保護猫とは? 里親になる前に知りたい背景や条件・迎え方を紹介

首を傾げている猫のイメージ

Photo by Kristina Yadykina

保護猫とは、飼い主を失い保護された猫のこと。本記事では、保護猫が生まれる背景を紹介。また、里親になるための条件や流れ、メリットや注意点などを解説していく。

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2026.01.23

保護猫とは

道にいる猫のイメージ

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保護猫の定義

保護猫とは、その名のとおり「保護された猫」のこと。飼い主に捨てられたり、迷子になったり、あるいはさまざまな事情により飼い主のもとで暮らせなくなったりして、動物愛護センターや保護団体、個人ボランティアなどによって保護された猫を指す(※1)。

また、保護猫は“里親募集中の猫”という意味でも使われることがあるが、厳密には飼育放棄、迷子、繁殖引退、多頭飼育崩壊など、さまざまな事情で保護された猫すべてを含む総称である。

保護猫が保護される場所

保護猫が保護される場所は、動物愛護センターや動物保護団体が運営する施設、そして地域のボランティアや一時預かり家庭(個人ボランティア)である(※2)。

動物愛護センターは、都道府県や市区町村など自治体が運営する公的施設で、飼い主から持ち込まれた猫や、迷子で発見された猫を収容している。さらに民間のボランティア団体やNPO法人が、行政施設から猫を引き出したり、直接保護活動を行ったりするケースもある。さらに、自宅で一時的に猫を預かりながら里親を探す個人ボランティアの存在も欠かせない。

いま「保護猫」が注目される理由

近年「保護猫」という言葉が広く知られるようになり、検索数も増加している。その背景には、殺処分問題への関心の高まりと、「ペットを買う」から「命を救う」へと価値観が変化してきたことが考えられる。

保護猫という選択肢が浸透したことで、猫を飼いたい人の行動にも変化が生まれ、結果として殺処分数の減少につながっている側面もあるだろう。

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なぜ保護猫が生まれるのか

保護猫が生まれる 主な原因

捨て猫のイメージ

Photo by Muhammad Irfan on Unsplash

保護猫が生まれる主な原因としてまず挙げられるのが、捨て猫や飼育放棄である。

飼い主の経済的事情、引っ越し、離婚、高齢化、病気などを理由に、猫を手放すケースは少なくない。また、不妊去勢手術を行わずに飼育を続けた結果、繁殖を制御できなくなり、適正な飼育が困難となる多頭飼育崩壊も大きな要因である。

そのほか、野良猫の繁殖によって生まれた子猫が保護されるケースや、迷子になった飼い猫が保護されるケースも存在する。

繁殖ビジネスと保護の現場

猫を飼いたいと考えた際、ペットショップでの購入を思い浮かべる人は多い。しかし、その裏側には繁殖業者をめぐる問題が存在している。

適切な繁殖回数を超えた繁殖は母猫の身体に大きな負担を与えるだけでなく、売れ残った猫や繁殖を終えた猫の行き場を失わせる。その結果、保護猫となるケースも少なくないのだ(※3)。

不妊去勢が進まない現状

たくさんの子猫のイメージ

Photo by Mohammad MSFT on Unsplash

不妊去勢が進まない背景には、飼い主の知識不足や経済的事情がある。

猫は繁殖力が非常に高い動物で、メス猫は生後6か月で妊娠でき、1回で4~8頭を出産し、年に2~3回の妊娠・出産が可能。また、猫は交尾排卵動物であり、交尾をすると100%妊娠するといわれている。「まだ子猫だから」「交尾しても妊娠するかわからない」といった認識のままでいると、短期間で数が増えてしまう。

また、不妊去勢手術には1~4万円ほどの費用がかかり、増えてから手術を行おうとすると負担はさらに大きくなる(※4)。こうした経済的理由も、不妊去勢が進まない要因のひとつである。

社会構造としての問題

保護猫が生まれる背景には、人間側の責任が大きく関わっている。多頭飼育崩壊の背景には飼い主自身の障害や孤立が存在し、社会福祉の支援者との連携が不可欠であると指摘されているのだ。

障害により安定した就労がむずかしく経済的に困窮することで手術費用を捻出できなかったり、地域社会から孤立することで周囲の支援や助言を得られなかったりするケースもある。人とのつながりが乏しいなかで猫に安らぎを求め、結果として飼育数が増えてしまう場合もあるそうだ(※5)。

