玄米カイロでサステナブルな温かさを メリットや簡単なつくり方を解説

玄米で満たされた瓶

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玄米カイロは玄米を利用したカイロのことだ。電子レンジで加熱するだけで温かくなり、繰り返し使えるエコなアイテムである。この記事では玄米カイロの特徴や使用する際の注意点、つくり方などを紹介する。

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2025.01.22
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玄米カイロとは?

褐色の穂先

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玄米カイロとは、精米する前の玄米や米ぬかを使ったカイロのことだ。電子レンジで温めて使用する。使い捨てカイロは1回しか使えないのに対して、玄米カイロは繰り返し使用することができるのが特徴だ。さらに冷蔵庫に入れておけば冷たくなるので夏場のクールダウンにも使え、冬だけでなく1年を通して活躍するアイテムである。

玄米カイロが注目される理由

玄米カイロは自然の恵みが生み出す温もりで、ふんわりとやさしいお米の香りでリラックスしながら体を温めることができる。さらに繰り返し使えるため、ごみの削減にも役立つサステナブルなエコグッズだ。廃棄される余剰米や規格外の古米を原料に使用したものもあり、フードロス問題に寄り添うアイテムともいえる。(※1)

玄米カイロと一般的なカイロとの違い

一般的な使い捨てカイロは、鉄が酸素と結びついて起こる化学反応によって出る熱を利用している。これに対して玄米カイロは玄米を加熱することで発生する蒸気による「湿熱」を利用する。玄米カイロは、再度加熱することで繰り返し使えるのが特徴だ。

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玄米カイロの特徴やメリット

暖かなランプ

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ここでは玄米カイロが持つ特徴や、使用することで得られるメリットについて詳しくみていく。(※2)

やさしくじんわりと温める

玄米カイロを首筋やお腹などに当てると、じんわりと温まり血行が促進されて、冷え性や肩こりの緩和などに役立つ。さらに玄米特有の香ばしい香りややさしい温もりが心を落ち着かせ、ストレスの緩和や寝つきのよさが期待できる。

子どもや高齢者でも安心して使える

玄米カイロは湯たんぽのようにお湯を沸かす必要がなく、電子レンジで加熱するだけと使い方が簡単だ。さらに高温になりにくいので、子どもや高齢者でも安心して使うことができる。

繰り返し使える

玄米カイロは中の玄米を温めて、冷めたらしばらく放置すれば再び温めて使用することが可能だ。使用回数にある程度の上限はあるものの、正しく使用すれば何度も繰り返し使うことができる。

繰り返し使う方法

玄米カイロの温かさは約20~30分ほど持続する。冷めたあとは4~5時間放置することで玄米が蒸気となって出て行った水分を再び吸収するので、繰り返し使うことができる。

腰痛や生理痛のケアに使える

体が冷えていると血流が悪くなり、生理痛や腰痛の一因となる。玄米カイロは要所を温めることで血行をよくして痛みをケアできる。おしりの上の仙骨や腰、お腹周りを温めると効果的だ。

使用後は土にかえすことができる

玄米カイロの中身は、主に玄米や米ぬかなどの有機物だ。そのため、使えなくなっても土に埋めておけば分解され、自然に戻っていく。家庭用コンポストなどに入れておけば、堆肥として再利用することも可能だ。ただしカイロの中身に塩が入っている場合は、分量によっては堆肥として利用できない場合もあるため注意しよう。(※3)

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玄米カイロの使い方と注意点

目元をおさえる男性

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ここでは玄米カイロの温め方や具体的な使用方法、注意点について詳しく解説していく。(※2)

電子レンジでの温め方

玄米カイロは電子レンジで加熱して使用する。温める時間は玄米カイロのサイズによって異なるが、500Wの電子レンジで30秒~2分程度加熱するのが一般的だ。温めすぎには注意しよう。使用後は放出した水分を玄米が再び吸収するので、連続して温めず放置しておく時間が必要だ。

使用可能な部位

体を温めるには、太い血管が集まっている場所に玄米カイロを当てるのがおすすめだ。首や足首、お腹などに当てると血行が促進されて身体が温まる。また、腰や肩などのこりやすい部位に当てれば血行がよくなり、辛さを緩和させる効果が期待できる。

使用中の注意点

温めすぎに注意

玄米カイロの温めすぎに気を付けよう。電子レンジの加熱時間が長すぎるとカイロが熱くなりすぎてやけどをしてしまう恐れがある。また、使用後のカイロは玄米の水分が放出されたあとであるため、すぐに再度加熱すると破裂や発火につながる可能性がある。一度使用したら4~5時間放置し、玄米が再び水分を蓄えた状態になってから使用するようにしたい。

カイロの状態をよくみよう

玄米カイロは玄米や米ぬかなどの天然素材を材料にしているため、保存状態によっては虫やカビ、臭いなどが発生する場合がある。使用する前には、カイロの状態が適切に保たれているか確認しておこう。また、玄米カイロは繰り返し使えるとはいえ永久に使えるわけではなく、200回程度が使用の上限とされている。1年を目安につくり替える、または買い替えるようにしよう。

