リサイクルの種類は「マテリアル」「ケミカル」「サーマル」 それぞれの違いと役割とは?

リサイクルは大きく分けて3種類。ごみは洗って再利用されるだけではなく、砕いたり燃やしたりして、いろんな用途に使われている。分別するのは正直めんどうだけど、限りある資源を大事に使わないと、いつか枯渇してしまう。そうならないように、まずはリサイクルの仕組みを知ろう。

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2020.09.29
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そもそもリサイクルとは?

リサイクルのイメージ

Photo by Gary Chan on Unsplash

飲み終わったペットボトルや、ダンボールなど、いらなくなったものを再利用することを「リサイクル」と言う。昔から人々は、限りある資源を大事に使ってきた。

江戸時代には、落ちた髪の毛を買い取ってカツラを仕立てる仕事や、トイレの汚水で畑の肥料をつくる仕事があった。物資が少なかった昔は、捨てる物なんてないと言わんばかりの循環型社会。ボロボロになった着物だって、赤ちゃんのおしめや雑巾にリメイクして、最後の最後まで大切に使った。

日本でごみ急増したのは、1960年代の高度経済成長期あたりから。大手全国チェーンのスーパーが次々とオープンし、プラスチック製の食品トレーやパックが使われ出したのが原因の一つだ。安く大量に生産できるのが長所だが、その当時は廃棄物は燃やして処分するのが基本だったため、大気汚染が問題になっていた。それに、大量生産・大量消費のスピードは早くなるばかりで、埋立地の空きもなくなり始めていた。

そこで政府は、環境にやさしい社会を目指して1991年にリサイクル法を制定。2000年には循環型社会形成推進基本法が制定され、3R(スリーアール)の考え方を取り入れた。これは、ごみを減らし(リデュース)、使える物は何度でも使って(リユース)、最後は資源として使おうというものである(リサイクル)。

リサイクルの種類

リサイクルの仕方は、大きく分けて3種類ある。マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、そしてサーマルリサイクルだ。

マテリアルリサイクル

うずたかく積み上げられたごみ

Photo by Bas Emmen on Unsplash

回収した物から新しい物をつくり出す方法。回収した缶を溶かして、新しいスチール缶やアルミ缶をつくったり、古紙を溶解して再生紙にするのが、これに当たる。

プラスチックに限って言えば、日本のプラスチックごみの23パーセントは、この方法で他の物に生まれ変わっている。(※1) いろんな種類のプラスチックが混ざると品質が落ちるので、家庭ごみより工場や企業などの事業ごみに適した方法だ。

この方法のメリットは、廃棄物を国産の資源として確保できるところにある。日本は、ガソリンやプラスチックの原料である石油の約99%を輸入に頼っている。(※2) 石油の埋蔵量には限りがあるから、石油製品を再利用することによって貴重な資源を有効活用することができる。

デメリットは、必ずしも環境にいいわけではないところだ。資源を集めて新しい物をつくるには、たくさんのエネルギーが必要になる。例えば、再生紙をつくるときは、普通に紙をつくるときより2倍の二酸化炭素が排出されてしまう。(※3) それに、古紙回収する車から排気ガスが出るから、「リサイクルは地球にやさしい」とは一概には言えない。

ケミカルリサイクル

研究室の机の上に置かれた試験管とビーカー

Photo by Hans Reniers on Unsplash

化学の力で資源を分解する方法で、日本で出るプラスチックごみの4パーセントはこの方法で再利用されている。(※4)

ケミカルリサイクルは大きく4つに分類される。1つ目は、油化して燃料をつくること。プラスチックは元々石油でできているから、化学分解して油(液体)にすることができるのだ。

2つ目はガス化。プラスチックを燃やして二酸化炭素と水素を発生させ、二酸化炭素は炭酸飲料やドライアイスなどに、水素は主にアンモニアの原料として使われる。

3つ目は高炉原料化。高炉というのは、製鉄所の中の火を燃やしておく場所のこと。プラスチックは、燃えるとすごく高い熱を出す。その特性を利用して、工場で石炭やコークスといった燃料の代用とされている。

4つ目は原料・モノマー化。回収したペットボトルをポリエステル原料に戻して、新しいボトルにつくり直すときに使われていた技術だが、現在では使用済みペットボトルの確保が難しいので、行われていない。

プラスチック以外だと、廃棄食用油を石鹸にしたり、牛や豚などの家畜の糞尿からバイオガスをつくるのも、実は立派なケミカルリサイクルだ。

サーマルリサイクル

横から見たバン

Photo by Herson Rodriguez on Unsplash

廃棄物を燃やしたときに出る熱を、回収して利用すること。海外ではリサイクルとしてカウントしない国もある。

日本のプラスチックごみの84パーセントは焼却され、その際に出る熱エネルギーが発電や暖房に使われている。(※5) 「分別しても、どうせ燃やすんだから」と言って、なんでも燃えるごみとして捨ててしまう人がいるのは、このためだ。とはいえ、残りの16パーセントは他の手法で有効活用されているので、分別が無駄だとは言い切れないだろう。

この方法の利点は、廃棄物を燃料として使うことによって、石油燃料を節約できることだ。例えば、木造の建物の廃材をチップにすればバイオマス燃料になるし、使用済みの天ぷら油からはバイオディーゼル燃料を生成できる。

このバイオディーゼル燃料は軽油と同じように使えるので、バスのガソリン代わりに使用されることが多い。いま住んでいる町の役場やスーパーなどで、天ぷら油を回収してくれるところがあったら、積極的に協力してみよう。

リサイクルの仕組みを知り、資源を大事に

資源は無限じゃない。世界の人口は増える一方だから、限りある資源を使い切ってしまわないように気をつけないと、将来みんなが困ってしまう。すべての廃棄物が、洗って再利用されているわけではないから、使い捨ての物を買わないようにしたり、リサイクルショップを活用するなどして、ごみを減らすように心がけよう。

※1 資源循環政策を巡る最近の動きについて|経済産業省https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/pdf/033_04_00.pdf

※2 第3節 一次エネルギーの動向|経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2012html/2-1-3.html

※3 紙類の判断の基準等に係る検討経緯について 参考資料3
https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/archive/h19com_05/ref03.pdf

※4、5 資源循環政策を巡る最近の動きについて|経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/pdf/033_04_00.pdf

※掲載している情報は、2020年9月29日時点のものです。

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