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世界中のみならず、日本国内でもサステナビリティに積極的に着手する企業が増えている。わたしたちが手に取れるプロダクト、実際に利用できるサービスに、企業や団体の取り組みがどのように関わっているのかをELEMINISTの目線でインタビューする連載企画。第1回は〈ロッテ〉の DO Cacao PROJECTを取り上げる。
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知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
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五十嵐 拓磨(いがらし たくま)/写真中央 株式会社ロッテ 中央研究所チョコ・ビス研究部 チョコレート研究課 主査。チョコレート好きが高じて2009年に入社。2016年より「LOTTE DO Cacao PROJECT」に携わり、産地へ出向きカカオ豆の基礎研究などを行う。
ふだん食べているチョコレートが、どこで、誰によって、どのようにつくられているのかを知っている人はどれほどいるだろうか。ロッテのチョコレート事業が2015年にスタートしたプロジェクト「LOTTE DO Cacao PROJECT」では、原料であるカカオの生産をゼロから手がけ、最高の味を追求するだけでなく手にとる人の体験に至るまで、関わるすべての人がしあわせになる持続可能な社会を目指している。今回は研究員の五十嵐さんに、プロジェクトについてと、その想いを伺った。
チョコレートのカカオの生産をゼロから手がけるチョコレートメーカーは非常に少ない。数々のヒット商品を生み出してきたロッテが、なぜ「LOTTE DO Cacao PROJECT」を発足することになったのだろうか。
「これまで長年に渡って“カカオ豆をどのように加工すればおいしいチョコレートができるか”を研究してきた中で、カカオの生産段階からチョコレートの味わいなどに影響を与えることがわかり、その段階から研究する必要があると考えたのがきっかけです。パプアニューギニアはカカオがよく採れる土地ですが、実際に現地を訪れ、現地の方々がポテンシャルを十分に活かす栽培方法を知らないために上手く栽培できない現状を目の当たりにしました。研究を進めるなかで、その成果を商品だけでなく現地に還元することで生産者の方々が喜んでくれる仕組みができるのではないかと思い始めました」
2015年にスタートしたのが「LOTTE DO Cacao PROJECT」だ。「原料の生産」「研究・技術」「アップサイクル」「カカオ体験」の4つの軸を連携・循環させていくことで、「カカオに携わるすべてがしあわせであってほしい」という想いの実現を目指している。
「現在は、パプアニューギニアのさまざまな品種の中からその土地に合う品種や栽培方法のデータ集積をしています。こうした研究で得られた成果を自社だけにとどめるのではなく、現地に還元していくことで、生産者の方々にとっても我々にとっても喜ばしい仕組みづくりができるのではないかと考えています。実際に完成したチョコレートが日本で商品化され、販売されていることを現地の方に伝えると、みんなすごく喜んでくれるんです。一緒につくって喜べることはとてもうれしいですね」
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2023年1月、「LOTTE DO Cacao PROJECT」から新たな商品が発売された。品種によるカカオの可能性を追求し開発された「DO Cacao chocolate」と、カカオハスクをアップサイクルしたロッテ初のクラフトジン「CACAO GIN」。これらはどのような想いから開発されたものなのだろうか。
一般的にカカオは単一品種での栽培が難しいと言われているなかで、「LOTTE DO Cacao PROJECT」では単一品種(カカオマス中)のチョコレートづくりに挑戦。カカオ研究農園の品質管理や研究を行うからこそできる強みを生かした商品だ。
「パプアニューギニアのチョコレートはフルーティーな味わいが特徴的です。ワインのように、つくる場所やつくり手が違えば味わいが変わる面白さや楽しさを楽しんでもらいたい。「品種」が違うだけで味わいが変わるということを一人でも多くの人に知ってもらい、カカオの価値提供をしていきたいです。そうして生まれた付加価値を生産者の方々にも還元していけたらと思っています」
一つの品種の個性を引き出した単一品種(カカオマス中)を使用したチョコレートと、パプアニューギニア産カカオの特徴である酸味やフルーティーさを引き出したチョコレートの2種がアソートされている。同じ土地で育ったカカオのなかでも、「品種」によって変わる味わいを楽しむことができる。
チョコレートの製造過程で出る「カカオハスク(カカオ豆の皮部分)」をアップサイクルしてつくられたクラフトジン。100種類以上のビールを手がける新潟麦酒との協業で開発を行い、カカオのロースト感や華やかな風味が引き立つジンに仕上がった。
「カカオハスクが持つ香りの強さや質にポテンシャルを感じていました。ロッテではカカオハスクを肥料や飼料などに活用していましたが、消費者のみなさんにとってもっと身近なところで活用できないかと思い立ちました。カカオハスクが持つ香りにフォーカスを当て、香りを楽しむお酒であるジンの開発をスタートしました」
他素材との組み合わせのほか、漬け込み方にも工夫が。ジンの香りの基となるジュニパーベリーを蒸留した後にカカオハスクを浸漬して香りをつけることにより、カカオが持つ香ばしさや華やかな香りが生かされている。
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ロッテが考える“カカオサイクル”では、原料であるカカオの生産から、生活者の手元に届き体験するまで、そのすべてがこれから先、何年経っても持続可能な状態であり続ける未来の実現を目指している。
「今後は、カカオサイクルをより強固なものにすることで生産者から消費者までを一本軸で繋ぎ、サステナブルなカカオの社会をつくり上げていきたいという想いがあります。例えば私たちが得た知見を生かしてよりよい商品を生み出し、その価値に見合う形で展開することでその分の対価をお客様からいただき生産者に還元する。このように全体的な価値を向上させていきながら、カカオの社会をよくしていきたいという想いがあります」
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ロッテはこのプロジェクトで「カカオを通したしあわせの共有」の輪を広げていくことを目標としているが、明確な期間は定めていない。
「現地でカカオ生産地の課題解決を行いながら研究を進めていくことはもちろん、カカオハスクのように新たな価値を見出し、そこで得られた価値を生産者に還元していくサイクルづくりをどんどんやっていくべきだと思っています。だからこそ、明確に何年までと定めずに、面白いことを見つけたらすぐ行動に移して新しいものを生み出していきたいと考えています。ゆくゆくは生産地を広げたり、さらに他社様やさまざまな世代の人を巻き込み、共創の輪を広げていきたいですね」
最高の味を追求するだけでなく、カカオに携わるすべてのしあわせを願い、サステナブルでウェルビーイングな社会の実現を目指すロッテの「LOTTE DO Cacao PROJECT」。私たちが手にとる商品が、どこで、誰によって、どのようにつくられているのかを知ること。そしてその先に生産者の笑顔が見えること。その一歩が、今後より多くの人々のしあわせをつないでいくだろう。
LOTTE DO Cacao PROJECTの取り組みはこちら
取材協力/LOTTE
執筆/藤井由香里 イラスト/川合翔子 企画・編集/後藤未央(ELEMINIST編集部)
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