RISE & WIN Brewing Co.ならではのアイデアが詰まったゼロウェイストビール

農業の危機をビールが救う? 問題解決型プロダクトができるまで

広島県・尾道市因島のcomorebi farmと徳島県・上勝町のRISE & WIN Brewing Co.がコラボした「課題解決ビール」とは。comorebi farmで農業に従事する、ELEMINIST元副編集長が綴るコラム連載。

小嶋正太郎

農家 / 編集者

元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。

2022.05.28
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こんにちは。comorebi farmという農園を運営している小嶋です。

連載「農業の危機をビールが救う? 問題解決型プロダクトができるまで」も終盤に入りました。僕たちの農園と徳島県上勝町にあるブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」さんがつくるコラボレーションビールの開発背景を知ってもらうための連載も、今回で4回目となります。

これまではRISE & WIN Brewing Co.さんとcomorebi farmがコラボレーションビールを製造するにいたるまでの話をしましたが、今回はコラボレーションビールのこだわりを紹介したいと思います。

八朔を余すことなく使用したビール

コラボレーションビールのレシピ開発は完全にRISE & WIN Brewing Co.さんにお任せしております。詳しい分量などは公開できませんが、八朔を余すことなく使っていただいています。

通常、ビールの香り付けに柑橘を使用するときは皮だけを材料にすることが多いそうです。今回は両者のフードロスは出したくないという想いで、八朔の実を果汁にしたものと、八朔の皮を使用しています。

こうすると苦味が増してしまう可能性があるとのことですが、それを計算した上でRISE & WIN Brewing Co.さんは麦芽やホップなどの量を調整してくれています。ビールならではの香りや苦味はホップによるところが大きいのですが、今回は八朔で香りと苦味を出す予定です。

これは日頃からゼロウェイストを意識している醸造所だからこそ考えられるアイデアではないでしょうか。生産者としても、そういった配慮をしていただけることは非常に嬉しいです。

今回のコラボレーションビールで使用する八朔は規格外のものを使用しています。comorebi farmは農薬を使用していないため果実に黒点がついてしまう可能性が高くなっているため、それをきちんとECサイトで説明させていただいた上で八朔を購入していただいております。

八朔を仕分けている様子

Photo by comorebi farm

黒点とは「Diaporthe Citri(不完全菌)」によって皮に発生するもので、味に影響はなく、口にしても人体に影響はないと言われています。ただし、黒点が果物についていると、どうしても商品としての見栄えが悪くなってしまうため、少しでもそれがあると売価が下がったり、一般的な業者は引き取ってくれなかったりするのです。

そのため複数の販路を確保できていない農家さんたちは、黒点をなくすために農薬に頼らざるを得ません。そして、農薬を使用した黒点のある八朔は使い道が非常に少ないため、畑に捨てられてしまっています。これは八朔だけに限らず他の柑橘類でも起きていることです。

消費者が見た目がいいものを望めば望むほど、環境や人体に悪影響のある農作物が生まれる可能性を高めてしまいます。消費者が少しずつオーガニック野菜や果物を購入していけば、農家さんたちの意識も変わる可能性があります。こうした負のサイクルを断ち切るのは容易なことではありません。

とはいえ、黒点があまりにも多いと売れないのも事実。そういった八朔たちは見た目が異なるだけで味は変わらないため、comorebi farmは規格外品としてレストランやカフェなどに無償でお配りし、商品開発に協力してもらっています。

RISE & WIN Brewing Co.さんに使っていただくのは、そんな規格外八朔です。先ほどの負のサイクルを断ち切る一助になることもあり、規格外果物の使い道を見出していただきました。

つまり、RISE & WIN Brewing Co.さんからビールを買うことは、農業システムに一石を投じられるのです。

そして、今回のコラボレーションビールのもう1つの特徴は甘さにあります。八朔の特徴といえば、苦味と酸っぱさと甘さのバランスがちょうどいいことですが、RISE & WIN Brewing Co.さんは甘さに着目してくれました。

これは僕たちが八朔を木の上で完熟させ、自然の力で甘さを出していることが影響しています。通常、八朔は寒波被害を避けるために年末年始に収穫し、倉の中で1〜2ヶ月貯蔵することで甘さを出し、出荷されています(話は少し逸れますが、スーパーマーケットなどで見かける八朔の多くは収穫してから時間が経っているものなのです)。寒波被害があるリスクを取りながら、八朔を木の上で完熟させておくと、しだいに苦味は減り、自然な甘さが増してくるのです。

高枝ばさみで八朔を収穫する様子

Photo by comorebi farm

そんなcomorebi farmの八朔をRISE & WIN Brewing Co.さんは上手に調理してくれています。また、このコラボレーションビールでは予約販売を採用します。ビールの製造が終わる前から予約販売をし始めることで、ロスになってしまう可能性をできる限り減らすためです。

お互いにとって初めての挑戦となるので正確な味は予測できませんが、つくり手として関わっているメンバー全員は、このビールを多くの人に飲んでいただきたいという想いでいっぱいです。

comorebi farmとRISE & WIN Brewing Co.のコラボレーションビールの予約受付中

comorebi farmとRISE & WIN Brewing Co.のコラボレーションビール

※上記の画像は完成イメージです。

農家と醸造家。業界も業種も違うけれど、本気で持続可能なものづくりを目指しているという点は共通していました。そんな両者の出会いから生まれたコラボレーション。

"課題解決ビール"と呼んでいるこのビールには、生産、加工、流通、販売などで出てくる課題を、ビールというツールを通して消費者の方々に少しでも知ってもらいたいという提供者側の思いが詰まっています。

comorebi farmの八朔の果汁も皮も丸ごと使用して造ったビールは 「甘味、渋み、香り」それぞれにフォーカスして、八朔の特徴をそのまま感じられるように仕上がっています。 スッキリしていてグビグビと飲みやすく、八朔の程よい渋みと香りが夏にピッタリです。

そして、僕たちは予約販売を取り入れることによって、販売期間を長くし、なるべく食品ロスを出さないように心がけています。下記のページから予約販売を受け付けておりますので、ぜひチェックしてみてください。

※掲載している情報は、2022年5月28日時点のものです。

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