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私たちの暮らしのなかで欠かせない、服や鞄やあらゆる日用品。それらがつくられ、消費され、破棄されるときには、どうしても環境へ負荷をかけてしまう。少しでもその負担が減らせるとしたら。環境や動物に配慮した「サステナブル素材」とは何か。具体例やおすすめのアイテムをみていこう。
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「サステナブル素材」とは、生態系を含む地球環境や人・社会に配慮した素材のこと。原料の調達から製造、販売、消費、廃棄に至るすべてのプロセスにおいて"持続可能であること"を目指す素材の総称だ。
オーガニックコットンのような天然素材や、再生セルロース繊維のような土に還すことができる素材、廃棄されるはずのものを再利用したリサイクル繊維(リサイクルコットン、リサイクルポリエステル)、動物由来でないヴィーガン対応素材(ヴィーガンレザー)などが主なものとして挙げられる。
また、公正な貿易に基づいて製造されたフェアトレード素材のような、社会の持続性に寄与するものもサステナブル素材のひとつと言える。
なお、サステナブル(sustainable)とは、‘sustain’「~を維持する/~を持続させる」という意味の他動詞の語尾に「~が可能な」という意味の‘able’がついた、‘sustainable’「持続可能な」という形容詞。
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サステナブル素材が注目されるようになった背景には、ファッション産業の環境負荷の高さが挙げられる。
石油由来の化学繊維の生産・破棄による温室効果ガスの排出、染色工程における水の大量消費、さまざまな薬品が含まれた大量の排水、ファストファッションの台頭による大量生産・大量消費・大量破棄などによる環境負荷(※1)が、地球温暖化や気候変動、資源の枯渇といった環境問題を引き起こす一因とされ、危惧されるようになった。
大量に消費され、短いサイクルで破棄される衣類は、最後には焼却や埋め立てされる。化学繊維が多用された素材を焼却すれば、有害なガスが発生する恐れもあり、埋め立てされれば、ケミカル素材は高分子で分解に膨大な時間がかかる(※1)。
こういった背景から、少しでも環境への負荷が少ない素材への注目が集まっているのだ。なお、これはファッションに限ったものではない。私たちの生活には、便利で比較的安価な石油由来のプラスチックが大量に出回っており、日々消費されている。こうしたものに替わる、環境負荷の低い素材がいま、求められているのだ。
サステナブル素材の利用は、持続可能な消費と生産を実現し、環境問題の課題解決のひとつの策として注目されている。それは、SDGs(持続可能な開発目標)(※2)の目標12「つくる責任 つかう責任」にも大きく関連している。
目標12の達成に向け、生産者や企業には、資源を無駄にしないものづくりを行い、循環型のビジネスモデルを構築することが求められる。
12.6 企業、特に大企業や多国籍企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう促す。 12.3 2030 年までに、小売・消費者レベルにおける世界全体の一人あたり食品廃棄を半分にし、収穫後の損失を含めて生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減らす。
SDGs 目標12「つくる責任 つかう責任」を解説 | ELEMINIST(エレミニスト)消費者には、「3R」に取り組むことで資源を無駄にしないライフスタイルが求められる。
12.5 2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。
SDGs 目標12「つくる責任 つかう責任」を解説 | ELEMINIST(エレミニスト)さらに日本においては、「3R」に「Renewable」を加えた「3R+Renewable」が環境にやさしい循環型社会を構築するための基本原則に掲げられている(※3)。「Renewable(リニューアブル)」とは、"持続可能性に配慮してつくられた代替製品を選ぶこと"。これらの4つの"R "への日々の取り組みが、SDGsの目標達成には欠かせない。
