最終処分場の逼迫に土壌汚染 ごみ埋め立て問題の現状と対応策とは

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あと20年あまりで満杯になると言われている最終処分場。ごみの埋め立てによる土壌汚染や水質汚染の懸念。この記事では、ごみ埋め立て問題について、現状や対応策、ごみ削減に向けた自治体や企業の取り組み、私たち個人にできることを解説する。

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2024.12.21

ごみ埋め立て問題とは

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ごみの埋め立ては一般的に「埋立処分」といわれ、固体廃棄物や減容処理した灰分などを地表や水底などに積み重ねて処分することを指す。このごみの埋め立てをする場所の正式な名称を「廃棄物最終処分場」と呼ぶ。通常ごみは収集されると、資源化または焼却などの中間処理を行い、最終段階として埋め立てされる。よって、埋め立てがごみのライフサイクルの終わりとなる。(※1、※2)

ごみの埋め立ては古くから行われてきた処理方法だが、およそ20年あまりで最終処分場が満杯になる可能性があり、ごみの行き場がなくなることが問題視されている。(※3)

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ごみ埋め立ての環境への影響

環境汚染

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ごみの埋め立ては環境に悪い影響を与えることがある。どのような影響があるのか見ていこう。

土壌汚染と水質汚染

ごみを埋め立てると、ごみに含まれる重金属や化学物質などの有害物質が土壌に浸出することがある。これらの有害物質が土壌に進出することで、土壌汚染を起こす。また浸出水が地中深くまで到達し、地下水や近隣の川・湖に流れ込むと水質汚染の原因となる。(※4)

大気汚染

土や水だけでなく、大気にも影響を与える。生ごみや有機物が分解される際には、メタンガスが発生する。このメタンガスは、二酸化炭素よりも短い期間で強い温室効果があるため、地球温暖化を加速してしまう可能性がある。(※4)またごみが自然発火し、ダイオキシンなどの有害なガスを発生させることもある。

生態系への悪影響

ごみの埋め立て地を確保するために森林伐採や湿地の埋め立てが行われた場合、動植物の生息地が失われる可能性がある。また鳥や野生動物が埋立地でごみを摂取し、健康被害を受けることも考えられ、地域の生物多様性が減少して生態系に悪影響を与える。(※4)

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ごみ埋め立て問題の現状

プラスチックごみ

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ここでは、ごみ埋め立て問題の現状を紹介しよう。

埋立地の逼迫

環境省が発表した令和4年度の全国一般廃棄物は、ごみ総排出量が4,034万トンであった。そのうち最終処分されたごみは337万トンで、前年度から1.4%減少している。最終処分場の状況としては残余容量が9,666万立方メートルで、前年度から1.8%減少。残余年数は23.4年となっている。(※5)

最終処分されたごみは前年度よりも減ったものの、最終処分場の残余容量は前年度よりも減っていることから、じわじわと最終処分場の限界が近づいていることがわかる。日本においては新たな最終処分場の建設が困難であることもあり、ひっ迫した状況が続いている。(※6)

世界と日本の埋め立て状況

世界全体のごみの処理方法でいちばん多いのは埋め立てだ。アメリカやカナダ、ロシア、中国などでは埋め立てが中心で、50%以上を占めるている。これらの国には、土地が広いという共通点がある。

一方、日本やデンマーク、スイス、スウェーデンといった北欧諸国は焼却が一般的だ。北欧諸国は土地が狭く、埋め立ての土地の確保が困難であることから、埋め立てという処理方法を止めてリサイクルに力を入れている。日本でのごみの焼却は70%を超えており、埋め立ては1%程度となっている。ただし北欧諸国との違いは、リサイクル率が低いことにある。(※7)

コストの増加

一般的なごみの処理は各自治体が行い、費用は税金でまかなわれている。ごみの処理には収集・運搬費、中間処理費、埋め立て処分費があり、ごみの量が増えれば当然費用も増大する。また最終処分場を閉じた場合であっても、有害物質が流れ出たりしないように管理されており、そのため半永久的に管理費がかかる。(※3、※8)

埋立地の将来予測

環境省が発表した令和4年度の残余容量は9,666万立方メートルで、残余年数は23.4年となっている。この残余年数とは、最終処分場が満杯になるまでの期間を予測したものだ。このデータにより、ごみ埋め立て問題に適切な対処をしなければ、2040年代にはごみを埋め立てるための最終処分場である埋立地が失われてしまうことがわかる。(※5)

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新たな埋立地の確保の難しさと課題

landfill

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日本は国土が狭く、埋め立てに適した場所の確保が難しい。また、近隣住民から理解を得ることも困難を極めるだろう。(※9)さらにごみの処理能力にも限界があるため、このままいくと最終処分場が満杯になってしまい、ごみを埋め立てるという処分方法はできなくなるのも課題といえる。

