持続可能な社会を実現するサステナブルデザイン 商品事例とチェックしたい認証を紹介

植木鉢とグリーン

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現在の地球環境を未来に残すために「サステナブルデザイン」の必要性が訴えられている。従来の大量生産、大量消費とは異なるコンセプトでデザインされる商品とは一体どのようなものなのだろうか?この記事ではサステナブルデザインについて詳しく解説し、求められている背景について紹介する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2024.03.19
EARTH
編集部オリジナル

地球を救うかもしれない… サキュレアクトが出合った「未来を変える原料」と新たな挑戦

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サステナブルデザインとは

深い森

Photo by Jun Ohashi on Unsplash

ここ数年でよく聞かれるようになった「サステナブル」とは、日本語で「持続可能性」を指す言葉だ。サステナブルな社会では、地球環境を守ることと同時に、人間の活動や経済とバランスをとり、将来の世代に豊かな資源や環境をよりよい状態で残すことが求められる。

また「サステナブルデザイン」は、製品やサービスの開発段階からサステナビリティを考慮し、持続可能性を追求するデザインのことである。

単に商品の形のことを指すのではなく、資源の効率的な利用や生産過程で発生する廃棄物の削減、再利用やリサイクルの促進など、商品が生み出す環境への付加価値を追求する。

サステナブルデザインの優れた商品は、生産から消費までのプロセスにおいて環境への影響が少なく、社会的側面も考慮した持続可能なソリューションを提供する。

従来のデザインの課題と取り組み

椅子の上に置かれた洋服

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従来のデザインは単に製品やサービスの外観や機能に焦点を当てており、環境への影響や社会的責任を考慮してデザインされていない。

ただ経済や人間の活動を主軸において大量に生産されたデザインは、価格が低くなり、自ずと大量に消費されやすい。売れれば売れるほど環境に多大な影響を与えることとなる。

大量生産と大量消費

近年の消費スタイルは、大量生産・大量消費といわれる。一過性のトレンドや需要に基づいてデザインされ、また大量生産することで販売価格が下がり、よけいに消費されやすくなる。すると、一つひとつの製品の寿命が短くなり、廃棄物の増加や資源の無駄遣いにつながるなどの問題を抱えている。

さらには、そのようなサイクルの中で、資源の浪費や環境汚染などに悪影響を与えるといったことが繰り返されている。

例えば、プラスチック製品がそのまま大量に捨てられると、自然界に残留することが知られている。海や森などさまざまな場所に捨てられることで、そこに住む生物に影響を与え、生態系に悪影響を及ぼすこととなる。

またプラスチック製品の製造には石油資源が使われ、石油の採掘や加工による環境破壊や地球温暖化を引き起こす。日本の例を見てみると、2022年の廃プラスチック総排出量は823万tにもなる。(※1)

そのほかにも、持続性に焦点を置かない従来のデザインはさまざまな環境問題を引き起こしており、あらゆる製品のサステナブルデザインへの移行が求められているのだ。

今後の取り組み

資源を大量に消費する従来のデザインから脱するための具体的な取り組みとして、サーキュラーエコノミーを目指すことが求められている。

サーキュラーエコノミーとは、資源の効率的な利用や廃棄物の最小化を重視し、従来の一方向の「生産→使用→廃棄」のモデルではなく、資源の循環を目指す経済モデルだ。

日本語では循環型経済とも呼ばれ、製品や材料の設計段階からリサイクルや再利用を考慮し、製品の寿命を延ばしたり、廃棄物を原料として再生利用したりすることで、資源の有効活用と環境への負荷の軽減を図る。

先ほど触れた日本の廃プラスチック総排出量も、そのうち87%はリサイクルなどで有効利用されている。(※1)

サーキュラーエコノミーとは 商品事例から意味をわかりやすく深掘り解説

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サステナブルデザインを知る上で知っておきたい認証

環境負荷への低減や社会的役割の高いサステナブルな取り組みを判断する指標に、サステナブルラベル(サステナブル認証ラベル)がある。

サステナブルラベルは持続可能な原材料調達や環境・社会的配慮、生物多様性などに関連する国際認証ラベルの総称。消費者にとっては環境や社会への配慮を判断する指標となり、企業にとっては品質や自社の社会的な取り組みを広めるための手段だ。

ここでは、サステナブルデザインに関連する認証を紹介する。

FSC認証

FSC認証は、森林を適切に管理し、認可を得た森から木材を提供する国際的な取り組み。この認証はNPOであるFSCが運営しており、「FM認証(森林管理の認証)」と「CoC認証(加工・流通過程の管理の認証)」の2つの認証が与えられる。FSC認証された木材は、上質紙や家具などあらゆる用途で活用されている。認証を与えることで森林破壊を食い止め、持続可能な森林資源を次世代に残すことを目的としている。

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GOTS認証

GOTS認証は、コットンなどの原料が製品として消費者に提供されるまでのすべての工程でオーガニックであることを保証する認証制度だ。GOTS認証を受けた製品は、原料の70%以上がオーガニックであり、加工や製造、流通の全工程が環境的かつ社会的に配慮されている。