お手入れ方法

虫やカビ、臭いの発生を防ぐため、定期的に天日干しをし、長期間使わない場合は保存用の袋に入れて冷蔵庫で保管しよう。正しく保管することで1年ほど使用できる。

冷却用にも使用できる

冷蔵庫で冷やせば冷却用としても使用可能だ。夏場の日焼けのクールダウン、入浴後に目元を冷やすなどのほか、発熱時にも利用できる。

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玄米カイロの簡単なつくり方

並べられたスプーン

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ここでは玄米カイロを自分でつくる簡単な方法を紹介する。

必要な材料

〇玄米…1/2カップ
〇米ぬか…1/2カップ
〇粗塩…1/4カップ
〇布 内袋用…22×18cm:1枚、カバー用…26×22cm:1枚
〇ラベンダーやローリエなどのハーブ…お好みで
〇鷹の爪…虫よけに効果的だが肌の弱い方は注意

電子レンジで加熱するため、袋には燃えやすい化学繊維の布は避けること。また、金属糸が使用された布や刺繍が施された布もNGだ。内袋にはシーチングなどの目の詰まった生地が、カバー用にはしっかりした綿や麻などの生地がおすすめ。

つくり方の手順

①煎りぬかをつくる

発酵防止と殺菌のため、フライパンでぬかを煎る。中火でこげやダマができないようきつね色になるまで煎り、香りがたったら火を止めて冷ます。

② ①に玄米と粗塩を加えて混ぜる

ハーブや鷹の爪を入れる場合は細かく刻んで加える。

③内袋をつくる

横長になるよう布を置き、中表になるよう半分に折って短いほうの1辺を残して2辺を縫う。縫い残した1辺から表に返して②の材料を入れ、3つ折りにして口を縫い閉じる。ぬかがこぼれないよう、縫い目は細かくするのがポイント。

④カバーをつくる

横長になるよう布を置き、中表になるよう半分に折って短いほうの1辺を残して2辺を縫う。
縫い残した1辺を折り返して筒状の入れ口になるように縫う。表に返したら完成。(※4)

カスタマイズのアイデア

ぬかの香りが気になる場合は、ラベンダーやローズマリーなど、自分の好みの香りのハーブを加えるのがおすすめだ。また、その日の気分でアロマオイルやアロマスプレーを使用するのもよいだろう。眠れないときにはカモミールやネロリ、元気がないときにはレモングラスやカルダモンなど、気分や体の調子によって効果的な香りを使用してみよう。(※5)

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玄米カイロと社会貢献・エコの関係

天然素材の力で体を温めることができる玄米カイロ。ここでは玄米カイロが環境やライフスタイルに与える影響やこれからの可能性について見ていこう。

使い捨てカイロを使わずに済む

使い捨てカイロは一度使ったら廃棄しなければならないが、玄米カイロは200回ほど使用することができるため、ごみの削減に貢献できるエコアイテムといえるだろう。

フードロス問題の緩和

農林水産省の調査によると、令和4年度に本来食べられるのに捨てられた食品ロスの量は年間で472万tとなっている。これを国民ひとり当たりの1年間の食品ロス量にすると約38㎏になる。一日当たりにすると約103g、大体おにぎり1個分(約110g)に値する量の食品が捨てられていることになる。本来は捨てられるはずだった穀物や余剰米を利用することで、玄米カイロをフードロスの緩和に役立てることができる。(※1・6)

食糧問題への関心の向上

国際連合食糧農業機関(FAO)の2023年版の報告書によると、2022年時点で世界の6億9,100万人から7億8,300万人が飢餓に直面しているという。食べられる食料が大量に棄てられている一方で、飢餓に苦しむ人が存在している。玄米カイロは食品を再利用することで食糧問題への関心の向上に貢献することができる。(※7)

サステナブルな暮らしへの寄与

環境省によると、2022年度の日本の温室効果ガスの排出量は約11億3,500万tだった。玄米カイロを繰り返し使うことで、微量ではあるがごみの排出を減らし、二酸化炭素の排出を抑えることができる。(※8)

エコ志向の高まりへの寄与

環境省の調査によると、日本では食品関連事業者から発生する食品廃棄物等の約89%が再生利用等されている。(※9)このようにSDGsへの取組みは国や自治体を中心に進められ浸透してきている。玄米カイロは個人でも気軽に取り入れられエコな取組みだ。

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玄米カイロでエシカルな暮らしを

玄米カイロはやさしいぬくもりで体を温められるだけでなく、簡単に作れて繰り返し使えるサステナブルなエコグッズだ。ごみや二酸化炭素の排出の削減に貢献でき、自然環境や食糧問題への関心を高めることにも役立つ。気軽にできることから、環境にやさしい取り組みを生活のなかに取り入れてみよう。

※掲載している情報は、2025年1月22日時点のものです。

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