干ばつの原因は? 地球環境や人々に及ぼす影響なども解説

乾いた大地

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「干ばつ」が原因で水不足や農作物の枯死などが発生し、生活や経済に深刻な影響を及ぼす地域がある。なぜ干ばつが発生するのだろうか?そして私たちは、干ばつを防ぐために何ができるのだろうか?この記事では、干ばつの原因やその影響について解説する。

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2024.06.22

干ばつとは

乾いた大地に置かれた船

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干ばつとは、長期間にわたり降水量が極端に少なく、地域の水資源が不足する状態のこと。干ばつにより農作物や水源、生態系に深刻な影響がおよび、食糧供給や経済にも大きな打撃を与える。

干ばつの原因

枯れた花

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干ばつが発生する理由としては次の3つが挙げられる。

地球温暖化による気候変動

地球温暖化による気候変動は、干ばつを引き起こす原因のひとつとされている。

欧州連合(EU)の気象情報機関によれば、2023年7月の世界の平均気温は16.95℃と、観測史上もっとも暑い月となった。気候の観測記録があるのは1940年以降だが、2023年7月は、過去12万5000年のなかでもっとも暑かったとされている。

2022年4月にIPCCが発表した第6次報告書によれば、産業革命以前に比べた地球の平均気温上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の目標に対して「すでに1.1℃上昇。現状のペースだと20年後には1.5℃を越え、2100年には3.2℃上昇する」と予測している。

気温が高い状態が長期化すると、気候のパターンが変化し、通常の自然界のバランスが崩れる。降雨量や貯水量などの水資源環境もバランスを崩すことになり、以前から水が乏しかった地域では水不足を悪化させ、干ばつのリスクを高める要因となる。(※1)

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人口増加による水使用量の増加

国連人口基金(UNFPA)によると、2023年に世界人口は初めて80億人を突破した。1950年時点では約25億人、2000年には約61億人だったことから、50年間で2.4倍、2023年までの72年間で3.2倍に増加したことになる。2024年にはさらに約7400万人増え、81億1900万人となった。

急増する人口に対して、必要な生活用水や農業用水の需要が急速に高まり、水資源の枯渇が問題視されている。人口の増加は経済と工業の発展にもつながり、それに伴う工業用水の利用も増加している。また都市化の進行により自然の水循環が乱れ、地下水の再充填が妨げられることも干ばつを引き起こす一因とされている。

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そもそも地形や地理的要因で降水量が少ない

地形や地理的要因で降水量が少ない地域は、とくに干ばつに対する脆弱性が高い。一例として、山脈の麓にある地域や内陸部などがある。山脈の麓にある地域や内陸部などは、海からの湿った風が届きにくいため、降水量が少なくなる。このような地形的特性により、通常の降水が少ないことから水資源が限られやすく、干ばつが発生しやすくなる。

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干ばつが地球環境や人々に及ぼす影響

道で歩く子ども

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干ばつは、地球環境や人々にとって深刻な問題とされている。では、具体的にどのような問題が考えられるのだろうか。

砂漠化の進行

乾燥により土地が劣化することを「砂漠化」という。干ばつにより土壌の水分が失われると、そこに生える植物が枯れてしまう。植物の根がない状態の土壌は風や雨によって流されやすく、栄養が豊富な腐葉土を失うと次の植物が生えにくい環境になり、結果的に砂漠化が進む。また干ばつによって生態系が崩れ、生物多様性が減少し、地域の自然資源が枯渇することもある。砂漠化の進行は、とくに農村部や開発途上国において経済的・社会的な困難を引き起こすとされている。

自然災害の発生

干ばつは、森林火災をはじめとした自然災害の発生を誘引する。また被害を拡大させることもあるため、世界中で問題視されている。パラグアイの国境に広がるチキターノ森林(Chiquitano Dry Forest)では、干ばつにより大規模な森林火災が発生し、4,000世帯以上に深刻な影響をおよぼした(※2)。

農作物の不足

干ばつが発生すると農作物の収穫が大幅に減少し、経済的な損失へとつながる。1983年から2009年までの27年間の降水量と収穫量の関係を調べた調査では、世界の主要穀物(トウモロコシ、米、大豆、小麦)の栽培面積の4分の3にあたる4億5千万ヘクタールが干ばつによる被害を受けたことがわかった。その総生産被害額は約1,660億ドルに上るとされる。(※3)。今後も干ばつが続くことで、農作物に甚大な影響を及ぼすことが危惧される。

食料不足による飢餓

2022年にエチオピア、ケニア、ソマリアをはじめとするアフリカの一部では、3年連続雨季に雨が降らなかったことで深刻な干ばつにみまわれた。度重なる干ばつの影響で、農作物が収穫ができず、家畜が死に、飢餓が拡大。その影響は約1300万人におよんだとされる。

