マイボトルも不要 ドイツの1万店舗以上で導入「デポジット制コーヒーカップ・RECUP」

ドイツのスタートアップが考案した、コーヒーカップのデポジット制度「RECUP」

Photo by reCup GmbH

ドイツのスタートアップが考案した、コーヒーカップのデポジット制度「RECUP」。コーヒーを購入する際に1ユーロをカップの保証金として支払い、ドイツ国内に1万店以上ある提携店に返却すればデポジットが返ってくる。同様にフードをテイクアウトできる容器「REBOWL」も展開する。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2022.11.22
SOCIETY
学び

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使い捨てコーヒーカップの消費をストップ

ドイツのスタートアップが考案した、コーヒーカップのデポジット制度「RECUP」

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コーヒー大国ドイツでは、カフェやパン屋、キオスクなど、街中でいつでも気軽にテイクアウトのコーヒーを楽しむことができる。だが一方で、大量の使い捨てコーヒーカップが問題となっていた。

そんな問題を解決しようと立ち上がったのが、デポジット制の再利用可能なカップを使ったシステム「RECUP」だ。2016年に南ドイツのローゼンハイムで試験的に始まり、ミュンヘンに拠点を構えるスタートアップ企業のreCup GmbHが運営している。

ドイツではもともと、ビールやジュースのびん、水のペットボトル、びん入りのヨーグルトなどで、Pfandと呼ばれるデポジット制度が定着している。これは、商品を購入する際に容器代をデポジット(保証金)として支払い、返却するとそのお金が返ってくるリサイクルのシステムだ。

RECUPは、ドイツのこの習慣を応用したもので、提携先の店でコーヒーを購入する際にカップの保証金として1ユーロ(約144円)を支払い、そのカップを返却すると1ユーロが返ってくる。返却は、コーヒーを購入した店以外でも、RECUP導入店であればどこでも可能だ。

Vol.7 空き瓶デポジット制度 ドイツと日本で実践する方法を紹介!

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導入店舗はドイツに1万4700店以上 便利なアプリも

アプリを使えば、簡単にRECUPの提携店を見つけることができる

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アプリを使えば、簡単にRECUPの提携店を見つけることができる

2022年現在、RECUPを導入している店舗はドイツ国内に1万4700店以上。専用のアプリも提供しており、すべての導入店舗をスマートフォン上で確認できる。そのため、カップの返却場所を探すのに時間を取られることもない。

カップは100%リサイクルプラスチック製で、1000回も繰り返し使えて、BPA(プラスチックの原料となる化学物質)を含まない。サイズは4種類あり、コーヒーをはじめマキアートやジュース、ビールまで、あらゆるバリエーションの飲料に対応している。

また、食器洗い乾燥機で洗えるほか、積み重ねられるので省スペースで保管でき、割れにくいなど、店舗にとっての利点も大きい。導入店は、契約期間に応じたシステム料金として月額25〜45ユーロを支払うことになるが、これは使い捨て容器を利用するよりも安いという。

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食事のテイクアウト用容器も展開

食事のテイクアウトに使えるデポジット制の容器REBOWL

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RECUPに続いて生まれたのが、食事のテイクアウト用に開発された「REBOWL」。コロナ禍により食事のテイクアウトやデリバリーがより身近になったが、REBOWL導入店を利用すれば、レストランなどの食事をテイクアウトする際に発生する容器のごみを削減できる。

基本的なシステムはRECUPと同じで、利用者は容器代として5ユーロ(約720円)のデポジットを支払い、提携店で返却するとそのお金が戻ってくる。

容器のサイズは現在、大容量の1100ml、仕切り付き(590ml + 320ml)、小容量の550mlの3種類。ボウルは漏れにくく、85度までの耐熱性があるので、スープやカレー、パスタなど、温かい料理にも対応。電子レンジの利用もできる。

REBOWLはドイツのテイクアウト配達サービス「Lieferando」と提携している

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またREBOWLは、ドイツのテイクアウト配達サービス「Lieferando」とも提携しており、ますます広がりを見せている。

近年ではマイカップやマイボトルなどを持参する人も増えているが、RECUPやREBOWLはより多くの人にとって簡単で取り組みやすいシステムだ。持続可能な循環型社会をつくっていくためには、こうしたシステムは大いに助けになるだろう。

※参考
RECUP

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※掲載している情報は、2022年11月22日時点のものです。

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