Photo by chan chai kee on Unsplash
代替卵とは、植物性原料や代替原料を用いて卵の食感・風味などを再現した卵の代用品だ。これまではビーガンの人たちなどが利用していたが、近年は環境や社会問題に配慮し代替卵を選ぶ人も増えている。この記事では、代替卵の特徴やメリットについて言及する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
もうひとつの居場所を見つけた 地域が、わたしが、豊かになる「旅アカデミー」 ローカル副業入門【現地編】
Photo by imad
代替卵(だいたいたまご・だいがえたまご)とは、卵の代用品である。植物性原料の豆乳などを用いて、卵の食感・風味などを再現した食品だ。これまでは、ビーガンや食物アレルギーの人たちが卵の代用品として利用していた。
しかし近年は「エシカル消費」と呼ばれる消費行動に基づき、環境や社会に配慮した製品を選ぶ人が増えてきた。また大手企業も卵などの動物性原材料を使わない、植物由来の食品事業を広げる活動を発表しており、卵の供給不足や価格高騰に悩む食品関連企業が増加していることもあり、代替卵に注目が集まっている。(※1)
Photo by freunde des snacks
ここでは代替卵の主要な種類を紹介し、それぞれの特徴や用途の違いについて解説する。
熊本市にある株式会社DAIZは、大豆由来の代替卵である「ミラクルエッグ」の開発に成功した。植物由来のたんぱく質の分子構造を変化させることにより、卵の動物性たんぱく質に近い物性を再現した。これにより、従来の卵と同じ温度・加熱時間で調理が可能だ。原料には大豆を使用しているが、エンドウ豆や緑豆などでも製造が可能となっている。(※2)
The Every Company社は、微生物発酵技術を活用して卵タンパク質を生み出すことに成功した。これにより、卵を使用せずとも精密発酵で卵白タンパク質を生産することが可能となった。現在は、植物成分を加えて生成した「液状卵」の製造も行っている。(※3)
業務用の加工食品では「きみぷち」という温めても固まらない人工卵が存在する。これはコンビニのパスタや弁当などに用いられることが多く、電子レンジで温めても固まらずとろりとした食感を維持できるのが特徴だ。(※4)
Photo by jakub kapusnak
ここでは、代替卵を使うことで得られる利点についてさまざまな視点から解説する。
卵を使わずに植物由来の原材料によってつくられた代替卵なら、卵アレルギーの人でも食べられる。代替卵の種類によっては卵の代わりとしてケーキなどの調理用にも使えるため、卵を用いたお菓子や料理も再現できる。(※3、※5)
温室効果ガス排出量が多い家畜は牛が有名だが、卵も1kgあたり4.67kg温室効果ガスを排出している。また土地の使用量は1kgあたり6.27㎡、水の消費量は1kgあたり578ℓにのぼり、少なからず環境に負荷をかけているのが現状だ。したがって卵から代替卵へ切り替えることは、温室効果ガス排出量を抑えて環境負荷の低減にも役立つ。(※6)
代替卵を選ぶことは、「動物福祉(アニマルウェルフェア)」の貢献にも一役買う。「動物福祉」とは、人を主体とした主観的な動物愛護ではなく、動物の観点からみた幸福状態を満たすという意味だ。すなわち動物たちの不必要な苦痛を取り除き、動物たちが肉体的・精神的にも健康で幸せな状態を指す。したがって代替卵を選ぶことは、動物福祉にも貢献できるといえるだろう。(※7)
Photo by brooke lark
ここでは代替卵に伴うデメリットや課題について説明し、消費者が理解しておくべきポイントについて紹介する。
代替卵は用途に応じて食感や味もさまざまだ。たとえば「キューピー」では「HOBOTAMA(ほぼたま)」といったスクランブルエッグ風の冷凍商品を開発しており、卵を使わずに卵のようなふわとろ食感をつくり出している。一方、液状卵は卵料理の材料に用いるために液状化した状態となっており、味は卵に寄せてつくられている。(※3、※5)
代替卵は卵よりもコストがかかる。たとえばカゴメ株式会社から販売されている「Ever Egg(エバーエッグ)」は、スーパーで買うと1パック130gで約400円とやや高い。原材料や製造コストがかかるため、高くなる傾向がある。(※8)
代替卵と鶏卵では栄養面でも違いがある。鶏卵の主成分は、タンパク質と脂質だ。タンパク質を構成するアミノ酸のバランスもよく、良質なタンパク質であり、食物繊維やビタミンCを除くビタミンやミネラルも含まれているため栄養価は高い。
一方、代替卵は鶏卵と比べてタンパク質が少なく、エネルギーや脂質はやや高い。鶏卵と比べると栄養価は劣るが、豆乳加工品の代替卵であれば食物繊維を摂取できる。(※9、※10)
Photo by tania melnyczuk
ここでは、代替卵の活用方法について解説し、調理のコツやおすすめレシピについて紹介する。
代替卵を使った料理例として、オムライスが挙げられる。スクランブルエッグ風に加工された代替卵の商品を温めて、ケチャップライスにかけるだけの簡単レシピだ。(※11)
