「株式会社斗々屋」は、ゼロウェイストな量り売り店「nue by Totoya」をはじめ、卸売業やオンライン講座を行うなど、ゼロウェイストなビジネスのロールモデルと言える会社だろう。その道のりからは、ゼロウェイストな社会を実現するためのヒントが得られるはずだ。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
食品だけでなく、さまざまなエシカルグッズも並ぶ
-オンライン講座など、そういった業界のエコシステム全体に関わる事業に取り組まれるのは、どういった理由からでしょうか?
nue by Totoyaをオープンした当時は「私の住んでるところにもほしい」という声もいただきました。ですが私たちのチームもまだまだ小規模なので、nue by Totoyaが成功してフランチャイズ展開するのではなく、ありとあらゆる場所にさまざまな量り売りのお店があるという形が理想だと考えています。
1番スピーディーなやり方は、やはり地元にいらっしゃる方々が、ローカルな食材などを取り入れながらゼロウェイストで販売いただくこと。そうすれば生産者や小売の方々のネットワークもできていきますよね。
例えば、京都店に向けて交渉している生産者の方々で、はじめてゼロウェイストな方法を取り入れた方もいます。そういう方をトトフレのみなさんにつなぐことで、ゼロウェイストな取り組みがどんどん広がっていきますよね。
私達はそうした紹介で手数料を取ることはしていませんが、浸透していくスピードを上げるには協力していく必要がある。私達がモデルケースとしてゼロウェイストを体現して、そこで得たノウハウをどんどんシェアしていくことが重要だと考えてます。
-これまでの会社の考え方だと、そうしたネットワークやノウハウというのは、やはり商材になるか、独占しようとするかのどちらかになってしまいがちですよね。
もちろんオンライン講座は、私たちもかなりの時間をかけてつくっているコンテンツではあるので、料金をいただいてはいます。ですが、1回お支払いいただければ講義を一生見返せるようなシステムにしていますし、そうした知見を独占しようという気持ちは全くありません。
もちろん経済的なサステナビリティという意味で、ビジネスとして成功したいです。だけど1位を競うとか、そういうことつもりは全くなく、みんなでやっていこうという意識です。
取材中、お店にはさまざまな人が訪れていた。どのお客さんも、スタッフの方々と楽しそうに話していたのが印象的だった
-あくまで経済全体が変わることを目指している。
もっといい選択ができるようになれば、経済も止まらなくていいし、いまある暮らしを楽しみながら変えていくことができるはずです。
-エシカル消費やサステナブル・SDGsが声高に叫ばれて久しいですが、なかなかゼロウェイストな取り組みというのは思うように広がっていないと思います。ゼロウェイストの難しいところはどのような点にあるのでしょうか?
そもそも、いままで企業の責任があまり問われて来てなかったのかなと思います。政府側もそうですが、消費者側もあまり考えずに消費をしていましたよね。誰も責任を問わないからこそ、どんどん物を捨てて、新しいもの買ってもらったり、原材料が安いものを大量に生産することで安くしたり、無駄の多いビジネスの方が利益を生んでいた。
資源を使い切ってしまうようなやり方のビジネスを行う方が利益になっていたからこそ、別のビジネススタイルに切り替えるとなると、二の足を踏む企業が多いのかなと感じます。社会全体や、自然環境全体を見た考え方が根付いていないのではないでしょうか。
インセンティブの問題もあります。もちろん私達としては、インセンティブがあると思ってやっているんですが、例えばコンビニが急にゼロウェイストにしますと言って、うまくいくのか。やり方を工夫すれば全然できるはずなんですが、いまのやり方がうまくいってるからこそ、変えるのが難しいんでしょうね。
だからこそ私たちも、ビジネスとしてだけ見ても成功しているというのを、体現していかなければならないと考えています。
nue by Totoya
住所
〒185-0022 東京都国分寺市東元町2-20-10(カフェスロー内)
営業時間
定休日
取材・文/山田勇真 撮影/神山彩子
ELEMINIST Recommends