生ゴミ処理機「キエーロ」とは? コンポストとの違いや作り方、使い方を解説

キエーロのイメージ

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手軽に始められるエコ活動のひとつとして注目されている生ゴミ処理機「キエーロ」。本記事では、コンポストとの違いや、キエーロのメリットや仕組み、作り方や使い方を解説する。また、実際に使う際の注意点も紹介していく。

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2024.10.28

キエーロとは

キエーロのイメージ

Photo by Seth Cottle on Unsplash

キエーロとは、黒土のなかにいるバクテリアを利用して、生ごみを分解し、消滅させる生ごみ処理容器のこと。

コンポストとの違い

“生ごみを処理するもの”と聞いて、「コンポスト」を思い浮かべる人も多いだろう。キエーロとコンポストは、生ごみを処理するという点では同じだが、生ごみを分解する仕組みや、分解後に違いがある。

キエーロは先述のとおり、黒土に含まれるバクテリアを利用するのに対して、コンポストは微生物の力で生ごみを分解する。また、キエーロに入れた生ごみは分解されて消滅するが、コンポストに入れた生ごみは堆肥化するため、分解後は堆肥としての利用が可能だ。

キエーロの特徴と仕組み

ここからは、キエーロの特徴や仕組みについて詳しく紹介していく。

必要なのは入れ物と黒土だけ

土のイメージ

Photo by Alicia Christin Gerald on Unsplash

コンポストでは、生ごみを分解をするために、ピートモスと燻炭や米ぬかと腐葉土などの、「コンポスト基材」が必要である。

一方、キエーロを始めるために必要なのは、入れ物と黒土だけ。黒土のなかにもともといるバクテリアが生ごみを分解するため、菌を別途投入する必要がない。

このように少ない材料で手軽に始められる点が、キエーロの特徴のひとつといえるだろう。

分解の仕組み

キエーロに投入された生ごみは、バクテリアの働きによって分解され消滅する。生ごみは、水と二酸化炭素に分解されるため、土の量は増えない。

悪臭や害虫が発生しにくい設計

正しく使えば悪臭や害虫が発生しにくい設計であるのも、キエーロの特徴のひとつだ。キエーロの土の表面を常に乾いた状態にすることで、臭いと虫を避けることができる。

キエーロのメリット

キエーロには、さまざまなメリットがある。ここでは3つを紹介しよう。

生ごみを捨てる量が減る

生ごみのイメージ

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キエーロを使用すれば、生ごみが分解されて消滅するので、使用前よりもごみを減らすことができる。ごみが減ることで、ごみ処理時に発生するCO2も削減ができ、環境負荷を軽減することができるのだ。

さらに、ごみ袋有料化を実施している地域に住んでいる人は、ごみの量が減ることでごみ袋の使用量を抑えることができ、ごみ処理コストの削減にもつながる。

ランニングコストがかからない

必要なものは黒土と入れ物だけ、と手軽に始められるキエーロ。その上、基本的に電気などは使用しないため、ランニングコストがかからない点もメリットといえる。

土が増えないため使い道に困らない

キエーロでは、生ごみは分解されて消滅するため土が増えない。

畑をやっているなど、できた堆肥を使用できる場所があれば、分解後生ごみが堆肥化するコンポストを魅力的に感じるかもしれない。しかしそうでない人は、堆肥の使い道に困ってしまうケースが多く、土が増えないキエーロが取り入れやすいだろう。

【コンポスト調査】コンポストの関心は高いけれど…未経験者のネックは「継続への不安・虫・堆肥の使い道」

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キエーロの設置場所とつくり方

ここからは、キエーロの設置場所やつくり方について説明していく。

キエーロの設置場所の条件

キエーロの設置場所には条件があり、なるべく日当りがいいところ、風通しがいいところが適している。

日陰や風通しの悪い場所では、分解が遅かったり、虫が発生しやすかったりするため注意が必要だ。

キエーロに必要な道具と揃えるもの

スコップと土のイメージ

Photo by Neslihan Gunaydin on Unsplash

キエーロには、基本となる黒土と容器、土を混ぜるためのスコップ、雨よけのフタなどが必要だ。

容器は、プランターやプラスチックケース、段ボール、木材による自作、チャック付きの袋など、約20cm以上の深さがあるものならOK。雨よけのフタは、太陽の光を通すよう透明なものを選ぶのがポイントだ。

