シリコーンフリーとは? 髪や環境への影響とよくある誤解、商品の選び方も

シャンプーボトルのイメージ

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シリコーンフリーとは、シリコーン系成分を配合していない製品のこと。この記事では、主に化粧品・ヘアケア製品におけるシリコーンフリーのメリットやデメリット、シリコーンフリーに関するよくある誤解と商品の選び方について言及する。さらに、サステナビリティとの関係についても解説していく。

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2025.12.24

「シリコーンフリー」とは

手にシャンプーを出しているイメージ

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シリコーンフリーとは、シリコーンと呼ばれるケイ素系合成ポリマーを配合していない製品のことを指す。

シリコーンは、酸素とケイ素と有機基からなる有機化合物で、熱や光に強く、柔軟性があり、通気性が高いなど、さまざまな特長をもっており、日用品から医療器具まで幅広く使用されてきた(※1)。

シリコーンが使われる理由とその目的

化粧品やヘアケア製品でシリコーンが採用される最大の理由は、そのコーティング作用にある。シリコーンがキューティクルに付着して髪をコーティングすることで、指触りがなめらかになり、髪にツヤが出るのだ。

「ノンシリコーン」と「シリコーンフリー」の違い

「ノンシリコーン」と「シリコーンフリー」は、基本的には同じ意味で使われることが一般的で、どちらもシリコーンが含まれていないシャンプーや化粧品を指す。

しかし、製品によっては「ノンシリコーン」や「シリコーンフリー」と表記されていても、シャンプーとトリートメントのシリーズで、片方にはシリコーンが配合されているケースがあるため注意が必要だ。

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「シリコーンフリー」のメリットや注意点

「シリコーンフリー」が髪・頭皮に与える影響

ふんわりした髪型の女性の後ろ姿のイメージ

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シリコーン配合製品とシリコーンフリー製品では、髪や頭皮の状態に違いが現れる。シリコーン配合シャンプーを使用すると、シリコーンが髪をコーティングするため、しっとりと指通りのいい仕上がりになる一方で、シリコーンフリーシャンプーは髪や頭皮をコーティングしないため、洗い上がりが軽く、根元からふんわりとした仕上がりになりやすいとされている(※2)。

「シリコーンフリー」のメリットと期待できる変化

シリコーンフリー製品に切り替えることで、いくつかのポジティブな変化が期待できる。たとえば、先述のようなシャンプー後の仕上がりの違いだ。シリコーンフリーのシャンプーを使うと、ふんわり軽やかに仕上がる。

シリコーンフリーのシャンプーは頭皮にシリコーンが残ることがないため、皮脂や水分のバランスを保ちやすいと感じる人もいるだろう。また、シリコーンが頭皮に残ったり、配合されているシリコーンが肌に合わなかったりすると、フケやかゆみなどの頭皮トラブルが起こることがあるが、ノンシリコーンシャンプーならそのような頭皮トラブルの予防に役立つ。

そのほか、ノンシリコーンシャンプーは、シリコーンが頭皮や髪に残らず素の状態に近づくので、美容室でヘアカラーやパーマなどの施術の妨げにならない点もメリットといえるだろう(※3)。

「シリコーンフリー」の 注意点・デメリット

髪質によってはシリコーンフリーシャンプーを使うことで、きしみやパサつき、手触りの悪さを感じることがあるだろう。

また、コーティングがない分、ドライヤーやヘアアイロンの熱の影響を受けやすいというデメリットもある。シリコーンフリーシャンプーを使う場合には、アウトバストリートメントの使用や、熱ダメージ対策を意識したケアが重要だ。

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成分表示からの「シリコーンフリー」の見分け方や選び方

成分表示で確認すべきキーワード

白いシャンプーボトルのイメージ

Photo by Andrzej Gdula on Unsplash

シリコーン配合製品でも、表示に「シリコーン」と書かれていないこともあるため、シリコーンフリーの製品を選ぶには、成分表示を確認するのがおすすめだ。

シリコーン系成分は、成分名に「ジメチコン」「メチコン」「シロキサン」「シラン」といったキーワードが含まれていることが多い(※4)。不安な場合は、メーカーに直接確認するのが確実だ。

製品表示に「シリコーンフリー」とあっても要確認のポイント

シャンプーやトリートメントなど、シリコーンフリー製品を探す際、パッケージや謳い文句に「シリコーンフリー」と書かれていても、シリーズ全体(シャンプーとトリートメントの両方)がシリコーンフリーとは限らないため、成分表示を確認することが大切だ。

ヘアケア製品をシリコーンフリーで揃えたい人は、製品の詳細をウェブサイトなどでチェックするのがいいだろう。

自分に合った製品の選び方

髪が美しい女性の後ろ姿のイメージ

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ヘアケア製品選びは、髪質や目的によって最適な製品が異なる。

毛量が少なくボリュームを出したい人や、頭皮をすこやかにしてフケやかゆみを防ぎたい人、カラーやパーマを長持ちさせたい人、にはシリコーンフリー製品がおすすめだ。

髪の毛が絡まることに悩んでいる人やカラーリングやパーマなどで傷んだダメージヘアにツヤを出したい人、毎日高温のヘアアイロンを使用する人はシリコーン配合の製品がいいだろう。

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素材視点からのシリコーンフリー選択とサステナビリティ

シリコーンの原材料と製造背景

シリコーン系合成ポリマーは、砂などに含まれる二酸化ケイ素(SiO2)を原料としてつくられる素材だ。

まず高温処理によって金属ケイ素を取り出し、それを塩化メチルなどと反応させてシラン化合物を生成し、さらに加水分解と縮合反応を経てSi–O–Si(シロキサン結合)を主骨格とする化合物を得ることで製造される。

