環境にやさしい車とは？　種類や特徴、選ぶときのポイントを解説

環境にやさしい車とは

環境にやさしい車とは、「エコカー」と同義で、大気汚染物質の排出量低減などに配慮した低公害車や、エネルギー消費量やCO２排出量などが低減されたクリーンエネルギーカーのことを指す。（※１）具体的には、次のような車種が挙げられる。

環境にやさしい車の種類

環境にやさしい車の種類と、それぞれの特徴を紹介しよう。

電気自動車（EV）

電気100％で動く車が「電気自動車」だ。エンジンを搭載しておらず、バッテリーとモーターのみで駆動する。走行中のCO２排出がゼロで、環境にやさしい車種として注目されている。（※２）

燃料電池車（FCV）

「燃料電池車」は、水素と酸素を化学反応させて電気をつくり、その電力でモーターを動かす車である。排出されるのは水のみで、CO２や有害ガスの排出がない点がメリットだ。（※２）

ハイブリッド車（HV）

ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせて駆動する車が「ハイブリッド車」だ。通常、低速時や発進時にはモーターで走り、高速時ではエンジンがメインとなって駆動する。ガソリン車に比べて燃費がよく、CO２排出量も抑えられる。（※３）

プラグインハイブリッド車（PHEV）

ハイブリッド車に外部充電機能を加えたタイプが「プラグインハイブリッド車」である。電気で走行できる距離が大幅に延びたのが特徴。（※３）

天然ガス自動車（NGV）

天然ガスなどを燃料として走行する車。ディーゼル車と比べて黒煙や窒素酸化物の排出量が少ないのが特徴である。馬力が強くバスやトラックといった大型車両への適用が可能。（※１）

クリーンディーゼル車（CDV）

クリーンディーゼルエンジンを搭載した車で、従来のディーゼルエンジンに比べ排出ガスを一層低減したディーゼル自動車のことを指す。（※４）

メタノール車（MFV）

メタノールを利用して動く車。液体燃料であるため既存の燃料インフラの活用ができるのがメリットだ。ディーゼル車と比べて黒煙や窒素酸化物の排出量が少ない。（※１）

ソーラーカー

太陽電池を利用して自然エネルギーで走行する車。（※１）

水素自動車

水素を燃料として走行する車。（※１）

環境にやさしい車が注目される背景

環境にやさしい車が注目されているのはなぜなのか、その背景について説明する。

自動車排気ガスの地球温暖化への影響

地球温暖化が進むなか、温室効果ガスであるCO２排出量の削減は、世界中で喫緊の課題となっている。CO２の大きな排出源となっているのが、従来のガソリンや軽油などを燃料とした自動車だ。これらの自動車をエコカーに替え、化石燃料の使用を抑えることで、CO２排出量を大幅に削減する役割を果たす。（※５）

カーボンニュートラル実現に向けた動き

2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標が、日本を含む多くの国で掲げられている。目標を達成するために、CO２を排出しない電気自動車などの普及や排出ガス規制が強化されている。（※６）

補助金や減税などの優遇がある

日本では、エコカーを購入する際の支援として補助金や税制優遇措置を設けている。これによりエコカーの購入がより手軽になるとともに、普及が促進されている。（※７）

環境にやさしい車のメリット

環境にやさしい車のメリットについて説明する。

環境への影響の軽減

ガソリン車とは異なり、環境にやさしい車はCO２などの温室効果ガスを出さない、あるいはCO２の排出量が少ないのが大きなメリットだ。そのため温室効果ガスに含まれる環境汚染物質が排出されず、環境への負荷が軽減される。（※６）

騒音や振動が少ない

代表的な環境にやさしい車である電気自動車は、モーターを駆動させて走行するため、走行中の騒音や振動が少ないのがメリットである。振動が少なければ、運転中に疲れにくいのもよい点だ。（※８）

燃費効率の向上によるコスト削減

エコカーのほとんどは燃費効率がよいため、ガソリン代の節約にもつながる。なかでもハイブリッド車は、ガソリン車が熱として捨てていたエネルギーを回収して再利用するため、燃料の消費量が抑えられることから燃費がよくなる。長期的に見れば、ガソリン車よりもコスト面で有利といえるだろう。（※９）