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保護猫を迎えるメリットと注意点

ここからは、保護猫を迎えるメリットと注意点を見ていこう。

保護猫を迎えるメリット

2匹の猫のイメージ

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保護猫を迎える最大のメリットは、殺処分から1つの命を救える点にある。さらに、動物福祉への理解を深め、適正飼養を実践することで、ペットの過剰繁殖問題の抑制にもつながり、社会貢献の一端を担うことができる。

また、保護猫は年齢も性格も多様で、一匹一匹に個性がある。ペットショップに限らず、保護猫との出会いのなかにも、運命的な縁は存在するのだ。

保護猫を迎えるうえでの注意点

保護猫を迎えるには注意すべき点もある。

保護猫のなかには、元野良猫や人からつらい経験を受けた猫もおり、保護前の環境によっては人に慣れるまで時間を要する場合がある。そのため、健康面や精神面で継続的なケアが必要になることもあるのだ。

誤解されがちなポイント

猫を撫でているイメージ

Photo by Yerlin Matu on Unsplash

保護猫について誤解されがちなのが、「なつかない」「病気が多い」といったイメージ。実際には適切なケアと十分な時間をかけることで、多くの保護猫は家族として心を開くようになる。

健康状態や年齢の留意点

保護猫は、譲渡前に保護団体や動物病院で健康状態の確認が行われるのが一般的である。健康診断やワクチン接種、寄生虫駆除、不妊去勢手術などの基本的な医療処置が済んでいる場合も多い。ただし、保護前の生活環境によっては健康上の課題を抱えている可能性もあるため、事前に詳細な説明を受けることが重要である。(※6)

また、保護猫には子猫だけでなく、成猫やシニア猫も含まれる。成猫は性格が安定しており、先住猫を飼っている場合は相性を判断しやすい点が特徴だ。子猫に比べて破壊的な行動が少なく、留守番に慣れやすい傾向もあるそうだ。(※7)

シニア猫は健康面への配慮がより求められるものの、穏やかな性格で落ち着いた暮らしを好むため、静かな生活を望む人には適した存在といえるだろう。

費用の考え方

子猫のイメージ

Photo by Kym Ellis on Unsplash

保護猫の譲渡には、医療費の一部として譲渡費用がかかる場合がある。これは猫の「命の価値」ではなく、保護活動にかかった医療費や次の保護活動への支援金という位置づけである。

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保護猫を迎えるまでの流れ

情報の探し方

保護猫の情報はさまざまな方法で入手できる。一般的なのは、地域の保護団体が開催する譲渡会の情報をインターネットやSNSで確認する方法。

また、都道府県や市区町村の動物愛護センターのウェブサイトでも、譲渡可能な猫の情報が公開されていることがあるため、そこから探してみるのもいいだろう。

里親になるための条件

猫を大切にハグしているイメージ

Photo by Anh Duc on Unsplash

里親になるための条件は、保護団体や自治体によって異なるが、共通して求められる項目は多い。

完全室内飼育が可能であること、ペット可住宅に住んでいることなど、飼育環境に関する条件に加え、家族全員の同意が得られていることが挙げられる場合が多い。また、終生飼育の覚悟があること、必要な医療を受けさせられることは、ほぼすべての団体で必須条件とされている(※8)。

そのほか、一人暮らしや60歳以上のみの世帯では譲渡条件が厳しくなる場合や、後継人の確保を求められる場合もある。

トライアル期間とは

保護猫を正式に迎える前に、相性を確認するための「トライアル期間」を設けるケースがある。実際に一緒に暮らすことで、新しい環境に慣れるかどうか、先住猫との相性、猫アレルギーの有無、生活上の問題点などを事前に確認できる。

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初めてでも保護猫は飼える?

猫を飼ったことがない人のなかには、保護猫を迎えることに不安を抱える人もいるだろう。ここからは、初めてでも保護猫は飼えるのか確認していこう。

初心者が不安に感じやすい点

初めて猫を飼う場合、不安を感じるのは自然なことだ。しかし、多くの保護団体は譲渡後のサポート体制を整えており、過度に心配する必要はない。

留守にする時間が長いことを不安に思う人もいるが、猫は比較的留守番に向いた動物であり、環境を整えれば大きな問題にはなりにくい。経済面が心配な場合は、医療費が想定以上にかかることもあるため、ペット保険の加入を検討してみてもいいだろう。

