【最新2024年】日本の都道府県別漁獲量ランキング

釣りをする家族のシルエット

Photo by Jed Owen on Unsplash

2024年に発表された農林水産省の最新データから、都道府県別の漁獲量をランキング化して紹介する。ランキング上位の都道府県や主な魚種についても説明。漁獲量を左右する要因、日本全体での漁獲量の歴史的な推移と近年の傾向、国際的なルール制定の影響も解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2025.01.16
SOCIETY
編集部オリジナル

豊かな生き方を「学び」、地域で「体験する」 旅アカデミー ローカル副業入門【座学プログラム編】

Promotion

日本の都道府県別の水産物漁獲量ランキング

魚を持つ人物

Photo by Sticker Mule on Unsplash

日本の都道府県別漁獲量(内水面・養殖を含まず)を下記にランキング形式で紹介する。※2024年度発表、2022年分の確定データをもとに作成。データのない県は除外する。(※1)

順位都道府県名生産量主要魚種
1北海道870,286トンほたてがい
2茨城県285,164トンいわし類
3長崎県262,233トンかつお類
4宮城県187,176トンいわし類
5静岡県147,231トンかつお類
6千葉県103,222トンいわし類
7島根県97,843トンいわし類
8鳥取県82,290トンいわし類
9岩手県74,815トンさば類
10宮崎県68,406トンいわし類
11愛媛県65,018トンいわし類
12三重県64,919トンいわし類
13青森県63,514トンいわし類
14福島県57,900トンいわし類
15高知県48,458トンかつお類
16石川県47,401トンいわし類
17兵庫県41,661トンいわし類
18鹿児島県40,621トンまぐろ類
19愛知県37,581トンいわし類
20神奈川県28,824トンかつお類
21東京都28,229トンかつお類
22新潟県26,020トンかつお類
23富山県25,725トンいわし類
24福岡県20,954トンぶり類
25大阪府20,453トンいわし類
26山口県19,757トンいわし類
27大分県18,985トンいわし類
28広島県16,890トンいわし類
29和歌山県14,536トンさば類
30香川県13,354トンいわし類
31熊本県13,070トン
32京都府11,416トン
33沖縄県10,689トン
34徳島県9,663トン
35福井県8,616トン
36佐賀県6,836トン
37秋田県5,527トン
38山形県3,154トン
39岡山県2,555トン

最新ランキングから見る都道府県別の漁獲量傾向

釣りをする男性

Photo by Greysen Johnson on Unsplash

2022年分確定データの最新ランキングから、全国の水産物漁獲量傾向について見ていこう。

北海道が圧倒的首位

都道府県別の漁獲量で不動のトップは北海道だ。日本全体の漁獲量のうち3割近くを占める北海道は、2位茨城県に実に3倍以上の差をつけての圧倒的1位である。大きな割合を占めるホタテ貝のほか、魚類・海藻類の漁獲量も安定して日本国内トップレベルを誇る。

太平洋・日本海沿岸の主要県が上位を占める

漁業の盛んな沿岸部は、太平洋側・日本海側ともに安定した漁獲量である。太平洋側では茨城県・宮城県・静岡県が5位までにランクイン。日本海側でも長崎県が全国3位、7位ではあるが国内上位クラスの水揚げ量を誇る堺港を擁する鳥取県も健闘している。

離島を含む県の堅調な生産量

離島を擁する都道府県も堅調な漁獲量を示した。全国トップクラスの道府県を除いても、離島を擁する東京都・鹿児島県などは手堅く漁獲量を維持している。

主に青魚を水揚げ

鹿児島など一部のエリアを除いて、サバ科やアジ科など青魚が中心に水揚げされている。あじやいわし、さばなど一般の家庭で親しみある魚は各地で穫れている。

サステナブル・シーフードとは? 海を守るために私たちができる選択

関連記事

漁獲量ランキング上位の都道府県の特徴

投網

Photo by Eric BARBEAU on Unsplash

ランキング上位の各道府県について、その特徴や傾向を紹介する。

北海道|1位

漁業域の広さ、漁業従事者数の多さもあって抜きんでてトップの北海道。沿岸部に多くの漁港を有し、太平洋側・日本海側ともに高い漁獲量を誇る。主要魚種はホタテ貝を筆頭に、たら類、さけ・ます類等の漁獲量が多い。また海藻類、とくに昆布の収穫量が多く全国生産量の95%を占めるのも特徴的である。(※1)