税金の優遇や補助金の適用を受けられる

日本では、エコカーは減税や補助金の対象となっている。条件を満たせば車にかかる費用を安く抑えられる可能性があるのもメリットといえるだろう。（※７）

環境にやさしい車のデメリット

価格が高い

環境にやさしい車は、新しい技術が搭載されていることもあり、従来のガソリン車に比べて車両の販売価格が高い点がデメリットだ。ただし国や自治体が交付している補助金制度を活用すれば、購入価格を抑えることができる。（※10）

充電スポットが少ない

電気自動車などは、充電スタンドが少ないのもネックだ。電気自動車の普及にともない、EV充電スタンドの数は増えつつあるものの、ガソリンスタンドと比べるとまだ数は少ないといえる。（※10）

充電に時間がかかる

車種によって性能は異なるが、電気自動車は充電に時間がかかるのもデメリットである。急速充電であれば短時間で充電できるが、バッテリーが高温になりやすく、何度も繰り返せば劣化にもつながる点にも注意が必要だ。（※11）

エコカーを選ぶ際のポイント

エコカーを選ぶ際には、次のポイントに注目するとよいだろう。

使用目的に応じた車種の選び方

長距離通勤や遠方にドライブすることが多い場合には、ハイブリッド車やディーゼルエンジン搭載車が適している。これらは燃費がよく、ガソリンやディーゼルの補給も充電より早いため長距離向きである。

街乗りや短い距離を走ることがメインの場合には、電気自動車やプラグインハイブリッド車が便利だ。とくにEVは自宅で充電できるため、短距離向けに適している。

初期コストと長期的なコストのバランス

エコカーはガソリン車に比べて購入価格が高いが、国や自治体が交付している補助金制度を活用すれば、購入価格を抑えることができる。また燃費効率が向上していることにより、燃費コストの削減が期待でき、長期的に見ればガソリン車よりもコスト面で有利といえるだろう。

充電や燃料インフラの整備状況

自宅や近隣、よく行く場所に充電インフラが整備されているかどうか確認することが重要だ。なかでも、燃料電池車を走行するために必要な水素ガスを充填する設備である水素ステーションはまだ設置場所が少ないため、自宅や近隣にない場合には選択肢に影響してしまう。（※12）

環境にやさしい車の日本と世界の現状

国際エネルギー機関（IEA）が発表した「世界EV見通し2024」によると、2023年の電気自動車の販売台数は、中国が810万台（前年比37％増）、欧州が330万台（前年比22％増）、アメリカが139万台（前年比40％増）であった。また世界全体の電気自動車の新車販売台数（乗用車のみ）は、1,380万台（前年比35％増）で増加している。

日本の2023年の電気自動車新車販売台数は43,991台で、前年よりも1,392台増えている。新車販売台数全体における電気自動車の構成比は1.7％で、前年と比べるとわずか0.1％増えただけという結果であった。

日本では少しずつ環境にやさしい車が増えているものの、中国やヨーロッパ、アメリカのようには増加していない。これは充電インフラの不足や購入価格が高いといった理由から、普及がうまく進んでいないと考えられる。（※13）

環境にやさしい車でカーボンニュートラル実現に貢献しよう

世界中で環境意識が高まるなか、地球にやさしい選択をすることが重視されている。エコカーはCO２排出削減や燃料費の削減といったメリットから、多くの人に支持されている。車を買い換える際には、エコカーも選択肢に入れて検討しよう。エコカーにすれば、環境保護やカーボンニュートラルの実現に貢献できる。

※１ エコカー（低公害車、クリーンエネルギーカー）国土交通省
※２ 環境にやさしい自動車｜国土交通省
※３ やさしい運転を心がけるだけでも自動車から排出されるCO２は減らせます｜環境省
※４ クリーンディーゼル車（CDV）｜環境展望台
※５ 2021年度（令和3年度）温室効果ガス排出量（確報値）について｜環境省
※６ 自動車の“脱炭素化”のいま｜資源エネルギー省
※７ 「エコカー補助金」の概要について｜国土交通省

※８ 電気自動車（EV）のメリットは？デメリットや解決策、おすすめの選び方を紹介｜おとなの自動車保険
※９ ハイブリッド車（HV）｜環境展望台
※10 電気で走る環境に優しいEV車（電気自動車）とは？メリットやデメリットを解説！｜りそなグループ
※11 電気自動車の充電時間や注意点を紹介！時間がかかるのはどうして？｜サンフィールド
※12 水素ステーションとは？場所や価格、仕組みなどを紹介｜GAZOO
※13 国内のEV普及に向けた現状の課題と政府が実施する施策とは｜ミライト・ワン