干ばつによる収穫量の減少は主食の価格上昇とインフレを招き、さらに農業労働に対する需要の低下が追い討ちをかけ、食料を手に入れることがますます難しくなることで飢餓をもたらす。(※4)

生態系への影響

南米アマゾンの熱帯雨林で2015年に起きた大干ばつでは、25億種もの草木が消滅したとされている。植物生態学者によると、それと同じことが2024年に発生している大干ばつでも起こると予想されている。(※5)

干ばつは植物のみならず、そこに住む動物にも影響を及ぼす。干ばつにより植物が枯れると、動物や鳥などの生息環境が失われる。それにより食物連鎖が崩れ、地域の生態系が大きく乱れてしまうのだ。

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干ばつが問題になっている国や地域

夕日に照らされた草木

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干ばつは世界中で問題視されている。とくに干ばつが深刻な国や地域はあるのだろうか。

アフリカ

世界経済フォーラムでは、水資源の不足により水ストレスにさらされている地域が11あるとしている。そのうちの3つがアフリカである。アフリカ東部にあるソマリアでは、2021年に国土の90%で干ばつが発生し、人口の約5分の1である320万人が被害に遭った。

またザンビアやジンバブエ、マラウイをはじめとするアフリカ南部では、2024年に壊滅的な干ばつと水害が襲い、2400万人が飢えや水不足に陥っている。国連人道問題調整事務所によると、2024年は1月下旬から2月にかけての降水量が過去40年あまりでもっとも少なかったとされる。(※6)

アメリカ

アメリカでは、西部カリフォルニア州で深刻な干ばつが常態化している。2000年以降では、07~09年と12~16年、20年〜23年に干ばつにみまわれ、2000年から2021に発生した干ばつは過去1200年のなかでも最悪だったとされている。

全58郡で干ばつ緊急事態宣言が出され、節水などの呼びかけがなされた。(※7)1000カ所の以上の井戸が干上がり、干ばつで川の水位が低下したことで水力発電による電力の安定供給にも影響を及ぼした。また、水不足による作付面積の減少で米の収穫量が減り、価格が上昇するなどの影響も出ている。(※8)

中国

長江流域では、干ばつの影響で2022年にもっとも強い強力な熱波に襲われた。発生した熱波は1961年観測開始以来、もっとも強いとされている(※9)。熱波により四川省や重慶市、湖北省、湖南省、江西省、安徽省では約83万人が干ばつの影響を受けた。長江の水位低下で主要な水力発電所の発電能力が制限され、多くの地域で電力不足が起きるなどの問題も発生。(※10)農村や農作物、とくに米の収穫量も減少するなど、国内のみならず世界にも影響をおよぼしている。

干ばつ問題を解決するためにできること

倒れている樹木

Photo by Juanita Swart on Unsplash

干ばつはさまざまな要因が絡み合って引き起こされる。阻止するのは難しい問題だが、人為的な要因とされる気候変動と水の使用量の増加については、私たちにできることが少なからずあるのではないだろうか。

森林の保全と回復

森林は雨水をたくわえて洪水を防ぎ、雨が降らない時には少しずつ水を流す働きがある。また、木々から蒸発した水によって雨雲が形成され、雨をもたらすという役割も果たす。森林の保全と回復は、干ばつ問題を解決へ導く。

森林の保全と回復のために、私たちができることは多岐にわたる。一例として、紙の書類でやりとりしていた業務をペーパーレスにするほか、電子書籍を活用したり、ティッシュペーパーの使用量減らすなど、紙の使用量を減らすこと。「FSC認証」や「PEFC認証」といった、適切に生産された木材や木材製品に付けることが認められる森林認証マークを購入の判断材料にすること。国産材を使用した製品を購入することなどが挙げられる。また、植樹活動や森林再生プロジェクトに参加することで、直接的に森林回復に貢献できる。

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温室効果ガスの削減

干ばつ問題を解決するためには、地球温暖化対策が欠かせない。エネルギー効率の高い家電製品やLED照明を使用し電力消費を減らす、公共交通機関や自転車を利用して自動車の使用を控えることでCO2排出を削減する、フードロスや家庭から出るごみを減らす、使い捨てプラスチック製品を利用しないなど、身近にできることはたくさんある。こうした日常の小さな努力が、地球温暖化の緩和につながっていく。

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日本人も干ばつ問題について考えなければならない

食べ物を食べる人

Photo by Tucker Tangeman on Unsplash

日本は水資源が豊富で、干ばつとは縁がないと考えている人もいるだろう。しかし日本は季節によって降水量が大きく変化するため、安定して水を確保できる保証はない。また地球温暖化により気候変動が激しいことなども、日本人が干ばつを危惧しなければならない要因のひとつだ。自身の生活を見直し、干ばつを防ぐために必要なことを実施してほしい。

※掲載している情報は、2024年6月22日時点のものです。

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