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B Corp

B Corp(Benefit Corporation)は、社会や環境への配慮が高い企業に与えられる国際的な認証制度である。企業の社会的責任や環境への取り組みを評価し、透明性や説明責任などの基準を満たした企業に与えられる。B Corp認証の特徴は、商品を対象として認証するのではなく、企業のあり方やビジネスモデルを認証することだ。環境や社会に配慮した事業を行い、B Labが定めた厳しい基準をクリアした企業が認証される。

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リーピングバニー認証

リーピングバニー認証は、動物実験を行わない企業と消費者を結びつけるための認証制度である。1996年にアメリカとカナダの8つの動物保護団体が結成した「CCIC(Coalition for Consumer Information on Cosmetics)」が、この認証制度を運営している。

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グリーンビルディング認証

グリーンビルディングは環境への負荷を削減した建築物のことであり、「持続可能な建築」や「環境建築物」とも呼ばれている。世界各国で認証制度があり、その一つであるLEEDはアメリカのNPOである米国グリーンビルディング協会が1998年に設立し、世界的な認証制度として知られている。日本では、国土交通省の支援のもと、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)がグリーンビルディング認証を担っている。

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ZEH(ゼッチ)住宅

ZEH(ゼッチ)住宅は「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称であり、使うエネルギーよりも生み出すエネルギーが多い住宅を指す。ZEH住宅の普及を促進するため、日本政府は補助金制度を設けており、ZEH住宅の建設や改修を行う際には、補助金の申請が可能。また建築業者や設計事務所なども、ZEH住宅の普及に向けてさまざまな支援を行っている。

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パッシブハウス

パッシブハウスは、1991年にドイツ・パッシブハウス研究所が確立した住宅性能基準に則って建築された住宅だ。最新技術だけでなく、自然のエネルギーを最大限に活用しているのが特徴で、パッシブハウスはエアコン1台を稼働させれば夏も冬も快適に過ごすことが可能だ。エネルギー消費量が極めて低いため、環境に配慮した持続可能な住環境を実現している。

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サステナブルデザインを取り入れた製品

ELEMINIST SHOPが扱う、サステナブルデザインを取り入れたアイテムを一部紹介する。

anela:コルク・廃棄マテリアルを利用

anela(アネラ)は、株式会社GOOD DEAL COMPANYが展開する"re-union products"をコンセプトとしたブランド。同社は東京都内の飲食店と連携し、再生コルクやその他の廃棄マテリアル、リサイクルマテリアルを組み合わせた製品プロジェクト「TOKYO CORK PROJECT」を主導している。

コルクは主にポルトガルやスペインなどの原産国から供給される天然素材だ。日本では自給できないため、一度つくられたコルクを無駄にしないリサイクルにこだわり、新たな資源消費を抑制している。

MUD Jeans

MUD Jeans(マッドジーンズ)は、オランダ発のサステナブルなサーキュラーエコノミーデニムブランドだ。同ブランドのアイテムは、リサイクルを前提に設計されており、廃棄されたジーンズなどのリサイクル素材が約40%を占めている。残りの素材はオーガニックコットンからできた糸を、ボタンやリベットは100%ステンレス製を使用している。

また従来のジーンズ生産に比べて水の使用量を94%削減し、CO2排出量も75%削減するなど、環境負荷を大幅に低減しており、持続可能なファッションの実現を目指している。

STTOKE

STTOKE(ストーク)は、2018年にオーストラリアのメルボルンで創業されたリユーザブルカップブランド。創業者はコーヒー愛好家で、毎朝サーフィンの後にお気に入りのカフェでコーヒーを楽しむことが日課だった。しかしある日、使い捨てカップが海洋ごみの一因になっていることを知り、飲み物のおいしさを損なわないリユーザブルカップをつくることを目指して同ブランドを立ち上げることとなった。

ちなみに、ブランド名の「STTOKE」は「ワクワクさせる」という意味のスラングである「STOKE」に由来している。

stojo

stojo(ストージョ)は、2014年にニューヨークで設立されたブランド。ニューヨークで大量の捨てられたコーヒーカップのごみを目にしショックを受けた創業者は、コンパクトに折り畳めて何度も使用できるコーヒーカップを考案した。

stojoのコーヒーカップは、持ち運びに便利で使い捨てのカップを減らせることから、持続可能なライフスタイルを実現するための製品として人気を集めており、ELEMINIST限定のカップも展開している。

BambooRoll

BambooRoll(バンブーロール)は、紙・芯ともに竹を原材料として100%使用したトイレットペーパーだ。従来の木材パルプに代わる素材として竹を選ぶことで、毎日27万本もの木々が伐採される状況を変えようとしている。

竹は再生サイクルの早い循環性資源として知られており、およそ3年で成長を終える。そのため木材よりも迅速に再生することが可能であり、森林資源の保護に貢献している。

MiYO Organic

MiYO Organicは、プラスチックの使用を80%削減した竹歯ブラシや綿棒などのサステナブルデザインを提供するブランドだ。創業者が出張先のホテルで、一度使っただけで破棄されるアメニティを見たことをきっかけに誕生した。日本人の口の形に合いやすいように小さめのヘッドでつくられており、使用感にもこだわっている。

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まとめ

サステナブルデザインについて解説した。サステナブルデザインは、現時点では普及段階にあるものの、認証制度などが進められている。サステナブルな社会を実現するためには、今後あらゆるプロダクトがサステナブルデザインを取り入れ、環境負荷の低減を実現していく必要がある。

※掲載している情報は、2024年3月19日時点のものです。

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