キエーロのつくり方

キエーロのつくり方は、とてもシンプル。用意した容器に黒土を入れて、雨よけの屋根となるフタを取り付けるだけ。

あとは、正しい使い方に則って生ごみを投入していけばよいため、すぐに始めることができる。

キエーロの使い方

キエーロの使い方は以下のとおりだ。

1.生ごみを容器に入れてためておく

調理くずや野菜の皮、芯などの生ごみが発生したら、できるだけ小さく刻んでフタ付き容器にためておく。フタがないと悪臭が漂ったり、コバエがよってきたりするため注意が必要だ。

肉や魚などの傷みやすいものや、気温が高い時期には、ごみをためておかずにすぐにキエーロに埋めてもよい。

2.キエーロに生ごみを埋める

キエーロに深さ20cmほどの穴を掘り、ためておいた生ごみを投入する。多すぎると分解に時間がかかってしまうため、まずは200g程度からスタートするとよいだろう。

生ごみを投入したら、空気を入れるようにザクザクと土と生ごみをよく混ぜ合わせる。このとき、土が乾いていたら少し水分を加える。

3.乾いた土を被せる

生ごみが表面に露出していたり、水分が多すぎたりすると臭いが出て、虫が寄ってくる原因になる。そうならないよう、生ごみの上からフタをするように乾いた土をしっかり被せていく。

4.分解されたら次の生ごみを入れる

分解スピードは生ごみの種類によってに差があるが、夏場なら約5日間、冬場なら約2週間程度。分解が終わったら土に空気を入れるように混ぜ合わせ、穴を掘り、次の生ごみを投入する。これをどんどん繰り返していくのだ。

毎日生ごみを投入する場合は、分解前の生ごみを掘り起こさないように、位置をずらして埋めていく必要がある。次に埋める場所がわかるよう、埋めた場所にスコップなどをさして目印をつけておくとよいだろう。

キエーロの注意点

簡単に使えるキエーロだが、いくつか注意点がある。

生ごみを入れすぎると分解が遅い

水分のない皮(玉ねぎの皮など)や大きな骨、大きな種、貝類などはほとんど分解されずに残ってしまうため、できるだけ入れないようにするとよい。

それ以外にも、肉や魚、食べ残し、麺類、廃食用油などは比較的分解スピードが速く、野菜や果物の皮、根菜類、とうもろこしの芯、 卵の殻などは分解スピードが遅いなど、生ごみの種類によって分解にかかる時間が異なることも意識するといいだろう。

分解が速い生ごみでも入れすぎると時間がかかってしまうこともあるため、基本の量を守ることが大切だ。

設置場所の確保が困難

日当たりがいいベランダのイメージ

Photo by Artur Aleksanian on Unsplash

キエーロは、日陰や風通しの悪い場所だと分解が遅かったり、虫が発生しやすかったりするため、日当りがいいところ、風通しがいいところに設置する必要がある。

住んでいる場所や方角によって、適した場所を見つけることが困難な場合もあるため、あらかじめ設置場所を確保しておくとよい。

使い方を間違えると悪臭や虫が来ることも

虫や臭いで悩むことが少ないことが大きな特徴であるキエーロだが、正しく使わないと、悪臭がしたり虫が来ることもある。

生ごみを入れ過ぎてしまったり、表面に生ごみが露出してしまったりすると、悪臭や虫が来る原因になってしまうので注意しよう。

キエーロで手軽にエコ活動を

ごみを出さないことも大切だが、生活する上でどうしても出てしまうごみもある。キエーロがあれば、出てしまった生ごみを分解し消滅させることができる。キエーロを取り入れて、手軽にエコ活動をしてみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2024年10月28日時点のものです。

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