世界初「水素燃料で動く列車」 ドイツで乗客を乗せて運行開始

世界初の水素燃料列車がドイツで正式運行

Photo by Alstom

水素を燃料とする世界初の列車が、ドイツで運行を開始した。欧州がロシア産の石油・天然ガスへの依存から脱却しようとするなか、排気ガスを出さない水素列車は、ディーゼル発電の電車に代わる選択肢として注目を集めている。

岡島真琴|Makoto Okajima

ライター

ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。ライター・編集者として活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRESSを運営。

2022.08.24

水素燃料列車「コラディア・アイリント」 アルストム社が開発

アルストムが開発したドイツの水素燃料列車「コラディア・アイリント」

Photo by Alstom

2022年7月25日、世界で初めて水素を燃料とする列車「コラディア・アイリント(Coradia iLint)」の本格運行が始まった。運行するのは、ドイツ北部の都市ハンブルクからほど近い港街クックスハーフェン市から、ブクステフーデ市までの区間。

この列車を製造したのは、フランスの鉄道車両製造大手のアルストム社。列車の購入費用はおよそ8600万ドル(約117億円)で、ドイツ連邦政府が一部の費用を負担している。現在は、まだ初期段階の運行であるため、メンテナンス等の必要性に備えて、最初の数カ月間はディーゼル車を予備として用意している。

排気ガスを出さず最小限の騒音

アルストムが開発したドイツの水素燃料列車「コラディア・アイリント」

Photo by Alstom

コラディア・アイリントは、2016年にベルリンで開催された国際鉄道技術専門見本市「イノトランス(InnoTrans)」で初めて公開され、その後2018年から試験運行を行ってきた。

アルストム社によると、コラディア・アイリントの最大乗客定員数は300人で、最高速度は時速140km。航続距離は1000kmで、水素燃料を満タンにすれば1日中走行が可能だ。

水素は列車の屋根に取り付けられた燃料電池で発電され、車載バッテリーに蓄電される。また、ブレーキをかけたときのエネルギーを回収し、これもバッテリーに蓄える。副産物として水や熱を発生させるが、大気汚染物質を排出せず、騒音も最小限だという。

現在は、ブレーマーフェルデに水素充填ステーションが設置されているが、2024年までには太陽光発電や風力発電の電力を利用して、水を電気分解してつくる“グリーン水素”を利用する予定だ。

同社ではフランクフルト・アム・マイン西部でも、2022年12月よりコラディア・アイリント27台の運行を開始する予定。

ドイツをはじめとする欧州諸国は現在、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ロシア産の石油や天然ガスへの依存から脱却しようと図っている。そんななかで、水素列車がディーゼルエンジンに代わる新たな選択肢となり得るのか、世界中がこの列車に注目している。

※掲載している情報は、2022年8月24日時点のものです。

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