ごみ分別は意味ないって本当? 現状と課題、未来への影響を解説

ごみが分別されているイメージ

Photo by Pawel Czerwinski

ごみの分別に意欲的に取り組んでいる人がいる一方で、「ごみ分別は意味がない」と感じている人も少なくないのではないだろうか。本記事では、「ごみ分別は意味がない」と言われる背景や、現状と課題ごみ分別が未来に与える影響を解説していく。

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2025.01.24
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「ごみ分別は意味ない」と言われる背景とは?

ごみが分別されていないイメージ

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環境問題の改善に向けてごみの分別に取り組んでいる人がいる一方で、近年「ごみ分別は意味がない」と感じている人もいるようだ。

なぜ「ごみ分別は意味がない」と感じてしまうのだろうか。背景を考えていこう。

焼却処理が多い現状

焼却処理上のイメージ

Photo by Henrik on Unsplash

まず考えられるのは、焼却処理の多さだ。環境省が発表した2019年度のデータによると、ごみの処分方法のうち、もっとも多いのが焼却で79.4%であった。

各家庭で分別しているにも関わらず焼却処理が多いことが「ごみ分別は意味ない」といわれる背景のひとつだろう。

リサイクル率の低さ

リサイクル率の低さも、「ごみの分別が意味ない」と感じる人が増えている理由のひとつと考えられる。

環境省が発表した「令和4年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の、排出及び処理状況等の調査結果」によると、ごみ処理の状況において、日本のリサイクル率は19.6%と低い水準であることがわかる(※1)。

分別の手間に対して効果が感じられない

ごみの分別には、多少の手間がかかる。分別しているにも関わらず、焼却処理が多かったり、リサイクル率が低かったりすることで「意味がない」と感じる人が増えている可能性も考えられる。

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ごみ分別の目的と本来の意義

ごみ分別は、本当に意味がないのだろうか? 環境や社会にどのように貢献するのか、ごみ分別の目的と本来の意義を見ていこう。

環境負荷の軽減

ごみを分別すると、捨てるはずだった古紙やアルミ缶、ペットボトルなどの資源を有効に活用することが可能になる。

また、リサイクルできるものを取り除くことで焼却するごみの量が減り、焼却時に発生する温室効果ガスの排出量も削減することができるのだ。

さらに、ごみが減ることで、およそ20年で満杯になるといわれている最終処分場の残余年数を伸ばすことにも貢献できるなど、環境負荷の軽減につながる(※2)。

資源の再利用と天然資源の節約

森の木のイメージ

Photo by kazuend on Unsplash

ごみ分別は、資源の再利用や天然資源の節約にもつながる。

たとえば、段ボール古紙は、段ボール箱や紙筒などにリサイクルできる。しかし、分別せずに可燃ごみとして処分した場合、新たな段ボールや紙筒をつくる際には、新しい天然資源を使う必要があるのだ(※3)。

地域のごみ処理コスト削減

地域のごみ処理には、税金が使われている。

環境省によると、令和4年度のごみ処理事業経費は2兆4726億円。国税庁の資料によると、令和4年度におけるごみ処理費用にかかった税金は、国民1人あたり年間約1万9800円だという(※4)。

分別をして地域のごみ処理コストを削減できれば、その分の税金をほかの目的にあてることができる。

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ごみ分別が「意味ない」と誤解される理由

環境にも社会にも大きなプラスとなるごみ分別は、なぜ「意味ない」と誤解されてしまうのだろうか。理由を考えていこう。

焼却処理でもエネルギー回収が行われるから

2022年4月にプラスチック資源循環促進法(プラ新法)が施行され、プラスチックの収集やリサイクルが行われてきた。プラスチックのリサイクル方法はいくつかあるが、圧倒的に多いとされるのが、焼却時に生じる「熱エネルギー」を回収し、それを再利用するサーマルリサイクルだ(※5)。

「リサイクル=燃やさずに再利用」と考えていた人にとっては、「燃やしてもリサイクルになるなら、分別する意味はないのでは?」と感じてしまう可能性がある。

リサイクル工程で生じる非効率性

リサイクル工程で生じる非効率性も、ごみ分別が「意味ない」と誤解される理由のひとつだろう。

もしペットボトルをリサイクルする工程に必要な石油の量が、ペットボトルを焼却するときに必要な石油の量を上回っていたら「天然資源を節約する」という目的においては達成できていないことになる。

このように、リサイクルする際に発生するCO2量や必要な石油量などを、焼却処分した場合の量と比較したときに非効率に感じることもあり、ごみ分別が無意味に思えてしまう人もいると考えられる。

不適切な分別が引き起こすリサイクルの困難さ

適切に分別ができていないと、リサイクルすることは難しい。

ちゃんと分別したつもりでも、実は不適切な分別のままごみを出してしまっているケースも多く、それによってリサイクルが困難になり、リサイクル率が向上しない可能性も考えられるのだ。

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ごみ分別の現状と課題

ここからは、ごみ分別やリサイクルの現状と、直面している課題を解説する。

リサイクル率の実態

2021年のデータによると、OECD加盟国のなかで、もっともリサイクル率が高い国はスロベニアで52.8%。次いで、ドイツが48.6%、スイスが42.0%となっている(※6)。

