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サバンナや自然公園など、雄大な自然環境を有するアフリカが、深刻な環境問題を抱えていることを知っているだろうか。本記事では、アフリカの環境問題の現状について触れながら、解決に向けた世界の取り組みを紹介。さらに、私たち一人ひとりができることを考えていく。
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地中海を挟んでヨーロッパの南に位置し、サバンナや砂漠、大河、自然公園など、雄大な自然環境を有するアフリカ。貧困や格差、児童労働など、社会問題については知られていることが多いが、実はさまざまな環境問題も抱えている。
アフリカが抱えている環境問題には、どのようなものがあるか見ていこう。
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アフリカが抱える深刻な環境問題のひとつが、干ばつや大雨・洪水だ。
2022年に発表されたデータによると、1983年から2021年の間、東アフリカや南部アフリカ、中央アフリカなどで、年間の乾季の月と深刻な乾季の月が増加したほか、干ばつを経験したエリアの割合が増加したという。さらに、南アフリカ共和国やナミビアなど、一部のアフリカ諸国では、2021年までの10年間で干ばつの影響を受けたエリアの割合が、30年前と比較して最大40%増加。
そのほかにも、数年に渡って雨季が訪れていない地域もあり、何百万人もの人々が深刻な食料不安にさらされている(※1)。
一方で、近年洪水被害も深刻だ。ケニアやソマリア、リビア、ブルンジ、ルワンダ、タンザニアなど多くの国をエルニーニョ現象による豪雨が襲い、多くの人が亡くなるなどの被害を受けた。ケニアでは20万人以上、ソマリアでは16万人以上が被災した。(※2)。
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世界最大の砂漠・サハラ砂漠を有することでも知られているアフリカ。近年、それ以外の地域(もともとは砂漠ではなかった場所)の砂漠化が進んでいることも、深刻な問題となっている。
砂漠化の原因は大きく分けて2つ。ひとつは、地球温暖化とそれにともなう気候変動や干ばつ、乾燥化による「気候的要因」だ。
もうひとつは、乾燥地域のなかで許容範囲を越えて行われる過放牧や過伐採、過耕作といった「人為的要因」である。人口増加や貧困、内戦・暴動などが原因で、持続可能な土地管理ができず、砂漠化が進んでしまっているのだ(※3)。
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アフリカが抱える深刻な環境問題のひとつが、水問題だ。
世界人口の半数以上の人が、水道を使えるようになっている一方で、6億6,300万人もの人々が、安心して飲める水が身近にない環境で生活をしており、その半数近くが、サハラ以南のアフリカ諸国に集中している。
彼らは、池や川、野ざらしの井戸などを水源としているが、それらは多くの場合、泥や細菌、動物のふん尿などが混じった危険な水で、飲用に適さない。しかし、安全な飲み水がなく、汚れた水を飲んでしまうことで、抵抗力の弱い子どもたちは下痢を起こしてしまう。これの汚れた水を主原因とする下痢で命を落とす乳幼児が、年間30万人、毎日800人以上にものぼっているのだ。
さらに、これらの水源は居住地から遠い場所にあり、そこまで水を汲みにいくのは子どもの仕事。毎日炎天下に遠い道のりを、朝から夕方まで重い水を持って歩いている。1日の多くの時間を水汲みに使わざるを得ないため、学校に行くことができず、教育を受けられないことも問題となっている(※4)。
水問題と一口にいっても、水不足だけでなく、衛生環境や子どもたちの教育にまで影響をおよぼしているのだ。
これは、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」にも関連している。
これらの問題解決に向けて、世界ではどのような取り組みが行われているのだろうか。いくつかの例を紹介しよう。
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水問題の解決にあたって重要なのが、インフラの整備だ。しかし、浄水施設を含む水道施設となると、多くの費用が必要となるため、すぐに実現することはむずかしい。
そこで、NPOやNGOでは、まず井戸を掘り、井戸の水を汲み上げるための手押しポンプ用の器材を送るなどの支援を行っている。さらに、井戸を設置しても、適切に管理されなければすぐに壊れたり老朽化したり汚れたりして使えなくなってしまうため、村人たちが自身で管理ができるようにするプログラムの実施している(※5)。
