Photo by comorebi farm
広島県・尾道市因島のcomorebi farmと徳島県・上勝町のRISE & WIN Brewing Co.がコラボした「課題解決ビール」とは。comorebi farmで農業に従事する、ELEMINIST元副編集長が綴るコラム連載。
小嶋正太郎
農家 / 編集者
元ELEMINIST副編集長。2021年7月に東京から瀬戸内海に浮かぶ因島へと拠点を移す。高齢化で運営困難になった八朔・安政柑農園を事業継承し、農家として活動中。
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こんにちは。comorebi farmという農園を運営している小嶋です。
2日前から「農業の危機をビールが救う? 問題解決型プロダクトができるまで」という連載で、ELEMINISTで記事を公開させてもらっています。これは僕たちの農園と徳島県上勝町にあるブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」さんがつくるコラボレーションビールの開発背景を知ってもらうための連載です。
前回の記事では八朔の危機についてお話ししました。今回はRISE & WIN Brewing Co.さんがなぜその解決に協力してくれることになったのかを紹介したいと思います。
2月上旬、僕たちは広島県尾道市の因島から徳島県上勝町に足を運びました。収穫した八朔を味わってもらいたいということもありましたが、単純にゼロウェイストタウンで有名な上勝町はどんな雰囲気なのかを知りたかったのです。
RISE & WIN Brewing Co.の醸造所に入った時には驚きの連続でした。廃材の窓枠とガラスを再利用しており、店内のシャンデリアには空き瓶を使用したりと、さまざまな廃材が建築に活かされています。ごみの分別も45種類と非常に細かいです。また、ビール瓶のラベルはリサイクルされることを前提に剥がしやすいシールを採用しており、ホワイトビールには廃棄予定の柑橘「柚香(ゆこう)」の皮を使用しています。ビール造りの工程、醸造所やレストランなどのいたるところで、ゼロウェイストに対する本気度が伺えました。
Photo by comorebi farm
廃材を利用した窓枠
Photo by comorebi farm
空き瓶をアップサイクルしたシャンデリア
Photo by comorebi farm
45種類に分別されたごみ
そして、彼らにはただビールを楽しんでもらうだけではなく、ビールをツールとして社会問題に一石を投じるメッセージを世界に発信していきたいという想いがあることを教えていただきました。
「本当にカッコいい人たちだな」と感じたことは、いまでも鮮明に覚えています。感動しました。
僕たちの八朔を食べていただく時には、RISE & WIN Brewing Co.さんに前回の記事でも書いた八朔の危機と僕たちの心の変化を共有させていただきました。11月に千葉県木更津市のサステナブルファーム「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」で開催された「able for the FUTURE」で初対面した時には、八朔という果物の紹介だけに留まっていたので、改めて想いを紹介したのです。
RISE & WIN Brewing Co.さんと八朔の危機や日本の農業全体が抱える問題についてディスカッションする中で思いついたのが、コラボレーションビールを製造するということでした。多くの人にとって親しみのあるビールをきっかけに、八朔の危機を知ってもらおうと。
そうすることで、八朔を知らない人にもビールを通して八朔の爽やかな甘み、クセになる苦味、程よい酸味を味わってもらえ、八朔が置かれている厳しい現状を知っていただけると考えたのです。
八朔の危機が起きている要因の1つに、八朔農家は生計を立てるのが難しいという現状があります。八朔の売価は低く、その低さゆえに八朔以上に需要のあるレモンに植え替えをする人も多いほどです。瀬戸内海の農家さんの間では八朔は儲からない果物だと認識されています。
そんな状況を変え得る方法の1つは八朔の使い道を増やすこと。急激に需要を増やすことはできませんが、地道に商品開発を重ねていけば、少しずつ売価は上がります。RISE & WIN Brewing Co.さんが八朔を使ったビールを製造してくれることは、八朔農家をサポートするということにおいて非常に大きな意味があります。需要が上がれば、周囲の農家さんの八朔が売れるようになるのですから。
そして、農業は大変なことが多いのですが、それを承知の上で農業を楽しむ人が増えれば増えるほど、農家の高齢化や担い手不足は解決されるかもしれません。
そのような両者の想いが合致して、課題解決型ビールとしてコラボレーションが決まったのです。
※上記の画像は完成イメージです。
農家と醸造家。業界も業種も違うけれど、本気で持続可能なものづくりを目指しているという点は共通していました。そんな両者の出会いから生まれたコラボレーション。
"課題解決ビール"と呼んでいるこのビールには、生産、加工、流通、販売などで出てくる課題を、ビールというツールを通して消費者の方々に少しでも知ってもらいたいという提供者側の思いが詰まっています。
comorebi farmの八朔の果汁も皮も丸ごと使用して造ったビールは 「甘味、渋み、香り」それぞれにフォーカスして、八朔の特徴をそのまま感じられるように仕上がっています。 スッキリしていてグビグビと飲みやすく、八朔の程よい渋みと香りが夏にピッタリです。
そして、僕たちは予約販売を取り入れることによって、販売期間を長くし、なるべく食品ロスを出さないように心がけています。下記のページから予約販売を受け付けておりますので、ぜひチェックしてみてください。
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