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IPCCの第6次評価報告書が発表された。その内容によると、地球の平均気温は2100年に3.2℃上昇するという。そこでIPCC報告書の内容をわかりやすく解説。また国連のサイエンティストによる「気候変動を抑える5つの対策」を紹介しよう。
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IPCCとは、各国の政府関係者のほか、地球温暖化や気候変動に関する国際的な専門家が集まり、気候変動について評価を行う国連の組織。IPCCは下記のように3つの作業部会にわかれている。
・第1作業部会:温暖化の科学(科学的根拠)
・第2作業部会:温暖化の影響(影響と適応)
・第3作業部会:温暖化対策
今回、2022年4月4日に発表されたのは、第3作業部会の内容だ。
今回の報告書で明らかになったのは、2010年から2019年までの10年間における世界の温室効果ガス排出量は、過去のどの10年間よりも高い数値だったこと。
しかも、産業革命以前に比べた地球の平均気温上昇を「2℃未満、できるなら1.5℃にとどめる」パリ協定の目標に対して、すでに1.1℃上昇。現状のままでは、20年後には1.5℃を越え、2100年には3.2℃上昇する予測だ。仮に各国が掲げる目標をすべて達成できても、2.8℃の上昇になるという。
このままではパリ協定の目標達成には程遠いと指摘した、今回の報告書。1.5℃目標達成には、2025年までに温室効果ガス排出を減少に転じさせ、エネルギー、産業、農業、建物など、あらゆるセクターの大規模な削減対策が必要だ。
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パリ協定の目標を達成するための時間は、確実に限られてきたいま。各国政府や企業がさまざまな対策を講じているが、それ以外にできることはないだろうか。
国連のサイエンティストによる気候変動を抑える抜本的な対策を紹介しよう。
温室効果ガスの排出量のピークを3年以内にするためのもっとも効果的な方法は、太陽光発電、風力発電のような持続可能なエネルギーの利用だ。そのためには化石燃料の使用を終えることが必要となる。
大気中の二酸化炭素を取り除く技術の開発がすすめられている。これまでは“非現実な方法”と捉えられてきた面もあったが、今回のIPCC報告書では、温室効果ガスの排出量削減のほか、「大気中から二酸化炭素を回収する技術の革新も欠かせない」と指摘している。
自転車や公共交通機関を利用し、環境負荷の低い食事が好まれるなど、人々の生活スタイルが変わりつつある。このようなエネルギー需要の低いライフスタイルへのシフトは、人々への負担が小さく、かつ影響力のある方法のひとつだ。
IPCCは「化石燃料に多くの資金が使われているのに、クリーンエネルギーのような気候変動対策にはあまり資金が使われていない」と指摘している。グリーンピースの報告によると、化石燃料への補助金制度がなくなれば、2030年までに二酸化炭素排出量を最大で10%削減できる。各国の資金の使い方しだいで、環境への負荷が少ない選択肢の利用を、さらに促進できるだろう。
富裕層のライフスタイルは、プライベートジェットを利用するなど二酸化炭素排出量が多いことが、これまでも度々指摘されてきた。このような層に気候変動対策の税金を課す方法がある。
一方で、富裕層が低炭素なライフスタイルのモデルとなり、環境保護を推進するビジネスへの積極的な投資を呼びかけるなど、気候変動対策のリーダー的存在として世界を牽引することも考えられる。
前回のIPCC報告書に引き続き、厳しい現実を突きつけられた今回の内容。だが、希望の光はある。2019年までの10年間に排出された世界の温室効果ガスの排出量は、その前の10年間に比べて上昇率は鈍化した。つまり、各国の取り組みの成果が、わずかだが表れてきている兆しと言えそうだ。
今後も私たちにできることを、ひとつでも多く取り組んでいくこと。政府や企業任せにせず、地球の現状を“じぶんごと”と捉えていくことが、ますます大切になるだろう。
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