アフリカをはじめとする、世界中の深刻な砂漠化に対処するため、1994年に国際連合条約「砂漠化対処条約」が採択された。これは、深刻な干ばつ、または砂漠化に直面する国(とくにアフリカの国)や地域が砂漠化に対処するために行動計画を作成し実施することや、そのような取り組みを先進締約国が支援することなどについて規定したものである。
日本も1998年から条約に加盟しており、砂漠化が進む地域に支援を行ってきた。そのひとつが、ブルキナファソ国タカバングゥ村で実施した、砂漠化対処に向けた在来技術の近隣間移転だ。
この取り組みでは、近隣地域で砂漠化対処に成果を上げている伝統的知識や技術、ノウハウを抽出。該当村の住民が主体となって行える技術を研修などを通じて習得・実施、村内における普及・定着させるサポートを行ってきた。
実施したからこそわかった課題もあるが、農地での収量が向上するなど、成果も出ている(※6)。
カーボンオフセットへの取り組みも、解決策のひとつとして注目されている。
カーボンオフセットとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を削減する手段のひとつ。企業や自治体などが、温室効果ガスの排出量を削減する努力した上で、どうしても削減しきれなかった量を埋め合わせるため、他の場所で排出削減・吸収の取り組みをしたり、そのような事業に出資したり、削減量の買い取りを行う仕組みのことだ(※7)。
たとえば、アフリカのガボン共和国では、2022年にカーボンオフセット市場で二酸化炭素9,000万トンのカーボンクレジットを発行する予定と発表した。ガボン共和国は、2,350万ヘクタールにおよぶ森林全体を対象とした気候変動対策活動から得られる、温室効果ガス排出削減量・吸収量を(カーボンオフセット市場で取り引きされる削減された炭素の単位)原資として、カーボンクレジットを発行(※8)。
これを世界中の企業などが購入することで、購入する側は排出量の埋め合わせをすることができる上、発行する側は、これからさらに温室効果ガスを削減・吸収するためのプロジェクトへの資金を得ることができる。
ここまで、アフリカが直面している環境問題や、世界の取り組みを紹介してきたが、私たち一人ひとりには何ができるだろうか。すぐに取り組めることを考えてみよう。
まず大切なのは、アフリカの環境問題について知ることである。
どんな問題があるのか、なぜその問題が起きてしまったのか、どうしてすぐに解決できないのかなど、さまざまな角度から考えて調べ、知ることが重要。理解することで、自分に何ができるのか見えてくるはずだ。
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アフリカの環境問題の解決に向けてアクションを起こしたり、支援したりしている団体に寄付を行うこともできることのひとつだ。
寄付と一口にいっても、決まった額を毎月寄付することができる継続寄付プログラムや、1回につき1,000円などの少額から、好きなときに行うことができる都度の寄付などがある。
アフリカで深刻化している異常気象や、それによる干ばつ、洪水、砂漠化などは、気候変動が関係している。その原因のひとつである、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスには、日本に住んでいる私たちが排出しているものも含まれていることを忘れてはいけない。
二酸化炭素排出量を削減するために、ごみを出さないようにする、車ではなく公共交通機関や自転車を利用するなど、まずはできることから行動してみよう。
アフリカは日本から遠く離れていることもあり、抱えている環境問題についてなかなか知る機会が少ないかもしれない。だからといって「関係ない」わけではなく、それどころか日本で排出している温室効果ガスも問題の原因となっていることを忘れてはいけない。国や企業が行うような大きなアクションはむずかしくても、一人ひとりがすぐにできることはたくさんあるはずだ。
※1 【プレスリリース】アフリカにおける干ばつの発生が、過去40年間でより頻繁かつ深刻、広範囲になったことが明らかに | 水・衛生専門の国際NGO ウォーターエイド
※2 緊急「アフリカの角」食料難と気候危機 | 国連UNHCR協会
※3 人々の暮らしと砂漠化対処(4ページ目)|環境省
※4 どんなに汚くてもこの水を飲むしかない…。 | 日本ユニセフ協会
※5 水衛生と子どもたち|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン
※6 人々の暮らしと砂漠化対処(9ページ目)|環境省
※7 カーボン・オフセットフォーラム(J-COF)の設立について(お知らせ) | 環境省
※8 世界最大規模のカーボンクレジット発行に着手(ガボン、アフリカ)|ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
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