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ごみ埋め立て問題の解決策

recycling

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ごみ埋め立て問題の解決策にはどのようなことがあるのか見ていこう。

リサイクルと再利用の推進

まずやるべきことは、埋立地にごみを送る量を減らすことである。そのためにはごみ自体を減らすこと、そしてごみのリサイクル率を上げることが必要となる。日本は他国にくらべてリサイクル率が低い。(※7)このリサイクル率を上げれば、埋め立てに回るごみを削減できる。また焼却灰の資源化、リサイクル素材の利用促進や再利用インフラの整備などもごみ埋め立て問題解決の鍵となる。

焼却や再資源化の促進

ごみを埋め立てる前に、中間処理として焼却・破砕することで埋め立てるごみの量を減らせる。また廃棄物をエネルギーに利用し、再資源化することも解決策となるだろう。(※10、※11)

循環型経済の構築

循環型経済(サーキュラーエコノミー)を構築することも重要だ。これは資源投入量や消費量を抑え、既存の資源を有効に活用し、サービス化などによって付加価値を生み出す経済活動である。これにより資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止などを目指す。(※12)

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ごみ埋め立ての削減に向けた取り組みと実例

waste reduction

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世界や日本で、どのような取り組みが行われているのか紹介する。

世界各国の取り組み

各国ではどのような取り組みを行っているのだろうか。ここではスウェーデンとドイツの取り組みを紹介する。

「環境先進国」と呼ばれるスウェーデンでは、埋め立て処理されるごみはわずか1%である。残りの47%のごみはリサイクルに、52%のごみは熱や電力の生成に利用しているのが特徴的だ。(※13)

ドイツではごみを直接埋め立て処分することを禁止し、埋め立てる前に処理をしなければならない。また、埋立処分される廃棄物の基準を設けている。高度な廃棄物処理施設をもち、廃棄物をエネルギー資源に変えていることから、埋立地に送るごみを減少させている。(※14、※15)

日本国内の地域での取り組み

日本の各自治体では、廃棄物削減やリサイクル推進の取り組みを行っている。

神奈川県逗子市では、無駄・浪費・ごみをなくす「ゼロ・ウェイスト」を行っている。これはモノの無駄遣いをせず、リデュース・リユース・リサイクルなどの7Rを進めることで、焼却・埋め立て処理されるごみをなくしていこうという取り組みだ。これによりガラス類回収量の増加、生ごみの排出抑制を達成している。

京都市では2R(リデュース・リユース)促進に向け、重点的に取り組む6つの分野(ものづくり、食、販売と購入、催事、観光等、大学・共同住宅等)を挙げ、実施義務としている。たとえば食の分野なら、飲食店は食べ残さない食事を推進するためのPRをし、市民はそれを実践する。この取り組みにより、ごみの削減率の向上が見られている。(※16)

企業によるごみ削減の取り組み

さまざまな企業で、ごみ削減の取り組みを行っている。

バンダイナムコグループでは「ガンプラリサイクルプロジェクト」を実施。プラモデルの枠の部分を回収し、最先端技術であるケミカルリサイクルによって、新たなプラモデル製品へと生まれ変わらせる取り組みを行っている。(※17)

また山崎製パン株式会社札幌工場では「埋め立ては悪だ」をスローガンに、分別の細分化と徹底により廃棄物の完全リサイクルに取り組んでいる。具体的にはパンの耳はパン粉にする、菓子パンなどの具材を飼料化できる業者に委託するなどしている。(※18)

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ごみ埋立問題に対して私たちにできること

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ごみ埋め立て問題の解決に、私たちも貢献できることがある。できることからアクションを起こしていこう。

徹底的な分別とリサイクル

地域ごとのルールにしたがって、ごみの分別を行うことが重要だ。正確な分別を行うことでリサイクル率を高め、埋立地への廃棄物を減らせる。

使い捨て製品の利用削減

使い捨て製品は便利だが、これがごみを増加させる。使い捨て製品の利用削減を心がけるようにするとよいだろう。具体的なアクションには、エコバッグの活用、マイボトル、マイ箸の利用、詰め替え可能な製品を選ぶなどがある。(※19)

食品ロスの削減

食品ロスは埋立地の大きな負担となる。以下のような工夫で食品廃棄物を減らそう。
・買い物前に計画を立て、必要以上に購入しない。
・家庭での調理時に余った食材を無駄なく使う。
・生ごみの水切りを行う。(※19)

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ごみの削減を意識し、分別、3Rを徹底しよう

ごみ埋め立て問題を解決するには、市民も企業もごみを削減する必要がある。また分別、3Rを徹底して、埋め立て処分されるごみを減らすことも重要だ。無駄なく大事に、最後までモノを使うことを意識しよう。

※掲載している情報は、2024年12月21日時点のものです。

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