Photo by comorebi farm
広島県・尾道市因島のcomorebi farmと徳島県・上勝町のRISE & WIN Brewing Co.がコラボした「課題解決ビール」とは。comorebi farmで農業に従事する、ELEMINIST元副編集長が綴るコラム連載。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
こんにちは。comorebi farmという農園を運営している小嶋です。
今日から5日間連続で、ELEMINISTにて記事を公開させていただきます。連載のタイトルは「農業の危機をビールが救う? 問題解決型プロダクトができるまで」。これは僕たちの農園と徳島県上勝町にあるブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」さんがつくるコラボレーションビールの開発背景を知ってもらうための連載です。
なぜビールで農業の問題が解決されるのか? どのような問題があり、どのように解決していくのか? そもそも、なぜRISE & WIN Brewing Co.とcomorebi farmが手を組むことになったのか?
連載を通して、そんなことをお伝えしたいと思っています。
1記事目は導入編として、両者の出会いについての紹介。
始まりはただの立ち話で、ドラマチックなものではありません。RISE & WIN Brewing Co.さんとコラボレーションビールを開発するきっかけを知って、この課題解決型ビールに興味を持っていただけたら嬉しいです。
まずはcomorebi farmの紹介をさせてください。
僕たちは広島県尾道市の「因島(いんのしま)」という瀬戸内海の離島で「八朔(はっさく)」を栽培しています。
因島は、尾道市と愛媛県今治市の島々を7つの橋でつなぐ「しまなみ海道」が通る島で、尾道側から数えると2番目の島です。戦国時代には瀬戸内海で活躍した「村上海賊(村上水軍)」の拠点があった島であり、マンガ『ヒカルの碁』に出てくる天才囲碁棋士「本因坊秀策」が生まれた島であり、「ポルノグラフィティ」の2人がバンド活動を始めた島でもあります。
そして、因島は八朔が発祥地の島なのです。
知らない人もいるかもしれませんが、八朔はサクサクとした食感、爽やかな甘み、クセになる苦味、程よい酸味のある果物です。
僕たちは2021年10月に思ってもみなかったご縁で、そんな八朔の畑を管理しきれなくなったおばあちゃんから農園を受け継ぎました。綺麗に手入れされてきた畑がなくなるのはもったいないと思い、すぐに八朔を栽培することを決めました。農業経験は全くありませんでしたが「やらなければいけない」と強く感じたのです。
Photo by comorebi farm
僕たちは周囲の農家さんに手取り足取り教えてもらいながら、自分たちが本当においしいと思える安心で安全な八朔づくりにチャレンジしています(僕たちの特徴についてはECサイトに詳細に記載しているので、もし興味があったら読んでみてください)。そして、comorebi farmはさまざまな農法やビジネスの知見を取り入れながら常に進化し続け、その成功体験を周囲の農家さんに還元していきたいと考えています。
前置きが長くなってしまいました。
いま、comorebi farmは、RISE & WIN Brewing Co.さんとともにコラボレーションビールを製造しています。
RISE & WIN Brewing Co.については知っている人も非常に多いと思いますが……ゼロウェイストタウンとして有名な徳島県上勝町にブルワリーを構え、廃棄対象になる柑橘「柚香(ゆこう)」の皮を香りづけに使用するなど、先進的な取り組みをしています。
そんな彼らとの出会いは、ELEMINISTと千葉県木更津市のサステナブルファーム「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」が共同で開催した「able for the FUTURE」でした(アフターレポートはこちらからお読みいただけます)。
僕のプロフィールの文言を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、僕はもともとELEMINISTで副編集長をやっていました。「able for the FUTURE」が開催された時は副編集長でありながら、comorebi farmの運営を始めていたので、二足のわらじを履きながら生活していました。そんなライフスタイルに興味を持ってくれたのが、RISE & WIN Brewing Co.さんだったのです。
コラボレーションにいたるまでの話は別の記事で紹介させていただこうと思っていますが、comorebi farmとRISE & WIN Brewing Co.が手を組むことによって、「八朔の危機」を知ってもらう機会を増やしたいなと考えています。いま、八朔農家の高齢化と担い手不足によって、八朔が食べられなくなる未来がやってきてしまう可能性があるのです。
「able for the FUTURE」のイベントでRISE & WIN Brewing Co.さんとお話をした時には、「いつか一緒にビールを作れたら面白そうですね〜」と話していた程度ですが、後に「八朔の危機」について詳しくご説明したら、実際にコラボレーションビールを製造するに至りました。
僕たちは知るという行為は誰でもできる社会活動のひとつだと考えています。具体的な話はまだできていませんが、八朔の危機について興味を持ってくだされば、本望です。なぜなら八朔で起きていることは、おそらく他の農作物でも起きていることなのですから。
※上記の画像は完成イメージです。
農家と醸造家。業界も業種も違うけれど、本気で持続可能なものづくりを目指しているという点は共通していました。そんな両者の出会いから生まれたコラボレーション。
"課題解決ビール"と呼んでいるこのビールには、生産、加工、流通、販売などで出てくる課題を、ビールというツールを通して消費者の方々に少しでも知ってもらいたいという提供者側の思いが詰まっています。
comorebi farmの八朔の果汁も皮も丸ごと使用して造ったビールは 「甘味、渋み、香り」それぞれにフォーカスして、八朔の特徴をそのまま感じられるように仕上がっています。 スッキリしていてグビグビと飲みやすく、八朔の程よい渋みと香りが夏にピッタリです。
そして、僕たちは予約販売を取り入れることによって、販売期間を長くし、なるべく食品ロスを出さないように心がけています。下記のページから予約販売を受け付けておりますので、ぜひチェックしてみてください。
ELEMINIST Recommends