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サステナブル素材には、以下のようなものがある。
・オーガニックコットン
・バイオマス素材
・再生セルロース繊維
・リサイクル素材
・アニマルフリーな素材
・フェアトレード素材
・無水染色素材
それぞれどのようなものか、種類や特徴をみていこう。
オーガニックコットンとは農薬や化学肥料に頼らず、有機農法で育てられたコットンのこと。コットンのもととなる綿花は害虫に弱いため、栽培時には大量のう農薬や除草剤などが使われる。また効率よく栽培するために、化学肥料が使われることも多い。オーガニックコットンでは、それらの農薬と化学肥料の使用を制限しているのが特徴だ。
「オーガニック」と名乗るためには基準が設けられており、遺伝子組み換え技術を使用しないこと、強制労働・児童労働を行わないこと、トレーサビリティ(製品の追跡可能性)が確保されていることなどが条件だ。細かな基準は各国によって異なる。
オーガニックコットンのメリットは、残留農薬が通常のコットンよりも少なく安心して使えること、化学繊維のように高分子ではないので土にかえりやすく、燃やしてもケミカルな有害ガスが発生しないこと、余計な加工がなされていないため素材本来の弾力とやさしい肌触りが楽しめること、吸湿性や通気性・保湿性に優れており、使い心地がよいことなど。
デメリットは、生産される絶対数が少ないため、通常のコットンよりも価格が割高な傾向にある。また、繊維に加工が施されていないものほど柔らかいため、物理的な耐久性については通常のコットンよりも低いと考えられる。
バイオマスとは、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」。石油のような一度利用すれば再利用が困難な化石資源に対し、バイオマスは再生可能な資源だ。
バイオマス素材とは「バイオマスプラスチック」に代表され、植物などの再生可能な有機資源を原料とするプラスチックのこと。原料となるサトウキビやとうもろこしなどの植物は、石油などの化石燃料に比べ、1〜10年など比較的短いサイクルで再生産することができる(※4)。
また、原料となる植物は成長時に光合成で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する。バイオマスプラスチックを最終的に焼却処分したとしても、カーボンニュートラル性から、排出されるCO2は植物が吸収した量と同じと考えられ、環境負荷が軽減できるメリットがある。
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植物を原料とした人工的な繊維で、木材パルプなどのセルロース部分を薬品で溶かして繊維に再生することでつくられる。生分解性を持っている点で環境への負荷が低いとされている。
絹の代替の素材として開発されたレーヨンをはじめ、リヨセルやキュプラなどが挙げられる。吸湿性に優れ、光沢感があり柔らかい肌触りが特徴だ。デメリットは、水に濡れると縮み、シワができやすい点。
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リサイクル素材とは、本来廃棄されるものを再生素材として活用したものの総称。代表的なものはリサイクルポリエステルやリサイクルコットンだ。
リサイクルポリエステルとは、使用済みのペットボトルや衣料品、繊維くずをリサイクルしたポリエステル繊維のこと。リサイクルコットンとは、紡績工場や縫製工場で出た端切れや落ちわたを集めて裁断し、新しい糸に再び紡いだもの。
いずれも本来はごみとなり捨てられるはずだったものを再利用している点で、環境への負荷が低い素材と言える。
「アニマルフリーな素材」とは、「非動物性」でつくられた素材のこと。動物の毛皮や皮、ダウンなどを使わずに、人工的な素材を用いて似せてつくられたものや、製品開発の過程で動物実験を行わないものを指す。
代表的なものにヴィーガンレザーがあり、従来のリアルレザーが動物の皮革であることに対し、ヴィーガンレザーは石油由来や植物由来の原材料が使われている。
動物の犠牲を減らすアニマルウェルフェアの観点と、リアルレザーの製造工程における「なめし」作業による環境負荷の観点から、サステナブルな素材と言える。
「なめし」作業には大量の水が使われ、その排水には動物の毛や化学薬品が含まれており、河川を汚染してしまうことが問題となっている。