一方、環境省が発表した同年の日本のリサイクル率は19.9%であり、日本のリサイクル率の水準の低さがわかるだろう(※7)。

分別ルールの複雑さ

分別ルールが複雑なことも、ごみ分別の課題だ。分別ルールが複雑なことで、誤った分別をしてしまい、結果リサイクルにつながらないケースも多い。

「ごみの回収基準を曖昧にするな」など、市民から不満の声も上がっており(※8)、大人から子どもまで、誰にとってもわかりやすい分別ルールになれば、ストレスなく、多くの人が気軽に分別をするようになるだろう。

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ごみ分別に関するよくある疑問と回答

ごみ分別されているイメージ

Photo by Nareeta Martin on Unsplash

ここからは、ごみ分別に関するよくある疑問に答えていく。

Q.「分別が適当でも焼却されるなら意味がないのでは?」

A. 分別されていないごみは、処理施設での作業効率を著しく低下させ、それによって施設の稼働時間が伸びてしまい、エネルギー消費量が増加する。結果として、温室効果ガス排出量が増えるほか、処理コストの上昇を招き、最終的には市民の税負担増加につながる可能性もある。

また、分別をしないとごみのなかに有害物質や危険物が混入する可能性があり、収集作業員や処理施設の従業員の安全を脅かすことにもなるのだ。

Q.「リサイクルされたごみはどこに行くの?」

A. 分別して収集された資源は、古紙やびん、アルミ缶などそれぞれの再生処理施設に届き、さまざまなものに再生される。

たとえば、古紙は新聞紙や段ボールに、びんは断熱材やタオルに、アルミ缶はアルミ缶や自動車のアルミホイールなどになる。

Q.「分別の効果はどのくらいあるの?」

A. 環境省によると、令和4年度の日本全体のごみ総排出量は4,034万トン。膨大な量ではあるが、ごみの総排出量は平成25年度以降、減少傾向にある。

環境省が基準としている平成24年度の4,523万トンも10年連続で下回っており、「ごみの分別」や「ごみ削減」の効果が現れているものだと考えられている(※9)。

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ごみ分別が未来の環境に与える影響

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プラスチックごみ問題への対応

海にプラスチックごみが落ちているイメージ

Photo by Naja Bertolt Jensen on Unsplash

プラスチックは捨ててしまえばごみとなってしまうが、分別し再利用すれば資源にもなる。

海洋プラスチックをはじめとするプラスチックごみ問題に対応するには、プラスチックごみを減らすことが重要だ。

循環型社会の実現に向けた重要性

ごみ分別を行わないと、本来循環させることができる資源を焼却してしまう。ごみ分別を正しく行うことは、循環型社会の実現に寄与することになるのだ。

持続可能な資源管理

ごみ分別を行い、資源を再利用することで、森林や石油などの限りある資源を節約することができる。天然資源の枯渇は深刻な問題であり、持続可能な資源管理のためにもごみ分別は重要といえるだろう。

温室効果ガスの削減

ごみ分別を行わないと、すべてを焼却することになり、大量の温室効果ガスを排出してしまう。さらに、資源を無駄にすることになり、新たな資源の採掘や製造過程での温室効果ガス排出にもつながっていく。

ごみを正しく分別することは、温室効果ガスの削減に貢献できるのだ。

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ごみ分別を意識して生活を改善するヒント

最後に、個人でできるごみ分別や環境配慮の工夫を紹介しよう。

マイバッグやリユース容器の活用

マイバッグのイメージ

Photo by Bilal Sheikh on Unsplash

マイバッグやマイタンブラーなど、リユース容器の活用をすることで、ごみを削減することができる。ごみが出なければ分別の必要もないため、ごみの分別に迷う回数も減るはずだ。

ごみを出さない買い物の工夫

量り売りのスーパーマーケットのイメージ

Photo by Dennis Siqueira on Unsplash

ごみを出さない買い物の工夫として、すぐに実践できるのが必要な分だけ買うことだ。たくさん入っていた方が安いこともあるが、食べきれずごみにならないよう、バラ売りなどを活用して必要な分だけ買うようにしよう。

また、詰め替えできるものやパッケージレスの商品を選ぶのもおすすめだ。そのほか、本当に買う必要があるのか一度立ち止まって考えて、場合によってはレンタルやサブスクリプションなどを活用してみるのもごみを出さない生活につながるはずだ。

リサイクル可能な製品の選び方

ごみを出さないよう、リサイクル可能な製品を選びたいと思っても、どれがリサイクル可能なのか見極めるのが難しいこともあるだろう。そんなときは、リサイクルマークが表示されている製品を選ぶことで、ごみ削減に貢献することができる。

リサイクルマークがついていない家具や家電、洋服のような製品を選ぶ際には、修理して長く使えるのか、手放すときにリサイクルショップに持って行けるかなど、製品のライフサイクルを考えることも大切だ。

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「ごみ分別は意味ない」ことではない

ごみ分別は手間がかかる割に、効果がわかりづらい地道なものであるため、面倒に感じることもあるかもしれない。いっそ、ごみ分別は「意味ない」ことにしてしまって、分別しない道を選びたくなることもあるだろう。しかし、本記事で紹介したように、ごみ分別は、環境や社会にプラスの影響を与える重要な取り組みである。一人ひとりが諦めずに続けることで、持続可能な地球の未来へとつながっていくはずだ。

※掲載している情報は、2025年1月24日時点のものです。

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