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サハラ砂漠の南縁に広がるサヘル地域では、砂漠化が深刻な問題となっている。その原因や砂漠化が引き起こす問題、対策や取り組みについて解説する。
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サヘル地域とは、サハラ砂漠の南縁に広がる地域を指す。具体的には、セネガルの北部からモーリタニア南部、マリのニジェール川周辺、ブルキナファソ、ニジェール南部、ナイジェリア北部、チャド中南部を経てスーダンに至るまで、アフリカ大陸の東西に幅約200~400キロメートルの帯状に横断する地域だ。
このあたりは熱帯乾燥気候に属し、北側に砂漠があり、南側の熱帯林およびサバンナとの間に挟まれているのが特徴だ。
サヘル地域はかつて「緑の岸辺」と呼ばれ、緑が広がる豊かな土地であった。しかし現在では、地球規模での気候変動や人為的な要因から深刻な砂漠化が進んでいる。またこの砂漠化が、住民たちの生活にも大きな影響を与えていることも問題となっている。
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サヘル地域で砂漠化が深刻化する理由について解説しよう。
砂漠化が進む理由のひとつに人為的要因がある。たとえば乾燥地域の脆弱な生態系の地域で、許容限度を超えるほどヤギや羊を飼って放牧すること、過剰な伐採や耕作をすることなどが原因だ。こうした活動により土地の植物が減り、風で土が飛ばされる「風食」や、雨で土が流される「水食」といった、砂漠化の直接的な原因となる土壌の流出が進んでしまうのだ。
そしてもうひとつの要因が気候によって引き起こされるもの。気候変動には、大気中の二酸化炭素が増えたことによる地球の温暖化や熱帯の森林の減少、海の温度の変動などが関係していると考えられている。サヘル地域では、地球温暖化によって約80%の農地が退化しているといわれている。(※1)
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砂漠化は、さまざまな問題を引き起こす。問題となるのはおもに環境、資源、保健衛生、安全保障、社会経済の5つである。それぞれを解説する。
砂漠化の影響を受けるもので、わかりやすいのが環境だ。砂漠化が起こると、植物や生物の生息地がなくなり多様性が失われてしまう。それにともない、地下の水資源量や水質、土壌肥沃度の低下が起こる。また砂が増えて砂嵐が発生したり、土壌が侵食されたりする。その結果、人間や動植物がさらに生活しにくい場所となる。
環境の変化は、資源にも影響を及ぼす。資源には水や生物、農作物(農業生産)があるが、すべてが減少してしまう。人間が生きていくうえで必要な水や食べ物といった資源が手に入らなくなれば、大規模な食糧不足が起きることが予想され、住民たちの命を脅かすことにもなりかねない。
水不足や食糧不足が起これば、当然ながら保健衛生に影響が出る。栄養失調や飢餓は、大きな問題となるだろう。また水不足により水の質が低下することや、砂が増えることが原因で感染症や呼吸疾患が引き起こされることもある。
砂漠化は、安全保障も脅かす。安全保障への影響には、人間同士の対立と自然災害がある。人間同士の対立では、利用可能な土地や水資源の減少により、それらをめぐって取り合いが起こる可能性が高まる。自然災害においては、突発的な洪水や砂嵐、砂塵、寒波などが発生し、被害が出て過酷な環境になることが考えられる。
社会経済への影響も深刻だ。水不足や食糧不足が起こることで、十分な資源を入手できず貧困層が増える。また資源を求めて多くの人が移動し、人口が一つの都市に集中して増加することも考えられる。そのほか、社会経済レジリエンス(回復力、抵抗力)の低下も問題となるだろう。
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ここではサヘル地域で行われている砂漠化対策や取り組みを紹介する。
日本のNGO団体である「緑のサヘル」は、砂漠化が進むサヘル地域への支援を行っている。具体的には、チャド、ブルキナファソ、タンザニアにおいて、現地の人々とともに生活保障や環境保全といった活動に取り組んでいる。(※2)
国連WFPは、サヘル地域の砂漠化を食い止めるために住民による緑化の取り組みを支援している。サヘル地域にあるモーリタニアでは砂漠化がじわじわと進んでいたが、国連WFPの支援により、木を植えて土地を安定させる緑化作業が広がりを見せている。(※3)
JICAでは、砂漠化が深刻化するニジェールでさまざまな対策や支援を行っている。たとえば食糧問題を解決するための農業支援や、教育の取り組み支援として「みんなの学校」プロジェクトなどだ。「みんなの学校」プロジェクトは15年以上続いており、初等・中等教育の充実と就学率向上の成果を上げている。(※4)
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砂漠化を悪化させないために、個人でできる対策もある。ここでは、砂漠化から地球を守るために個人ができることを紹介する。
砂漠化を防ぐために、植樹活動に取り組んでいる企業やNPO団体がある。そういった企業やNPO団体を支援することも、個人ができる砂漠化対策のひとつだ。また森林再生プロジェクトに参加することでも、森林保全や回復に貢献できる。
砂漠化への取り組みを行っている団体などに寄付することも、個人ができる対策のひとつだ。また、植林や緑化活動のボランティアツアーを行っている団体もあるため、そういったボランティアに参加するのも砂漠化対策となる。
砂漠化の要因のひとつに、気候変動やそれにともなう地球温暖化などがある。悪化させないためには、原因となっている温室効果ガスの排出量を減らすことが重要だ。これらの排出量が少ない徒歩や自転車、公共交通機関を積極的に活用しよう。
地球温暖化を防ぐ対策には、リデュース・リユース・リサイクルを積極的に行い、ごみを減らすことも有効だろう。ごみを減らせば、ごみ処理による燃焼で排出される二酸化炭素を減らすことができる。またリデュースによってごみになるものをつくらずにすみ、生産や輸送などのために必要な温室効果ガス排出量も削減できる。リデュース・リユース・リサイクルの3Rを意識して生活しよう。
そのほかフードロスや家庭から出るごみを減らすこと、プラスチック製品を利用しないことも地球温暖化の緩和につながるだろう。
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砂漠化の要因のひとつは地球温暖化や気候変動だ。これらの対策には、温室効果ガスの削減などが有効だ。生活を見直し、砂漠化を防ぐためにできることを実践しよう。そして砂漠化問題に関心を持ち、動向を気にすることも、私たちができる取り組みのひとつといえる。
※1 アフリカ ブルキナファソ、マリ、ニジェール 砂漠化するサヘル地域の難民危機|国連UNHCR協会
※2 緑のサヘルとは?|緑のサヘル
※3 襲い来る砂漠化、懸命の緑化活動 | World Food Programme
※4 緑と平和のサヘルを再び | アフリカひろば | 各国における取り組み - JICA
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