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世界各地で、水不足問題が顕著になっている。なぜ水不足問題が起こってしまうのか、その原因や現状、解決策と私たちにできることについて解説する。
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水不足とは、人間が生きていくために必要な水が手に入らない状況のことを指す。これらの水には、飲料水をはじめ灌漑(かんがい)用水、冷却や洗浄といったモノの製造過程などで使われる水も含まれる。なお水不足は「水問題」「水不足問題」などとも呼ばれる。
日本は安全な水が手に入りやすく豊富にあり、「水不足問題」と聞いてもイメージしがたいだろう。しかし、世界には水不足問題を抱えている地域が多くある。
ユニセフによると、2022年時点において、世界の約22億人が安全に管理された飲み水を使えていない。このうち約1億1500万人は湖や川、用水路から確保した水を使っており、衛生面に不安がある。
また世界の約18億人が、自宅の敷地内で水を入手できていない。この状況下におかれている家庭では、主に女の子や女性が水汲みを担っている。学校に行くなど、ほかのことをする時間を奪われ、遠くまで水汲みに行く際には途中で怪我や危険な目に遭うリスクが潜んでいる(※1)
水ストレスとは、水不足によって日常生活に不便を感じる状態のことを指す。具体的な数値としては、人口1人当たりの年間使用可能水量が1,700㎥を下回ると水ストレスの下にある状態となる。このような水ストレス状態にある地域は、中東や北アフリカ、南アジアがあてはまる。(※2)
地球温暖化による気候変動が、世界各地で大雨や干ばつ、洪水といった異常気象を引き起こしている。この異常気象が、水の利用可能量に影響を及ぼしているのだ。たとえばインドでは降水量が減少し、モンスーンの時期が変化した結果、水不足がより一層深刻となっている。
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水不足が引き起こされる原因には、どんなことがあるのだろうか。
水不足が引き起こされる原因のひとつが人口の増加だ。国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2024」によると、世界人口は81億1900万人で、今後さらに増えると考えられている(※3)。人口が増えれば水を使う人も増えるため、水不足となってしまう。
人口の増加による生活用水が増えただけでなく、工業や農業といった産業の発展により、水の使用量が増えていることも水不足の原因といえる。
都市開発にともない森林が伐採され、水を貯蓄する機能を持つ水源が破壊されていることも水不足の原因のひとつだ。限りある水資源をきちんと守らないと、水不足は起こってしまう。
地球温暖化によって引き起こされる異常気象には、大雨や洪水、干ばつ、砂漠化などがある。これらの異常気象は世界各国で起こっており、それが水不足の原因となっている。
世界のあちこちで、湖や河川の上流地域での過剰取水、上流地域での汚染物質排出の問題、水の所有権、水資源開発と配分の問題などによって、水紛争が起きている。(※4)これも、水不足の原因だ。
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水不足問題の解決に向け、政府や団体、企業で取り組まれている対策を紹介しよう。
環境省は「アジア水環境改善モデル事業」を実施している。この事業はアジア地域の水環境を改善することを目的として、アジア地域において日本の企業が持つ優れた水処理技術のビジネス展開を促進していく取り組みのことだ。日本の水環境はよく、技術力も高い。他国へのビジネス進出という形で企業支援することで、水環境がよくないとされる地域や国の改善支援にもつながるというねらいがある。(※5)
国際協力機構(JICA)は、途上国の安定的な水資源供給を目指し、資金協力と技術協力で支援している。おもな取り組みとして、地域の水問題を解決する実践的統合水資源管理、水道事業体成長支援などがある。(※6)
多くの日本企業が水問題に取り組んでいる。そのうちのひとつが、日本コカ・コーラ株式会社が行う日本各地の水資源保全を守る活動「い・ろ・は・すの森活」プロジェクトだ。このプロジェクトは、同社の製品「い・ろ・は・す」の売上の一部を、日本各地で水資源の保全を行っている自治体・非営利活動法人(NPO)に寄付するというもの。また、製造における水の使用量の削減や排水管理を徹底するなど、水資源保護に取り組んでいる(※7)。
ユニセフは、世界中のすべての子どもたちの命と権利を守るための国連機関だ。世界190カ国で活動している。ユニセフの取り組みには、水不足の地域にも清潔な水を届けられるよう、井戸などの給水設備を建設するなどがある。また衛生的な生活が送れるようにトイレを設置したり、正しい手洗いのやり方を広めたりする活動を行っている(※1)。
ウォーターエイドは、水と衛生分野に特化して活動している国際NGOである。アジアやアフリカ・中南米など計26か国で、水と衛生に関わるプロジェクトを実施。それぞれの土地に合った方法で問題解決し、給水設備の設置やトイレの普及、衛生習慣の啓発などの活動で、清潔な水と適切なトイレを利用できるようにしている。ウォーターエイドに寄付することで、これらの活動を支援することも可能だ(※8)。
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水不足問題解決に向けて、私たちが日常でできるアクションを紹介する。
水不足問題の一番の解決法は節水だ。一人ひとりが節水を心がけるだけで、水不足問題を防ぐアクションとなる。たとえば歯磨きの水、シャワーの出しっぱなしなどは水の無駄遣いである。流しっぱなしにせず、こまめに止めることが大切だ。また洗濯回数を減らす、風呂の残り湯を再利用する、食器洗いや洗顔は水をためて使用する、節水コマを使うなどの節水アクションを習慣化しよう。
生活排水の汚れは、水質汚染を招いてしまう。そのため、シャンプーや洗剤などを使いすぎない、汚れのついた食器や調理器具は新聞紙や使わなくなった布などで拭ってから洗う、油を排水溝に流さないなど、生活排水の汚れを減らすように心がけよう。
前述したとおり、水不足問題は地球温暖化が原因のひとつとなっている。よって地球温暖化を防ぐようにすれば、水不足解消につながるだろう。地球温暖化を防ぐために、日常生活で次のようなことに取り組んでみよう。
・節電する
・エアコンの設定温度を見直す
・省エネタイプの家電を選ぶ
・公共交通機関を使って、CO2の排出量を減らす
・マイバッグやマイボトルを活用する
水は、人間が生きていくうえで必要不可欠なものだ。水不足問題を解決するためには、私たち一人ひとりにできることがある。たとえば節水や生活排水の汚れを減らすといった身近な工夫、水不足問題に取り組む団体への寄付などである。水不足問題解決のために、できることからアクションを起こそう。
※1 安全な水|ユニセフ
※2 水ストレスの試算|内閣府
※3 世界人口白書2023|UNFPA Tokyo
※4 水資源|国土交通省
※5 アジア水環境改善ビジネス|環境省
※6 持続可能な水資源の確保と水供給|JICA
※7 森を育て、水源を守る 「い・ろ・は・すの森活」プロジェクト
※8 ウォーターエイドの活動|水・衛生専門の国際NGO ウォーターエイド
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