このシロキサン化合物を用途に応じて重合することで、オイル状、ゴム状、樹脂状などさまざまな形態のシリコーンポリマーがつくられる。このうち、ヘアケア製品や化粧品には主にオイル状のシリコーンが用いられる(※5)。

環境保護や持続可能性との関係

苗を大切にするイメージ

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近年、ヘアケアや化粧品の分野で「シリコーンフリー」の表記が注目されている背景には、環境保護や持続可能性への関心の高まりがある。

シリコーンは化学的に安定した素材である一方、生分解されにくく、自然環境中では長期間残留する性質を持つことが知られている。

また、シリコーンは建築、医療、日用品、自動車産業など幅広い分野で使用される高性能素材であり、耐久性に優れ、長期間の使用を可能にするという利点も持つ。その一方で、リサイクルが容易ではないことや、廃棄方法によっては高温処理が必要となるなど、環境負荷の低減が課題とされている(※6)。

このように、環境中への排出や蓄積に関する懸念をできるだけ抑えたいという観点から、「配合しない」という選択が、ひとつのサステナブルな方向性として捉えられるようになってきた。

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「シリコーンフリー」のよくある誤解

シリコーン=”悪”ではない

「シリコーンは髪や肌に悪い」「シリコーンフリーシャンプーは髪にいい」といった声が聞かれることもあるが、「シリコーン=“悪”」ではない。そして「シリコーンフリー=環境にやさしい」と単純にいい切ることもできない。

シリコーン自体は耐久性が高く、少量で機能を発揮し、製品寿命を延ばすことで結果的に資源消費を抑える側面も持つ素材である。また、シリコーン代替成分として使われる合成ポリマーのなかには、必ずしも環境負荷が低いとはいえないものも存在する。そのため、配合の有無だけでサステナビリティを判断するのは難しいといえるだろう。

髪にとって「シリコーンフリー」が必ず正解か?

必ずしもすべての人にシリコーンフリーが適しているわけではない。先述したように、髪質や目的によって、シリコーン入りシャンプーの方が適している場合もある。たとえば、毛量が多くて広がりやすい髪や、髪が硬くて太い人、髪のダメージがひどくパサついている人などは、シリコーンによるまとまり感がほしい場合もあるだろう。

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切り替えたときにどう変わる?ケアのポイント

くしで髪をとかしているイメージ

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髪質や目的を踏まえて判断した上でシリコーン入りからシリコーンフリー製品に切り替えたとして、最初は髪の変化に戸惑うことがあるかもしれない。シリコーンのコーティングがなくなることで、指通りが悪く感じたり、きしみやパサつきを強く感じたりする場合があるためだ。

こうした切り替え時の不安を和らげるためには、洗浄力が穏やかなシャンプーを選ぶことや、トリートメントやヘアオイルなどでうるおいを補うといいだろう。また、いきなりすべてをシリコーンフリーに切り替えるのではなく、シャンプーのみ、あるいは週に数回から試すなど、段階的に取り入れるのもひとつの方法だ。

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「シリコーンフリー」の今後のトレンドと展望

美容・ヘアケア業界における「シリコーンフリー」の位置づけ

シリコーンフリーシャンプーのブームが始まったのは、2010年代初頭のこと。当初は美容室のプライベートブランドや頭皮ケアを重視するプレミアムシャンプーとして人気が出たが、その後ドラッグストアで購入できる比較的安価な商品が登場したことで全国的なブームとなった(※7)。

その後、研究や情報開示が進み、シリコーン自体の性質や役割が徐々に理解されるようになると、「シリコーン=悪」という単純な図式はしだいに見直されていった。現在では、美容業界全体として、シリコーンフリーは製品の優劣を示すものではなく、製品コンセプトや使用感に応じた設計上の選択肢のひとつとして位置づけられている(※8)。

表示・規制・消費者意識の変化

日本では2001年に化粧品の全成分表示が義務化され、消費者は成分を確認したうえで製品を選べるようになった。成分名は配合量の多い順に表示され、シリコーン成分が配合されている場合も必ず記載される仕組みとなっている(※9)。

こうしたなかで、消費者の間では安全性や安心感を重視する意識が高まり、自然派・オーガニック志向や、環境への配慮を意識した製品選びが広がっている。成分そのものだけでなく、原料背景や製品の思想に共感できるかどうかを重視する消費者も増え、化粧品選びにおける判断軸は多様化してきている。

企業・ブランドが取り組む素材開発と持続可能な代替成分

近年、環境配慮への関心の高まりを背景に、シリコーンに代わる素材の研究・開発が進められている(※10)。

シリコーン代替素材や植物由来・生分解性ポリマーへの取り組みは、「シリコーンを使わないこと」そのものを目的とするのではなく、機能性・使用感・環境配慮のバランスをどう取るかという課題に向き合うなかで進化している。今後も、素材開発と評価の積み重ねを通じて、持続可能な選択肢はさらに広がっていくと考えられる。

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大切なのは“選び方“

「シリコーン=悪」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、シリコーン自体が一概に悪い素材というわけではない。世の中に数多ある成分の背景や環境への影響は一様ではなく、どの選択にもメリットや注意点がある。「シリコーン配合」か「シリコーンフリー」かの2択ではなく、環境への配慮と自分自身の心地よさの両方を考えながら、最適な製品を選んでいくことが重要だ。

※掲載している情報は、2025年12月24日時点のものです。

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