「フェアトレード」とは、直訳すると「公正な貿易」。生産者の労働に見合った価格で対等に取引が行われる貿易システムやパートナーシップのこと。とくに発展途上国の生産者に対し、生産された原料や製品を適正な価格で購入し続けることで、立場の弱い生産者の賃金や労働環境、生活水準の保護と向上を目指すものだ。
「フェアトレード素材」とは、フェアトレードされた素材のことであり、コットンや天然ゴムなどが該当する。生産者や生産農家を守ることは、生産と供給の持続可能性につながる。
繊維製品の製造において、染色工程は大量の水を使用し、薬品が含まれた水を大量に排出するという点で環境への負荷が懸念されている。排水はきれいにろ過する必要があり、そのためにエネルギーを消費する。
無水染色とは、水を使わずに二酸化炭素で染色する方法。二酸化炭素に超高圧をかけると気体でも液体でもない中間物質になる。この気体と液体の中間状態は物を溶かすことができ、溶かされた物質は細かい隙間まで入っていくため、染料を溶かして繊維を入れておくと、染料が繊維のなかに移り込む(※5)。
二酸化炭素は繰り返し利用できるうえに界面活性剤などの助剤を使用しなくて済むため、環境負荷が少ない。また、廃液が出ないため、処理施設が不要というメリットもある(※5)。実用化に向けて研究が進められている。
サステナブル素材を用いて、環境に配慮しながら実用的な製品づくりに貢献しようとするブランドが増えている。おすすめのサステナブルな素材を使った日用品をみていこう。
サボテンレザーのスマートウォレット。サボテン繊維と植物を主な原料とするバイオポリウレタンからできたヴィーガンレザーを使用している。皮が柔らかく、しなりがあるので中のものを取り出しやすく、オイルを塗るなどのお手入れも不要。環境負荷も低く、動物由来のレザーや石油由来のフェイクレザーと比べ、CO2の排出量や水資源の利用を大幅に削減できる。
CACTUS TOKYO (カクタストーキョー)
スマートウォレット
16,500円
※2024.03.22現在の価格です。
100%オーガニックコットンでつくられた洗濯ネット。社会や公益のための事業を行っている企業に与えられるB Corporation認証(B corp認証)やオーガニック認証制度のGOTS認証を取得。
やわらかく伸縮性に優れたオーガニックコットンのメッシュ地を使用しており、洗濯時にも未来を見据えた環境にやさしい排水を行うことができる。天然繊維のため、化学繊維製の洗濯ネットと比べて洗濯ネット自体からのマイクロプラスチックの流出を減らすことができる。
LastObject(ラストオブジェクト)
オーガニックコットン製 洗濯ネット-Big
1,650円
※2023.12.13現在の価格です。
プラスチック製ラップの代替品として注目され、持続可能な暮らしをサポートする、カナダ生まれのみつろうラップ。オーガニックコットンと麻でつくられた生地に、独自の配合でミツロウ、ホホバオイル、天然樹脂(木由来)のコーティングを施している。
空気を通す性質で食材を生きたまま保存。また、無駄なごみを出さずに繰り返し使える。バラエティなサイズ展開があり、さまざまな食材に適している。
abeego
ビーズワックスラップ - 5サイズ展開
2,970円
※2022.06.29現在の価格です。
今回こちらでミディアムのセットを購入しました。お昼のお弁当用におにぎりを包むのにラップを毎日消費していて、それが勿体無いし環境に良くないしで嫌になって、みつろうラップを初めて使ってみようと思いました。 初心者としては3枚セットで手を出しやすい価格と枚数だったと思います。 実際に使ってみて蜂蜜のような独特な香りが少し気になりましたが、蜂蜜の香りが好きな方や環境のためにという信念のある方なら気にしないor我慢できる程度かと。(おにぎりを包みながら食べていたので食べ物に香りが移ったわけではなく、ラップに顔を近づけたせいだとは思いますが…) 初心者なので他のブランドとの性能面での比較はできませんが、柄のイラストはなんとなく可愛くて好きです。 噂でソイワックスのラップというものもあると聞いたのですが、蜜蝋の方が殺菌作用とかあるのかなとも思うので、とりあえずはこのまま使い続けてみようかと思います。
ジャイアントサイズ、大きすぎかと思いきやめちゃめちゃ重宝してます! 大は小を兼ねる。そして他のミツロウラップよりやや厚め? なんでも包めます。葉野菜を包む時、他にもお花屋さんで花束をもらう時役立ちました!