茨城県|2位

沖合に親潮(寒流)と黒潮(暖流)の交わる好漁場を持つ茨城県。太平洋に面し長い海岸線を持つため沿岸漁業も盛んである。(※2)漁獲量の多くを占めるのはいわし類で全国トップの漁獲量であり、さば類の漁獲も堅調だ。

長崎県|3位

多くの離島・湾・岬などの特徴的な地理形状を持つ長崎県。(※3)複雑な海岸線や海底地形を有し、広大な海域には対馬暖流をはじめとした多くの海流が流入し好漁場が形成されている。対馬海流(暖流)に乗って回遊するいわし類やあじ類の漁獲量が多く、なかでもあじ類に関しては全国トップの漁獲量を誇る。

宮城県|4位

県中央部に突出した男鹿半島を境に、北は複雑な海岸線を描くリアス式海岸・南は平坦な砂浜に形成された仙台湾を持つ宮城県。(※4)この沖合でも親潮(寒流)と黒潮(暖流)の交わる好漁場を持ち、金華山・三陸沖漁場は世界三大漁場としても有名だ。いわし類を筆頭に、さば類・かつお類・まぐろ類と多様な漁獲傾向を持ち、県内での市場流通機能や水産加工業も発達している。

静岡県|5位

入り組んだ岩礁域の伊豆半島、湾口部では水深2,500mにも達する駿河湾、広大な砂泥域からなる遠州灘と変化に富んだ海岸線を有する静岡県。(※5)沖合には暖流の黒潮が流れその豊かな恵みを受けた好漁場を持つ。そのため暖流に乗って回遊するかつお類およびいわし類が多く、とくにかつお類は全国トップの漁獲量だ。またまぐろ類・さば類の漁獲も好調で、県内の水産加工・ブランド化も盛んである。

世界の漁獲量ランキング 日本の現状と世界の漁業が抱える課題とは

関連記事

漁獲量を左右する主な要因

大量の魚を加工する男性

Photo by NOAA on Unsplash

年度によって多少変動はあるものの、都道府県ごとの漁獲量およびその魚種傾向には大きな差異が存在している。その違いはいかにして発生するのか、主な要因について解説する。

海域特性と主要魚種の分布

地理的環境でいうと、当然ながら海面を多く保有する都道府県は漁獲量において有利だ。それには海岸線延長の長さ、および離島などの存在による漁業海域の広さが漁獲量に深く関係してくる。(※6)

また日本列島自体は南北に長く多様な環境を有し、日本の海域全体においての生物多様性は非常に高いとされる。(※7)そのため地域によって回遊・分布する魚種も多様であり、さらに海岸線や海流の特徴からも都道府県によって漁獲量・主要な魚種が大きく異なる一因と考えられる。

漁業従事者数の地域差

漁業従事者数の地域差対象地域でどれだけ漁業が盛んであるか、その指標のひとつが漁業就業者の数だ。最新の確定データ(2018年)によると都道府県別 漁業就業者数トップ3は、1位:北海道(24,378人)、2位:長崎県(11,762人)、3位:青森県(8,395人)と、いずれも漁獲量ランキングの上位層である。(※8)とくに北海道は長崎県の2倍以上と多くの人が漁業に従事しており、まさに漁獲量の多さに比例しているといえよう。

漁港施設と設備の充実度

漁港など、水産業関連施設も指標のひとつだ。水産庁の都道府県別漁港数によれば北海道の漁港件数がトップであり、大規模な漁港の多い都府県は漁獲量ランキングでも上位層に入る。(※9)また魚港であがった水産物の流通・加工経路の整備も重要だ。陸揚げされた魚は品質を落とさないよう、なるべく早い段階で産地市場、あるいは水産加工業者などへ運ばれる必要がある。水産物の流通においては決め細かな選別・仕分けや、常に冷凍・冷蔵により鮮度を保持する必要があることから流通コストが大きい。そのため流通経路がスムーズに進むよう整備されている地域では漁業に活気があり、水産物を主要な産業品として活かすことができている。

