環境配慮や資源の有効活用の考え方で耳にする「Renewable(リニューアブル)」。言葉そのものの意味は「再生可能な」であるが、「3R+Renewable」ではどのような意味が込められているのか。使われるようになった背景や具体的な取り組みとともにみていこう。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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「Renewable」とは、日本語では「再生可能な」と訳され、「リニューアブル」と読む。日本では「3R+Renewable」という使われ方で目にする人も多いのではないだろうか。
「3R+Renewable」で使われるときの「Renewable」は、「再生可能な資源を活用する」や、「再生可能な資源に替える取り組み」という意味を持つ。
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まず3Rとは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字のRと取った総称。環境にやさしい循環型社会を構築するため、資源を無駄なく繰り返し使うという考え方だ。
「3R+Renewable」は、そこに、もうひとつの"R”の「Renewable(リニューアブル)」を加えたもの。2022年4月1日から施行された、通称「プラスチック新法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)」の元となった「プラスチック資源循環戦略」の基本原則として掲げられている。
・Reduce(リデュース) → 「減らす」
・Reuse(リユース) → 「繰り返し使う」
・Recycle(リサイクル) → 「再生利用する」
・Renewable(リニューアブル) → 「再生可能な資源を活用する」
資源を無駄なく繰り返し使うことに加え、石油由来のプラスチックではなく、再生可能な資源でつくられたプラスチックを使用する、または開発・活用する取り組みを推進していこうという狙いが込められている。
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さまざまな製品に加工されるプラスチックは、我々の生活に欠かせないもの。しかし、プラスチック製品への依存度が高まるにつれて、ごみ問題や気候変動問題など、さまざまな環境問題を引き起こしてきた。
「3R+Renewable」を基本原則とする「プラスチック資源循環戦略」が掲げられた背景には、海洋プラスチックごみ問題に対する国際社会での関心の高まりが挙げられる。国際社会で海洋プラスチックごみが注目されるきっかけになったのは、エレンマッカーサー財団が2016年に発表した「THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICS」。
財団によると、不適正な処理が原因で海洋へ流出するプラスチックごみは、世界全体で年間数百万tを超えると推計される。2050年までに、魚の重量を上回るプラスチックが海洋環境に流出すると予想されているのだ。この予想は、発表当時世界中に衝撃を与え、国際社会における取り組みを加速させた。(※1)
日本においては2019年5月に「プラスチック資源循環戦略」が策定。具体的に以下のような目標を掲げている。
・2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制すること(Reduce)
・2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクルすること(Reuse・Recycle)
・2030年までに再生利用・バイオマスプラスチックの利用を倍増させること(Renewable)
2020年7月からは、レジ袋有料化の取り組みがスタート。2022年4月には、日本国内におけるプラスチック資源循環の取り組みをさらに加速させていくために「プラスチック新法」が施行された。プラスチックごみがもたらす環境負荷を減らすため、プラスチック削減・リサイクルの推進を目的とする法律だ。
リデュースとは、廃棄物の発生を少なくさせること。耐久性の高いものを利用し、廃棄物を減らすことや、マイバッグを持参して無駄な包装をなくすことなどが取り組みのひとつだ。
<リデュースの具体例>
・マイバックを活用する
・簡易包装、エコ包装されている商品を選ぶ
・詰め替え用商品を買う
・使いきれる分の食品を買う
・本当に必要なものだけを買う、ムダなものを買わない
・長く使えるような品質のいいものを買う
リユースとは、使用したものを何度も利用することで廃棄物を減らすことだ。フリーマーケット等の中古品販売によって不用品を再使用することなどが挙げられる。
<リユースの具体例>
・使わなくなったものをフリマアプリやフリーマーケットで売る
・詰め替え用の製品を購入して、容器を繰り返し使う
・リターナブル容器を使っている製品を選ぶ
リサイクルとは、廃棄物を再び原材料に戻すことやエネルギーとして有効に利用することを指す。資源ごみの分別回収やリサイクル製品を利用するなどの取り組みが挙げられる。
<リサイクルの具体例>
・資源ごみを分別回収する
・リサイクル製品を使用する
・リサイクルしやすい製品を開発する
・リサイクル原材料を使って製品を製造する
リニューアブルとは、再生可能な資源を活用する取り組み。例えば、石油由来のプラスチックに替わり、植物由来のバイオマスプラスチックを使用するなどの取り組みが挙げられる。
<リニューアブルの具体例>
・レジ袋をバイオマスプラスチック製にする
・エネルギーを再生可能エネルギーに切り替える
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石油由来のプラスチックに替わる、再生可能な資源の活用として期待されるのが、バイオマスプラスチック。
バイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能な有機資源を原料とするプラスチックのこと。原料となるサトウキビやとうもろこしなどの植物は、石油などの化石燃料に比べ、1〜10年など比較的短いサイクルで再生産することができる。
また、原料となる植物は成長時に光合成で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する。バイオマスプラスチックを最終的に焼却処分したとしても、カーボンニュートラル性から、排出されるCO2は植物が吸収した量と同じと考えられ、環境負荷が軽減できるメリットがある。
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に替わる、再生可能な資源の活用として挙げられるのが、再生可能エネルギー。
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱、バイオマスの7種類で生み出されるエネルギーのこと。資源枯渇のおそれが少ないことや温室効果ガスを排出しないこと、国内で生産できるためエネルギーの安全保障にも寄与できることなどがメリットとして挙げられる。
日本では2020年時点で、再生可能エネルギー比率は約19%。ドイツ、イギリス、スペインの43%と比べて低い水準にある。(※2)しかし、その比率は年々増加しており、2030年には、再生可能エネルギー比率22~24%を目指すなど、国を挙げての取り組みが行われている。(※3)
「3R」という言葉が登場してしばらく経ち、「プラスチック新法」の施行やSDGs(持続可能な開発目標)の設定などにより、ごみを減らし、資源を好循環させるという考え方が私たちの暮らしに定着しつつある。
けれど、地球規模の環境汚染を食い止めるには、まだまだ改善しなければならないことも多い。環境の負荷となるもの自体を生み出さないこと、つまり「Renewable(再生可能な資源を活用する)」も意識して暮らしに取り入れていってみてはいかがだろう。
バイオマスプラスチック製のものを選ぶ、自宅では再生可能エネルギーを活用するといった取り組みが、地球を守る大きなインパクトへとつながっていく。
※1 WORLD ECONOMIC FORUUM|The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics
※2 資源エネルギー庁|国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案
※3 資源エネルギー庁|再生可能エネルギーの特徴
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