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世界中で食べられている水産物。世界全体では漁獲量が増え続けているが、いくつか課題もある。この記事では世界の漁獲量ランキングを紹介し、ランキング上位国の特徴と背景、日本の現状を解説する。また、世界の漁業生産量の推移と抱える課題についても言及する。
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ここでは、世界の水産物漁獲量・生産量の国別ランキング上位50位を紹介する。1位は中国、2位はインドネシア、3位はインドという結果であった。上位4位まではアジア圏が占める結果となっている。(※1)日本は12位だ。
順位 | 国名 | 漁獲量・生産量(トン) |
---|---|---|
1 | 中国 | 88,567,716 |
2 | インドネシア | 22,032,425 |
3 | インド | 15,774,325 |
4 | ベトナム | 8,760,378 |
5 | ペルー | 5,509,031 |
6 | ロシア | 5,339,717 |
7 | バングラデシュ | 4,758,731 |
8 | アメリカ | 4,741,660 |
9 | ノルウェー | 4,262,103 |
10 | チリ | 4,214,240 |
11 | フィリピン | 4,120,499 |
12 | 日本 | 3,910,316 |
13 | 韓国 | 3,567,078 |
14 | ミャンマー | 3,061,808 |
15 | タイ | 2,386,672 |
16 | エジプト | 1,992,627 |
17 | メキシコ | 1,972,994 |
18 | マレーシア | 1,892,541 |
19 | エクアドル | 1,811,374 |
20 | モロッコ | 1,592,954 |
21 | ブラジル | 1,497,393 |
22 | アイスランド | 1,486,086 |
23 | イラン | 1,292,176 |
24 | スペイン | 1,085,165 |
25 | ナイジェリア | 1,043,230 |
26 | 北朝鮮 | 895,020 |
27 | 台湾 | 878,847 |
28 | カナダ | 870,640 |
29 | カンボジア | 864,050 |
30 | アルゼンチン | 853,775 |
31 | トルコ | 849,826 |
32 | イギリス | 820,500 |
33 | モーリタニア | 780,383 |
34 | オマーン | 751,824 |
35 | フランス | 735,366 |
36 | フェロー諸島 | 714,655 |
37 | パキスタン | 665,520 |
38 | ガーナ | 652,309 |
39 | タンザニア | 548,789 |
40 | ウガンダ | 546,312 |
41 | セネガル | 535,356 |
42 | デンマーク | 496,114 |
43 | 南アフリカ | 484,806 |
44 | アンゴラ | 471,672 |
45 | モザンピーク | 461,914 |
46 | ニュージーランド | 452,470 |
47 | ナミビア | 416,009 |
48 | スリランカ | 391,703 |
49 | オランダ | 338,052 |
50 | ギニア | 336,050 |
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最新ランキングから見る世界の漁獲量の傾向について説明する。
中国の漁獲量は88,567,716トンであった。2位のインドネシアの漁獲量は22,032,425トンであったため、中国が圧倒的であることがわかる。(※1、※2)
ランキング1位は中国、2位はインドネシア、3位はインド、4位はベトナムで、アジア勢が上位を占めている。これらの国は漁業がさかんな国であり、アジアの上位国で世界の総漁業生産量のほとんどを占める。(※1、※3)
ランキング5位にはペルー、10位にはチリが入っている。ペルーでは、天然漁業(海面漁船漁業)による生産量が多く、チリはサーモンの養殖で有名だ。(※1、※4、※5)
北欧のノルウェーはランキング9位。ノルウェーはサーモンの養殖がさかんである。サーモンの養殖生産量は世界全体の45%を占め、1位となっている。(※6)
ロシアの漁獲量は2017年以降は500万トン以上となっており、上位をキープしている。(※7)
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ランキング上位国には、どのような漁業の特徴があるのか、またランキング上位となった背景について解説する。
中国は漁獲量1位の座を長年占め続けている。なかでも養殖の収穫量が増加傾向にあり、2020年の養殖収穫量は7,048万tで、世界全体の半分以上を占めている。(※2)