保護団体のサポート体制

人と相談しているイメージ

Photo by Christina @ wocintechchat.com M on Unsplash

多くの保護団体では、譲渡後も相談を受け付けている。里親と継続的に連絡を取り、不安や悩みを共有できる関係性を築くことを重視している団体も多い。そのような団体を選ぶことで、初めてでも安心して保護猫を迎えやすくなるだろう(※9)。

向いている人・向いていない人

終生飼育の覚悟があり、経済的に安定していること、家族全員の同意が得られていること、そして猫との時間を大切にできる人は、保護猫を迎えるのに向いている。

一方、転勤が多い人、猫アレルギーの可能性がある人、経済的に不安定な人は慎重な判断が必要だ。保護猫を迎えることは命を預かる行為であり、無理がないかよく考えて決断することが大切だ。

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保護猫と動物福祉やSDGsとの関係

動物愛護とSDGsの関係

保護猫問題は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」と目標15「陸の豊かさも守ろう」に関係している。

目標12は、持続可能な生産と消費を求めるものであり、ペットを「商品」として大量生産・大量消費する現在のペットビジネスは、この課題と直結している。過剰繁殖、売れ残った動物の処分、衝動買いによる飼育放棄など、「つくる責任」「つかう責任」の両面で問題が存在する。保護猫を迎えるという選択は、「買う」から「命を守る」へと価値観を転換する行為であり、持続可能で倫理的な動物との共生を促すものといえる。

目標15は、生態系の保護と生物多様性の維持を目指している。野良猫の増加や不適切な飼育は、生態系に影響をおよぼす要因となる。不妊去勢手術の推進やTNR活動、保護猫の譲渡は、無秩序な繁殖を防ぎ、生物多様性の損失を抑える取り組みである。

殺処分問題と保護猫

環境省の統計資料によると、令和6年度の猫の殺処分数は4,866頭。10年前の79,745頭と比べると大幅に減少しているが、まだゼロには至っていない(※10)。

殺処分ゼロを目指す自治体の取り組みも進んでいる。名古屋市では「名古屋市人とペットの共生推進プラン」を策定し、2029年度までに「犬猫の殺処分ゼロの達成・維持」を掲げている。子猫への手厚いケアや、成猫への人馴れトレーニング、多頭飼育崩壊の防止、不妊去勢手術の推進など、包括的な取り組みが行われている(※11)。

持続可能なペットとの関係

幸せに飼われている猫のイメージ

Photo by Kate Stone Matheson on Unsplash

かつては「ペットを飼う=ペットショップで購入する」という考え方が一般的だった。しかし現在は、保護猫を「迎える」という選択肢が広がりつつある。この変化は、命を尊重し、人と動物が共生する持続可能な社会の実現につながっていくはずだ。

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私たちにできること

保護猫を迎えることだけが、支援や社会貢献ではない。私たち一人ひとりにできることを考えてみよう。

飼わなくてもできる支援

保護猫を迎えなくても、支援の方法はある。代表的なのが、保護団体への寄付である。寄付は保護活動を支える重要な資金源となり、より多くの猫の保護や十分なケアにつながる。

また、譲渡会の運営補助、一時預かり、TNR活動など、ボランティアとして関わる道もある。さらにSNSで情報を拡散することも、里親探しの大きな助けとなる。

正しい知識を広める

保護猫に対する誤解や偏見をなくすためには、正しい知識の共有が欠かせない。「なつかない」「病気が多い」といった一部の情報だけを誇張せず、保護団体が行なっている保護後のケアについての知識や情報を家族や友人をはじめ周囲の人に伝えることで、社会全体の理解が深まっていくはずだ。

地域でできる取り組み

地域単位で取り組める活動として、TNR活動が挙げられる。TNRとは、「Trap(捕獲)」「Neuter(不妊去勢)」「Return(元の場所に戻す)」の略で、野良猫の繁殖を抑制し、地域で見守る活動のこと(※12)。これによって、将来的な保護猫の発生を減らすことができる。

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保護猫は「命をつなぐ選択」

保護猫は、さまざまな事情により保護され、新しい家族との出会いを待つ、かけがえのない命である。

保護猫を迎えることは、1つの命を救う行為であると同時に、殺処分問題や動物福祉への理解を深め、持続可能な社会を実現する一歩でもある。「買う」から「迎える」へと選択を変えることは、人と動物がともに幸せに暮らす社会を築く、「命をつなぐ選択」といえるだろう。

※掲載している情報は、2026年1月23日時点のものです。

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