1.5℃上昇に「絶滅の瀬戸際」「緊急事態」 IPCC報告書 各国はどう反応したのか?

IPCC報告書, 気候変動

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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、世界は今後20年以内に気温が1.5℃も上昇し、厳しい状況にあるという。これを受けて、各国の首脳が危機感をつのらせるコメントを発表。主要国の代表や著名人がどのように反応したか、また今後私たちが行うべき取り組みについて紹介する。

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2021.08.12

2040年までに地球の気温が1.5℃上昇−−IPCC報告書

掲げられたプラカード

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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2021年8月9日、地球温暖化に関する第6次評価報告書を公表した。

IPCCとは、気候変動に関して、世界中の専門家の科学的知見を集約した国連の機関。IPCCでは、科学者が発表した論文や観測・予測データのほか、専門家による科学的分析、社会経済への影響などを踏まえ、気候変動に関する報告書をまとめている。

前回の報告書は2014年に公表されており、今回は7年ぶりのものとなる。

その内容によると、現在地球で起きている気候変動は人類に責任があることは、疑う余地がないと明言。

さらに、2021年から2040年までに地球の気温が1.5℃上昇する可能性が高いという。これにより、熱波や激しい降水などの頻度が上がることが予測される。50年に一度の記録的な熱波が起きる頻度は、産業革命前の8.6倍になるという。

夏には激しい暑さに襲われ、世界では山火事が頻発するなど、気候変動が身に迫る問題として実感している人が多いだろう。しかしこのままの状態では、今後20年でそれ以上に壊滅的な状況になる可能性が高いというのだ。

各国首脳・著名人はどう反応した?

デモ行進をする若者

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現在の地球がかなり危機的状況にあると警鐘を鳴らした、今回のIPCCの報告書。これを受けて、各国の首脳が危惧の念を抱き、センセーショナルな表現で反応している。

米バイデン大統領「待ったなし」

米トランプ前大統領は、地球温暖化の国際的な枠組みであるパリ協定を離脱するなど、気候変動を軽視してきた。それに対し、バイデン大統領は就任後すぐに米国をパリ協定に正式復帰。地球温暖化対策に積極的な姿勢を示している。

そんなバイデン大統領は、「We can’t wait to tackle the climate crisis.(気候変動危機への対応は、待ったなし)」とTwitterに投稿。すぐにアクションを起こさなければいけないことを発表した。

英ジョンソン首相「人類が壊滅的な気候変動を引き起こしている」

2035年までに、温室効果ガス排出量を1990年比で78%削減するという目標を、2021年4月に発表したイギリス。

世界のなかでも気候変動対策に積極的な姿勢を示している同国のジョンソン首相は、Twitterで「IPCCの報告書は明らか。人類は壊滅的な気候変動を引き起こしている。世界はともに行動しなければならない」と投稿している。

仏マクロン大統領「状況は劇的」

フランスでは、環境団体が国の政策ではパリ協定などの温暖化ガス削減の目標は達成できないと、政府に対策強化を求める運動が起きたことが、これまでに報じられた。市民の環境への意識が高い国のひとつと言える。

同国マクロン大統領は、IPCCの報告書を受けて「状況は劇的」と述べている。

モルディブ元大統領「絶滅の瀬戸際に追い込む」

世界でもっとも海抜が低い国、モルディブ共和国。地球の気温が1.5℃上がり海面が上昇すれば、国の存続の危機となる。同国のモハメド・ナシード元大統領は、IPCCの見通しは壊滅的であるとし、モルディブを「絶滅の瀬戸際に追い込む」と述べた。

国連事務総長「コード・レッド(緊急事態)」

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、今回の報告書の公表に先立ち、「この報告書は人類にとって、コードレッド(緊急事態)だ。我々は1.5℃に、危険なほど近づいている」と、自身のInstagramでコメント。強化した措置を緊急で取らなければならないと、強いメッセージを発信している。

COP26議長「目を覚まさせる」

2021年11月に開催が予定されているパリ協定の国連会議COP26では、IPCCの今回の発表を受けて、各国がより強化した対策を議論するものとみられている。

その議長を務めるアロック・シャロマは、「(衝撃的で)目を覚まさせるもの」と表現。自身のTwitterでは「赤信号が点滅している」という表現も使っている。

豪モリソン首相「計画のない目標に署名はしない」

IPCCの報告書に対し、危機感をつのらせる人が多い中、消極的な反応を示す例もある。

オーストラリアは近年、同国史上最悪の大規模な森林火災に見舞われるなど、気候変動による影響を大きく受けている国のひとつだ。

しかしこれまでにも気候変動に対する取り組みを積極的に行っておらず、IPCCの報告書が公表された日にも、市民が抗議の声を挙げ国会議事堂に落書きし逮捕者が出る事件が発生した。

そのような中、モリソン首相は「計画のない目標に署名はしない」と発言。また今回のIPCCの報告を、中国の責任と他国を非難する発言をしたという報道もある。

小泉環境大臣「政策強化に全力を尽くさなければならない」

最後に日本の声を紹介しよう。

小泉新次郎環境大臣は、「地球温暖化対策計画の策定と計画を実現するための大胆な政策強化に全力を尽くさなければならないとの想いを新たにした」と声明を発表している。

自身のブログでもこの内容について投稿しているが、大多数の首脳が危機的表現をしているのに対して、「気候変動対策が成功すれば、災害は減らせるという希望が示された」と、希望的コメントを寄せている点で異なる。

日本の政治家からはIPCCの報告書に対するコメントがほとんどなく、環境問題への意識が他国に比べて低いと言わざるを得ないだろう。

「最悪の結果はまだ避けられるが、いまのままでは無理だ」

氷のうえを歩く2頭のシロクマ

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世界でさまざまな反応があった、今回のIPCCの報告書。では、1.5℃という気温上昇のボーダーラインを超えないために、今後私たちはどうするべきか。

IPCCの報告書では、気温上昇を抑えるためには二酸化炭素排出量をネットゼロにすることが必要と述べている。今回の報告書が公表される前までは、2050年までに二酸化炭素排出ゼロを達成することが、社会的通念として広まっていた。しかし今回の報告書を受けて、この目標をかなり前倒して進めていく必要があるだろう。

スウェーデンの環境活動家 グレタ・トゥーンベリもTwitterで「これまでに数々の科学的証拠があったから、驚くべき内容ではない」と冷静にコメント。「最悪の結果はまだ避けられるが、いまのままでは無理だ」と述べている。

国や各自治体がさまざまな気候変動対策を掲げており、企業や公的機関が積極的に取り組みを行うことが求められる。

※掲載している情報は、2021年8月12日時点のものです。

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