中国が漁獲量1位の理由は、養殖の収穫量増加だけではない。FAOの統計によると、中国で漁獲される魚種の生産量の4割を占めるのが「その他の水産物」だ。これは、世界的に一般的ではない水産物を指す。また「種類が特定されていない海産魚類」の生産量も2割を占めており、なにを漁獲しているのかわからない、正確な生産実態が不明な状況がある。(※4)
インドネシアでも近年は養殖業が伸びており、漁業生産量の半分以上を占めている。また、漁船漁業も増加傾向にある。海面漁船漁業で生産量が増加している魚種にはカツオやマグロがあり、日本よりも生産量が多く世界最大の規模となっている。(※4)
インドでも養殖業の生産量が増加しており、それに加えて内水面漁業も増加傾向にある。内水面養殖においては世界第2位を誇り、養殖では鯉、ナマズ、雷魚、エビなどが生産されている。(※8)
ベトナムは南シナ海に面する場所に位置し、多くの河川があることから漁業や養殖に有利な環境であるのが強みだ。とくにエビの養殖がさかんであり、水産物輸出の約7割を占めている。(※9、※10)
ペルーの漁獲量は、年によって大きく変動する。その理由は、漁業生産のほとんどをペルーカタクチイワシに依存している構造にある。また、ペルーの沖合はエルニーニョ現象が起きやすい環境である。エルニーニョ現象は、ペルーカタクチイワシの漁獲量にも影響を与える。(※4)
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日本の漁獲量はランキング12位という結果であった。このランキングをもとに日本の現状を紹介しよう。
日本は四方を海に囲まれ、漁場にも恵まれている。1984年には1,282万トンの漁獲・生産量があり、世界第1位で「水産大国」「漁業大国」と呼ばれるほどであった。しかし2022年の漁獲量・生産量は3,910,316トンで、ランキングでは12位に転落。日本では漁業・養殖業生産量が年々減少している。(※1、※11)
漁獲・生産量のランキングでは上位に入れなかったものの、日本の水産物は、品質では世界をリードしている。これは、水産物の鮮度を保つ高度な冷凍技術の発展によるものだと考えられる。(※12)
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世界の漁業・養殖業生産量は増加し続けている。漁業の漁獲量は1980年代後半以降はほぼ横ばい状態であるが、養殖業の収穫量は増加しているのが現状だ。(※2)
漁業の漁獲量が横ばいである理由には、乱獲による水産資源への影響、地球温暖化による海水温の上昇で生態系が変化しているなどが考えられる。また違法・無報告・無規制に行われている「IUU漁業」が世界中で問題となっている。このIUU漁業は、日本においても起きている。(※13)
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持続可能な漁業を推進するため、国際社会ではさまざまな取り組みを進めている。なかでも代表的なのは、FAOの「責任ある漁業行動規範」だ。これにより、資源の持続的利用を促進している。またIUU漁業の防止・抑制・廃絶を目指した国際取り決めである「PSMA」の実施や、地域漁業管理機関では国際的に協力して資源管理を行っている。(※14、※15、※16)
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漁業の課題や問題が解決しなければ、今後は漁獲量が減るどころか、最悪の場合には海で獲れた魚介類が食べられなくなる日が来るかもしれない。こうした課題を解決するには、国際的な協力と、個人の責任ある消費行動、気候変動対策が重要となるだろう。
※1 世界の水産物の漁獲量・生産量 国別ランキング・推移|GLOBAL NOTE
※2 (1)世界の漁業・養殖業生産|水産庁
※3 1046. 2024年 世界漁業・養殖業白書|国際農研
※4 第3節 諸外国における漁業の現状と我が国漁業|水産庁
※5 2チリ|農林水産省
※6 【みなと新聞】サケ年産400万トンでも供給不足 佐野鹿大教授が説明 コロナ禍で世界需要増大|みなと新聞
※7 ロシア(Russian Federation) > 水産物の漁獲量・生産量|GLOBAL NOTE
※8 水産業|ジェトロ
※9 ベトナム水産業の概要|岡山県
※10 ベトナム水産業の発展メカニズム|国会図書館デジタルコレクション
※11 我が国水産業の現状と課題|内閣府
※12 日本の水産物が海外バイヤーから注目を浴びる理由【FOODEX JAPAN 2024レポート】|Newsweek
※13 個別調査分析3 海洋|内閣府
※14 62. 食糧農業機関(FAO) 2020年 世界漁業・養殖業白書|国際農研
※15 確かな管理、豊かな資源|WWFジャパン
※16 地域漁業管理機関における資源管理コンセプトの進展・現状・課題|国際漁業学会
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