日本発の水産エコラベル「MEL認証」とは? 取得条件とメリット、事例を解説

関連記事

日本全体の漁獲量の特徴と傾向

夕日と湖と小舟

Photo by Steinar Engeland on Unsplash

第二次世界大戦後、日本の漁業は沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと漁場を拡大することによって発展した。(※10)1965年(昭和40年)からの記録によればその漁獲量は増え続け、1984年のピーク時には1,151万トン(内水面・養殖を含まず)の漁獲量を記録している。このとき世界の漁獲量に占める日本の割合は約16%と非常に高いものであった。(※11)

しかし平成に入り1989年からは減少に転じ、約7年間で急激に減少したのち、緩やかな減少を続けながら現在に至る。2023年のデータでは日本全国の漁獲量は約282万トンで、前年比4.3%の減少である。(※12)

減少に転じたきっかけのひとつは、国際的な漁業管理の強化である。先んじて1977年に200海里水域の設定で遠洋漁業の割合が低下、さらに公海上での大規模な漁業の停止が次々と制定され、漁獲量は減少していった。国際的なルール設定は水産資源保護の目的があり、近年においては各国協調のもと過剰な漁業を制限する動きが広がり日本もそれに賛同している。一方「養殖業」においては技術の普及・発展により近年は生産量が安定し、生産額も堅調だ。(※10)

違法行為がはびこる「IUU漁業」の問題点 世界の海洋資源を守るための対策とは

関連記事

魚種別の漁獲量と傾向

大きなリール

Photo by Matthew McBrayer on Unsplash

各魚種別の漁獲量(2022年)からみられる傾向についても解説する。(※1)

まぐろ類

まぐろ類の漁獲量トップ3は宮城県・静岡県・高知県だ。とくに宮城県と静岡県でのまぐろ類漁獲量は僅差でありトップ争いの関係でもある。いずれも太平洋側に面して遠洋漁業が盛んであり、暖流性のまぐろが捕獲しやすい地域といえるだろう。またまぐろ類の総数では上位に劣るものの、クロマグロ(本マグロ)の漁獲量トップは長崎県であることも先の条件に当てはまり、興味深い結果といえる。

かじき類

かじき類は全魚種の漁獲量に対して割合は大きくはないが、堅調な漁獲量を示している。都道府県別では宮城県が抜きんでた漁獲量で、全国の26%以上を占める。その大半はメカジキであり、一般的な食用魚として普及している。

かつお類

かつお類の漁獲量トップ3は静岡県・宮城県・東京都だ。「かつおといえば高知」のイメージを持つ方には意外な結果かもしれない。ただし高知県のかつお類漁獲量は東京都に次いで4位であり、消費量においては高知県が1位である。かつお類もまぐろ類と同じく暖流性の魚で、太平洋側へ回遊する性質を持つため日本海側での漁獲量は少ない。

さけ・ます類

日本のさけ・ます類の漁獲量のうち、約98%が北海道産である。その他はわずかに東北・北陸で見られるのみで圧倒的に北海道の特産品といえよう。さけ・ます類は生物的性質として、川で産まれた後は北の海に向かいベーリング海やアラスカ湾で成長する。(※13)これを3〜5年程度繰り返した後南下しようとするが、そこまで成長できるものはわずか数%だ。その大半は南下の途中、日本においては北海道の定置漁業によって水揚げされる。

いわし類

いわし類は、全国的に主要魚種とする府県が多い。暖流性の小型魚であり、太平洋側では黒潮・日本海側では対馬海流に乗って暖かい時期に回遊し海岸に接近する。そのため近海漁業を行う地域での漁獲量が多い傾向にある。

さば類

さば類の漁獲量トップ3は長崎県・茨城県・宮城県だ。日本全域に広く分布し、海面の表層近くを大群となって回遊する。食卓でもお馴染みの魚だが鮮度が落ちるのが早いため、手早い流通・加工技術が求められる。

MSC認証とMSC「海のエコラベル」とは 基準と仕組みを詳しく解説

関連記事

漁獲量ランキングから見える都道府県の特色

魚

Photo by Jakub Kapusnak on Unsplash

魚が身近である日本での漁獲量を、都道府県ごとにランキングとして紹介した。漁獲量の多い地域や、都道府県によって特定の魚種の割合が異なるなど、同じ日本国内でも海に対する地理的形状や漁業に関する設備の違いや地域環境の多様性もある。産地ブランドや地域のイメージ等で意外に思われる結果もあるかもしれない。しかしそれも興味深いところであり、水産資源や各都道府県の特徴に興味を持つきっかけになれば幸いだ。

※掲載している情報は、2025年1月16日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends