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不要になった古着を無料で回収する店が増えている。ごみとして処分すれば、焼却処分によって温暖化の原因となる二酸化炭素の排出になり、温暖化や気候変動につながってしまう。そこで、無料で古着を回収している店、古着を持って行くと特典がもらえる店を紹介しよう。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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いち早く環境への取り組みを率先して行っているパタゴニア。各店舗で、使わなくなったパタゴニア製品の回収を行っている。回収したものは、まだ十分使えるものであれば古着などとして再利用できる方法を探り、そうでないものは繊維や生地にリサイクルする。郵送で古着を送ることも可能だ(送料は利用者の負担)。
対象店舗 | 全国のパタゴニア |
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回収対象 | パタゴニア製品 |
回収後 | 古着として再利用できる方法を探るか、繊維、生地などにリサイクルする |
ユニクロは、日本をはじめ世界の店舗で、リサイクル、リユースする取り組み「RE.UNIQLO」を進めている。回収した古着は、服から服へのリサイクルのほか、燃料や素材へのリサイクル、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や世界各地のNPO・NGOと協力して、難民キャンプなど世界で服を必要としている人々の支援として渡している。
対象店舗 | 全国のユニクロ |
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回収対象 | ユニクロ、ジーユー、プラステの古着 |
回収後 | 服から服へのリサイクル、燃料や素材へのリサイクル、支援衣料としてリユースされる |
SHIPSグループでは2022年11月より古着回収ボックスを常時設置。それぞれの素材に応じて、リサイクル、リユースしている。ポリエステル繊維100%のものについては、新たな服の原料として再び利用する。再生ポリエステルでできたサステナブルエコバッグの販売も行っている。
対象店舗 | 全国のSHIPS |
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回収対象 | 古着(繊維製品のみ) |
回収後 | 素材に応じてリユース・ リサイクル、ポリエステル繊維100%については再生ポリエステルとして再利用する |
アーバンリサーチでは、廃棄衣料をアップサイクルしたオリジナルの「commpost製品」シリーズで、バッグやポーチ、スマホケースなどを展開している。これらのcommpost製品で不要になったものは、店舗にある回収ボックスで回収を行っている。
また、「古着バトン」の取り組みでは、再販できるものは手を加えて再び店舗で販売するほか、NPO団体などと協力して、支援を必要とする子どもへの寄付、リサイクルなどに活用している(古着バトンの参加には、オンラインで回収キットを購入する必要がある)。
対象店舗 | 全国のアーバンリサーチ各店 |
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回収対象 | アーバンリサーチの対象commpost製品、古着バトンの場合は古着全般(ベビー服、下着などをのぞく) |
回収後 | 新たな製品への再利用、支援を必要とする子どもへの寄付等 |
ZARAでも古着の回収を行い、循環型社会の推進を行っている。ブランドは問わず、古着のほか、靴、アクセサリーも回収しており、提携する団体を通じて適切に再利用等されている。
対象店舗 | 全国のZARA |
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回収対象 | 古着、靴、アクセサリー |
回収後 | 提携する非営利団体等を通じて適切に再利用等される |
無印良品では、全国の店舗で古着を回収してリサイクルするプログラム「ReMUJI」を行っている。対象は、無印良品の衣料品全般(下着を除く)と、タオル・シーツ・カバー類。MUJI Passportの提示で1,000マイルをもらえる。
対象店舗 | 全国の無印良品 |
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回収対象 | 無印良品の衣料品全般(下着以外)、タオル、シーツ、カバー類 |
特典 | MUJI Passportの提示で1,000マイル付与 |
回収後 | 衣料品としてアップサイクルするか、服などの商品の原料として再生する |
アウトドアブランドの「THE NORTH FACE」などを展開するゴールドウィンでは、2015年よりブランドを問わずどの服もすべて受け付ける「GREENCYCLE」プログラムを行っている。古着を持っていくと、1回につき1枚のクーポンをもらえる。回収された古着は、パートナーシップを結ぶアイコジャパンを通じて、その状態に応じてリサイクル、リユースなどに活用される。
対象店舗 | THE NORTH FACE、HELLY HANSENの一部店舗 |
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回収対象 | メーカーやブランドを問わず、すべての古着(下着、靴、靴下、帽子、手袋等は対象外) |
特典 | 1回につき500円分のクーポン1枚を付与 |
回収後 | ケミカルリサイクル、アップサイクル等 |
H&Mでは、2013年より日本を含む世界中で古着回収サービスを実施。ブランドを問わず回収可能で、次回の買い物に使えるデジタルクーポンをもらえる。回収された古着は、提携先のファイバーシーディーエムより、まだ着用できるものは古着としてリサイクルされ、そうでないものは清掃用品などにリメイクしたり、繊維に裁断して断熱材として利用したりする。
対象店舗 | H&Mの店舗 |
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回収対象 | すべての古着、布地(ブランドを問わない) |
特典 | デジタルクーポンを付与 |
回収後 | 古着としてのリサイクル、リメイク等 |
アウトドアブランドのスノーピークでは、「使い捨てではなく、循環する洋服を」をテーマに古着と不要になったテントの回収を行っている。ブランドは問わず、どの古着とテントも対象。古着を持ってきた人には、オリジナルステッカーをプレゼントする。スノーピークでは、不要となったコットン製品を回収して新たな製品にする「UPCYCLE COTTON PROJECT」も実施している。
対象店舗 | スノーピーク直営店 |
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回収対象 | テント、タープ、シュラフ、衣料品(靴、カバン、アクセサリーを除く) |
特典 | オリジナルステッカーをプレゼント |
回収後 | ポリエステル繊維については、再生ポリエステル樹脂を製造し、新たな繊維にして製品化する |
オンワードでは、不要になったオンワードの服を365日いつでも引き取る「オンワードグリーン」キャンペーンを行っている。回収に協力した服1点について、オンワードグリーンポイント500ポイントが付与される。回収されたものの一部から、毛布や手袋をつくり、日本赤十字社の協力のもと世界の被災地支援に役立てられる。
対象店舗 | 全国の百貨店内にあるオンワード樫山の店舗 |
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回収対象 | 不要になったオンワードの衣料品(1回につき10点まで) |
特典 | オンワードグリーンポイント500ポイントを付与 |
回収後 | 毛布や手袋を生産し、世界の被災地支援に役立てられる |
洋服の青山では、これまでに不要になったスーツや学生服などの下取りサービスをおこなってきたが、2023年10月より全国の店舗にリサイクリングボックス「ウエアシフト」を設置した。古着の回収に協力するとクーポン券を付与する。これまで行ってきた下取りサービスで回収した古着は、車の断熱材や荷物の緩衝材などに再利用してきた。また回収した繊維から毛布をつくり、自治体に寄贈している。
対象店舗 | 全国の洋服の青山の店舗 |
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回収対象 | 古着 |
特典 | クーポン券を付与 |
回収後 | 断熱材、緩衝材などに再利用する |
ユナイテッドアローズでは、廃棄物削減と循環型ファッションの推進を目指し、2023年8月に全国の店舗で、古着を回収する「UA RECYCLE ACTION(UAリサイクル アクション)」を開催した。
大丸・松坂屋では、不要になった衣料品、靴、バッグの回収を行うリサイクルキャンペーン「ECOFF(エコフ)」を各地で行っている。2023年秋に実施するキャンペーンでは、500円分のクーポン(大丸・松坂屋アプリの場合)または400円分のショッピングサポートチケットをもらえる。
古着の回収は行っても、下着は対象外であることが多い。とくに女性が使うブラジャーは、処分しにくいという面もある。そこでワコールでは、不要になったブラジャーを回収する「ワコール ブラリサイクル」キャンペーンを行っている。ワコール以外のブラジャーも回収可能で、ワコールの店舗にもっていくか、郵送も可能。集まった古いブラジャーは、提携リサイクル工場で再生プラスチックにリサイクルされる。
ワコールの傘下にあるピーチ・ジョンでも、同じように不要になったブラジャーの回収を行っている。集められたブラジャーは、提携のリサイクル工場で、生活雑貨などに活用される。
ファッションブランドの多くが不要になった服や古着を回収し始めているのは、いま世界で多くの服が廃棄されていることが問題となっているから。大量生産・大量消費スタイルによって、新しい服を買い替えるサイクルが早まり、不要な服を多く所有している人が多い。
環境省のデータによると、1年間に1人が購入する服は約18枚。それに対して、着用しない服は35枚あり、手放す服は15枚もある。しかも手放した服のうち、リサイクル、リユースされているのは全体の34%のみで、残りの66%はごみとなって捨てられ焼却処分・埋立処分されているのだ(※1)。
そこで、不要になった服を処分するのではなく、資源として利用しようという取り組みが始まっているのだ。不要になった服は、ごみとして処分せず、ぜひそれ以外で活用する方法を探してみよう。
古着を再び活用するリサイクル。ファッションブランドで回収ボックスが設置されて行っている回収は、このリサイクルやリユースに該当する。
不要になった服でも、刺繍を加えたりボタンを変えたりしてリメイクして着てもいいだろう。古くなった服でも、手を加えて別のものに変えてもいい。
まだ十分に着られる服ならば、寄付するという選択肢を考えてもいいだろう。寄付先は、下記の記事を参考に。
不要な服をごみとして処分することは避けたいが、そもそも不要な服を頻繁に買って、要らなくなったら回収ボックスに入れているだけでは意味がない。シーズンごとに新しい服を次々と買うようなスタイルではなく、限られた資源を大切にして、「本当に必要なものだけを買う」消費スタイルにシフトすることが大切だ。
大量生産・大量消費のスタイルの影には、劣悪な環境下で不平等に労働を強いらせられる人がいて、「ラナプラザの悲劇」のような事件を引き起こすなど、数々の問題が生まれてきた。そして、主に先進国でつくられて捨てられた服が、開発途上国に大量に輸入されているという現実もある。
そのような実態を知れば、古着の回収だけでは、ファッション業界が抱えている問題の解決にはつながらないとわかるだろう。これからどんな消費スタイルを行うべきか、ぜひ考えてみよう。
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