「竹を使った素材で人々を健康に」という思いから生まれたブランド「takes.(テイクス)」。土に還るものづくりを目指し、人の健康と地球環境のためにできることを考え続けている。
こちらは竹100%のTAKEFU(竹布)とオーガニックコットンのみでできた、タイムレスなデザインの無地Tシャツ。柔らかで、摩擦が起きにくい素材のため、肌にやさしくストレスフリーな着用感。着古した後は、180日程で土へ還すことができる。
takes.
半袖カットソー - ウィメンズ
9,900円
※2023.12.18現在の価格です。
肌触りの良さがとにかく素晴らしくて今までのTシャツの中で1番のお気に入りになりました。厚みも厚すぎず薄すぎずちょうど良く、なんだか上品さがあります。とにかく着心地が最高です。
フランスのデザインスタジオ「MINIMUM DESIGN」が提供する100%植物由来の素材からつくられたプランター。折り紙アートにインスパイアされた、直線の組み合わせが美しいデザイン。
リサイクル木材とトウモロコシが主成分の生分解性に優れたバイオマスプラスチックは、土に還すことも可能。室内で使用する鉢や鉢カバーとして、また小物入れとしても利用できる。
MINIMUM DESIGN
インドアプランター - ディアマン
2,400円
※2024.03.22現在の価格です。
スリランカのゴム農家からフェアトレードで調達した、天然ゴム100%のグローブ。資源が枯渇しないよう管理された森林で採取された、純粋な原料でつくられている。
食器洗い、家やバスルームの掃除、ガーデニングなどさまざまな用途に最適。天然原料なので、使用後は小さく切ってコンポストに入れて堆肥化することも可能だ。
IF YOU CARE(イフユーケア)
フェアトレード天然ゴム手袋
1,210円
※2024.03.22現在の価格です。
日本原産のオーガニックコットンを使用した、環境にやさしいティーバック。飲み終わった後は、茶葉だけコンポストに入れて、ティーバッグは繰り返し使うことができる。
斗々屋は、ゼロウェイストなライフスタイルを提案するオンラインストアで、持続可能な暮らしをサポートしている。
斗々屋
オーガニックコットン製ティーバッグ
220円
※2022.12.14現在の価格です。
ルイボスティーを入れています。大きなボトルに入れて会社に持っていくと 紙パックだと、時間が経ったり、 お湯を継ぎ足していく内に 茶葉が漏れたりすることがありましたが、 それもなくなり、1日中入れっぱなしですが 安心できます。 アイスコーヒー用に大きいサイズが欲しいです。
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環境負荷が高い、これまでの素材に替わる選択肢として、注目を集めているサステナブル素材。
私たちが暮らしを営むうえで、洋服やバッグ、日用品はどうしても欠かせない。必要最低限のものに厳選し、長く、大切に、繰り返し使うことで環境への負荷を減らすことができるけれど、ゼロにするのはどうしても難しい。ならば、原材料から見直し、生産・使用・破棄のすべての過程において環境や人、動物への負担を少しでも減らせるアイテムで、身の回りのものを揃えてみるのはいかがだろう。
研究開発が進み、企業にとってもビジネスチャンスとなり得るサステナブル素材。今後もますます、私たちにとって使いやすく、地球にもやさしいアイテムが生まれてくることが期待できる。
※1 サステナブルファッション|環境省
※2 SDGsとは?|JAPAN SDGs Action Platform|外務省
※3 環境省|「プラスチック資源循環戦略」について
※4 環境省|バイオプラスチックとは?
※5 福井大学|繊維王国・福井の技術力を背景に、水を使わない「超臨界流体染色」と「スマートテキスタイル」の開発に挑む
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