代替卵は原材料が植物性のため、やはり鶏卵と比べて風味や味が薄い。したがって、料理に使用する際は濃いめのソースや味付けと組み合わせるのがおすすめだ。たとえば、代替卵のオムライスにはデミグラスソースをかけてアレンジするなど、代用できる範囲を踏まえて工夫してカバーするといいだろう。(※12)
Photo by daniel tuttle
ここでは代替卵市場の現状や今後の発展について、最新のデータを交えながら説明する。
最近は環境や社会に配慮した製品を選ぶ人が増えてきた。これにともない、大手企業も代替卵市場の拡大を目指した活動を行っている。また、卵の供給不足や価格高騰に悩む食品関連企業が増加傾向にあることも相まって、代替卵を取り入れた商品に注目が集まっている。(※1)
近年は消費者のサステナブル志向や食文化の変化によって、代替卵を選ぶ人が増えている。これにともない、卵を利用する会社などで「エシカル消費」を意識した取り組みが拡大しつつある。卵の消費が減ることは、採卵養鶏場の環境改善、動物福祉への貢献、環境負荷の軽減にもつながるだろう。(※1、※6、※7、※13)
Photo by caroline vass
ここでは、代替卵の購入方法や選び方のポイントを消費者視点で解説する。
代替卵が最寄りのスーパーにない場合は、インターネット検索で「代替卵」と調べると、さまざまな購入サイトがでてくる。そのほか、カゴメ株式会社が2foodsと共同開発した「Ever Egg」のレトルト商品は、オンラインショップや店舗、全国のスーパーで購入が可能だ。(※8)
キューピーが販売している「HOBOTAMA」は、スクランブル状に加工された代替卵だ。「ほぼたまご」のような食感であり、豆乳などの植物性が原材料となっている。冷凍食品で保存がきき、湯煎して袋から出すだけの手軽さもメリットだ。(※5)
カゴメ株式会社が2foodsと共同開発した「Ever Egg」は、スクランブル状に加工されたコレステロールゼロの代替卵だ。常温のレトルト商品のため、袋から出すだけですぐに使える手軽さがメリットだ。また、新たな派生商品として「たまごサラダ」に加工された代替卵も販売している。(※8)
UMAMI UNITED JAPAN株式会社が販売している「UMAMI EGG」は、コレステロールフリーの植物性原料を100%使用した粉末タイプの代替卵だ。豆乳と混ぜ合わせて加熱すれば、スクランブルエッグやオムレツがつくれる。また焼き菓子をつくる際にも卵の代わりとして利用可能で、幅広い料理に使用できる点がメリットだ。(※14)
代替卵は用途や目的に合わせて選ぶといい。たとえばオムライスや卵サンドといったちょっとしたアレンジレシピであれば、スクランブル状に調理・加熱済みですぐに使用できるレトルト・冷凍食品タイプを選ぶのがおすすめだ。
一方、ケーキやクリームブリュレなどをつくる際に原材料のひとつとして用いる場合は、液状化した液状卵や粉末タイプの代替卵の使用が向いているだろう。(※3)(※5)(※14)
Photo by phil hei
代替卵とは、植物性原料やその他代替原料を用いて卵の食感・風味などを再現した卵の代用品だ。これまではビーガンやアレルギーの人たちが利用していたが、近年は環境や社会問題に配慮した行動のひとつとして代替卵を選ぶ人も増えている。卵の消費が減ることは、採卵養鶏場の環境改善や、環境負荷を軽減するのにも一役買う。エシカル消費やサステナブル志向を取り入れ、持続可能な社会への一歩を後押しするための選択肢として取り入れてみては。
※1 最近よく聞く「代替卵」って何?|NHK
※2 DAIZ、代替卵に参入 卵と混ぜて使いやすく|日本経済新聞
※3 米The Every Company、精密発酵で作られた史上初の液状卵EVERY Eggを発表|Foovo
※4 【がっちりマンデー】コンビニ弁当にのっている半熟タマゴはなぜ温めても固まらない?|TBS
※5 まさに「ほぼ卵」キユーピーが作った代替卵「ほぼたま」、ヒントはある京都名物|朝日新聞GLOBE+
※6 グリーンカルチャー、植物性ゆで卵「植物卵(しょくぶつたまご)」プロトタイプの開発に成功|日本経済新聞
※7 動物福祉について|公益社団法人日本動物福祉協会
※8 プラントベースエッグ「Ever Egg」常温タイプを3月26日リニューアル|カゴメ
※9 卵をタンパク質摂取に活用しよう!卵の栄養成分と活用レシピ|森永製菓株式会社
※10 卵を使わぬ「ほぼたま」が誕生!?ほぼそっくりな「スクランブルエッグ」を試食してきた|神戸新聞
※11 たまご不使用 ふわとろオムライス|JA全農たまご株式会社
※12 フードテックは未来の食にどう貢献するのか 井出留美の「食品ロスの処方箋」【36】|朝日新聞デジタル
※13 【採卵鶏の一生】私たちが食べている卵の裏側|NPO法人 動物解放団体リブ
※14 製品 — UMAMI UNITED JAPAN|UMAMI UNITED JAPAN株式会社
ELEMINIST Recommends