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環境にやさしい社会の実現のために、排気ガスを出すガソリン車を禁止し電気自動車(EV)に移行する動きが世界で広がっている。ノルウェー、スウェーデンなど、ガソリン車を販売禁止にしている世界の国一覧と、それぞれの規制の内容や目標を紹介する。また日本の取り組みと現状もあわせて確認しよう。
Kanae Tahara
Freelance PR / Writer
社会貢献×ライフスタイルを軸にした日本国内の企業で広報、PR、コンテンツ制作などの経験を積み、2023年よりフリーに。現在カナダ在住。
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ガソリン車を段階的になくし、電気自動車(EV)へシフトする動きが世界で広がっている。ガソリン車は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出するだけでなく、排気ガスに含まれる有害物質が大気汚染につながり、健康被害のリスクも引き起こしている。そのため、環境にやさしい電気自動車への移行が推進されており、ガソリン車の販売を禁止する方針を発表する国が相次いでいる。
最初にガソリン車販売禁止に関する規制を発表したのはノルウェーで、2016年のことだ。これをきっかけに、ガソリン車から電気自動車への転換が国際的に広がり、世界中の国が追随するようになった。
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ここでは、代表的ないくつかの国の目標とその状況を紹介する。なお、各国が販売禁止にしているのは新車が対象であり、すでに使われているガソリン車や中古車販売は規制の対象ではない。ガソリン車の新車販売をなくし、段階的に完全にガソリン車を廃止していく流れだ。
2025年までに禁止
前述したように電気自動車へのシフトを世界でいち早く取り組みを始めたのがノルウェーだ。2016年に「今後10年でガソリン車・ディーゼル車の販売を完全に廃止する」ことを発表。政府が推進した減税や補助金政策、充電ステーションの整備等によって、もっともEVの普及が進んでいる国である。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年の新車販売における電気自動車の割合は約8割と、非常に高い。
2030年までに禁止
ノルウェーに次いでEV先進国と呼ばれるスウェーデンは、2019年1月に2030年からのガソリン車の新車販売を禁止する法案を可決した。また、首都ストックホルムでは、市中心部でのガソリン車とディーゼル車の通行を2024年12月31日より禁止に。騒音の軽減と大気環境の改善を目的とした同規制は、ストックホルム市中心部の20ブロックを「環境ゾーン」とし、電気自動車と低排出ガス車の走行のみを許可する。
2035年までに禁止
欧州連合(EU)は、2035年以降、ハイブリット車も含めてガソリン車の販売を禁止にした。だがドイツは、BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ、フォルクスワーゲンなどの自動車メーカーを持つ国。環境対策と経済対策を同時に行うため、グリーン燃料で駆動されるエンジンは許可するようにEUに主張し、2035年以降も合成燃料(e-fuel)対応の車に限り、継続的に販売が可能となった。
2035年までに禁止
イギリス政府は当初、ガソリン車の新車販売禁止目標を2030年に設定していたが、2023年9月に目標を2035年まで延期することを発表した。これは、国民に「容認できないコストを課している」ことが理由。だが、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に変更はなく、より現実的なアプローチをとるとのこと。
2040年までに禁止
フランスではガソリン車の新車販売禁止の他に、2040年までにフランス全土で完全にガソリン車とディーゼル車の販売を廃止する目標を掲げている。また、首都パリでは、2030年までにガソリン車の市内への乗り入れを全面禁止する計画も発表している。
2035年までに禁止(カリフォルニア州など一部の州)
アメリカ最大の新車市場であるカリフォルニア州は、2022年にガソリン車の新車販売禁止政策を発表。ニューヨーク州やワシントン州などを含む10以上の州が同様の政策を採用しており、その数は現在進行形で増えている。
また、連邦政府は2030年までにアメリカ全土の新車販売の50%を電気自動車にするという目標を発表。全国的な充電ステーションの整備に50億ドル(約7300億円)を充て、国内生産を促進するためにEV税額控除を改定する等の政策も行っている。
2035年までに禁止
カナダ政府は2023年12月、ガソリン車販売禁止に関する新しい規制を発表。対象を小型車、小型トラックを含むすべてのガソリン車に広げた。連邦政府の発表より前からすでに規制を進めていたケベック州とブリティッシュコロンビア州の2つは、新車販売におけるEVの割合はそれぞれ20%、25%であり、普及が進んでいることがわかる。
2035年までに新エネルギー車のみに
人口が多く温室効果ガスの排出量が世界でもっとも多い国、中国。中国政府は2035年までに新車販売は新エネルギー車*にするという方針を2020年10月に発表。事実上、2035年からはガソリン車の新車販売はできなくなる。
*新エネルギー車:電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)をさす。
2035年までに100%電気自動車に
数多くの大手自動車メーカーを抱える日本では、2050年までにカーボンニュートラルになることを目指し2020年に宣言された「2050年カーボンニュートラル」の下、2035年までに新車販売を電気自動車100%にすることを表明した。ガソリン車禁止に言及されてはいないが、実質的に新車市場からガソリン車の姿が消えるものと捉えられている。2035年以降は、EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド)、PHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)のみとなる。
このように世界各国でガソリン車を禁止する動きが進み、多くは2035年までを期限にしている。目標が変更される可能性は十分にあるものの、地球環境にやさしい車社会に進むための移行期間として各国の取り組みを注視してみてはいかがだろうか。
※参考
Norwegian EV policy|Norsk elbilforening
Global EV Data Explorer|IEA
Statement of Government Policy 21 January 2019|Government offices of Sweden
EU 2035 petrol and diesel car ban: Germany reaches deal on synthetic fuels|euronews
Government sets out path to zero emission vehicles by 2035|GOV.UK
Paris to ban all gas-powered cars by 2030 | CBC
Electric Vehicles & Rural Transportation|An official website of the United States government
States that have Adopted California's Vehicle Regulations|CA.GOV
Canada to require all new cars to be zero-emission by 2035 | The Guardian
China plans to phase out conventional gas-burning cars by 2035|Nikkei Asia
パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略|脱炭素ポータル 環境省
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