがり、冷たい空気は下にたまる。せっかく暖房で温まった空気が天井付近にあるのはもったいない。冷たい空気が下にたまると足先が冷え、健康にも悪い。これをサーキュレーターや扇風機で均一に混合できれば快適さは上がる。暖房の風向を下にし、落ちて来る暖気に向かってサーキュレーターを送風することで効果的な空気の循環が期待できる。

窓やドアの断熱対策

窓やドアから入ってくる冷気にも注意が必要だ。窓ガラスから伝わってくる冷えには断熱シートが効果的で、さらにカーテンを閉じて外気を遮断する。近年では手ごろな価格で買えるようになった断熱カーテンを導入するのもよい。

ドア下の隙間から入ってくる冷気の対策としてすき間テープを張るのも効果的だが、その際は一定時間ごとの換気に注意したい。

温かい飲み物・食べ物をとる

寒さを感じる際に温かい飲み物や食べ物を摂ることで、体の内側からも温まる。また暖かなものは消化をよくし、内臓の動きを助ける働きがある。またふだんの食事でも体を温める効果のある食材(冬が旬の野菜や発酵食品など)を摂るように心がけると効果的だ。(※9)

温まりやすい身体づくり

同じ部屋にいても人によって体感温度に差がある理由のひとつに「身体を温める力」がある。(※10)これには体内で熱を発する力や、全身の血流が関わってくる。体内で温められた血液は全身へ熱を運ぶ役割も持つため、とくに冷え性の方は留意してほしい。体を暖める食事で代謝を高めたり、ストレッチでコリをほぐして血流をよくしたりすることで冬を快適に過ごしたい。

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暖房の推奨温度を知って快適な冬を

朝日と雪原

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冬場を快適に過ごすために必要な暖房器具。大きなエネルギーを消費する器具だが、適切な温度設定をしたり、機能を活用したりすることで消費電力を削減するなど環境にも配慮した使い方が可能だ。さらに暖房と併せての寒さ対策もいくつか紹介した。この冬もさまざまな工夫で快適かつ健康に、環境にやさしい冬を過ごしたい。

※掲載している情報は、2024年12月26日時点のものです。

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