乗り物のCO2排出量を比較 環境にやさしい乗り物の選び方とは

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乗り物によるCO2排出は世界で問題となっている。この記事では、乗り物別のCO2排出量を比較。環境にやさしい乗り物の選び方や、各乗り物のCO2排出量削減に向けた取り組みも解説する。

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2024.12.24

乗り物によるCO2排出量が問題に

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自動車、電車、飛行機、船など現代にはさまざまな乗り物があるが、多くの乗り物は、ガソリンや軽油、重油といった化石燃料をエネルギー源としている。化石燃料を燃焼させてエネルギーを得る際に化学反応が起き、CO2が排出される。

電車や電気自動車は走行中のCO2排出量はゼロだが、電力の発電源が化石燃料に依存しているため、その燃焼過程でCO2が排出される。(※1、※2)

乗り物によるCO2排出量が注目される背景とは

地球温暖化が深刻化するなか、乗り物によるCO2排出量が注目されている。CO2を排出する分野には大きく分けて、産業、運輸、家庭、業務その他があるが、日本において産業の次にCO2を多く排出しているのが運輸部門だ。

乗り物別のCO2排出量を記すと、自家用乗用車で8609万トン、営業用貨物車で4142万トン、自家用貨物車で3150万トン、バスで333万トン、タクシーで140万トン、二輪車で78万トン、航空で970万トン、内航海運で1021万トン、鉄道で738万トンとなっている。運輸部門全体で1億9180万トンものCO2排出量があり、日本におけるCO2総排出量の18.5%を占める。排出量のデータからもわかるとおり、とくに自動車の影響が大きい。(※3)

化石燃料を燃やすことで発生するCO2は温室効果ガスの主因であり、大気中の濃度増加が気候変動を加速させている。よって、乗り物によるCO2排出量の削減対策が急務とされている。

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乗り物別のCO2排出量比較

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ここでは、1人の人間を1キロメートル運ぶのに排出されるCO2排出量を乗り物別に比較する。

自家用車

ガソリン車

自家用車のガソリン車は、128グラム CO2/人 キロメートル排出する。鉄道にくらべると自家用乗用車は二酸化炭素を7.6倍も出している。(※4)

ハイブリッド車

自家用車のハイブリッド車は、61グラム CO2/人 キロメートル排出する。ガソリン車にくらべると半分程度の排出量となる。(※5)

電車

通勤電車

通勤電車は、20グラム CO₂/人 キロメートル排出する。ほかの乗り物にくらべて CO2排出量はもっとも少ない。(※4)

新幹線

新幹線は具体的な数値は出ていないが、鉄道の20グラム CO2/人 キロメートルと同等と考えられる。(※4)

飛行機

飛行機は、101グラム CO2/人 キロメートル排出する。自家用車よりも排出量は少し少ない。(※4)

バス

バスは、71グラム CO2/人 キロメートル排出する。意外にも、自家用車よりもバスのほうが排出量は少ない。(※4)

自転車

自転車はもちろん0グラム CO2/人 キロメートルで、CO2は排出されない。とてもエコな乗り物である。(※4)

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環境にやさしい乗り物の選び方

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環境にやさしい乗り物を選ぶときのポイントを紹介する。

移動距離と交通手段の選択

移動距離によって、交通手段を変えるのもポイントのひとつ。たとえば短距離なら、自転車や徒歩、公共交通機関を活用する。長距離なら、なるべく環境負荷が低い新幹線・鉄道、高速バスを選ぶとよいだろう。(※7、※8)

電気自動車の導入

自動車を乗り換えるときには、電気自動車(EV車)またはハイブリッド車を選択するのがおすすめだ。電気自動車は走行中のCO2排出量はゼロ、ハイブリッド車のCO2排出量は61グラム CO2/人 キロメートルである。できればバッテリーの充電に太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気を使えば、さらに CO2排出量を減らすことができる。(※5、※9)

カープールやシェアリングの利用

個人の車の所有を減らし、車の利用効率を高めることも有効だ。その手段には、1台の車を複数人で利用する「シェアリング」や、同じ地域から同じ目的地へ向かう複数の者が同乗する「カープール」がある。これにより、自家用車1人あたりのCO2排出量を減らすことが可能だ。(※10)

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各乗り物のCO2排出量削減に向けた取り組み

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それぞれの乗り物業界ではCO2排出量削減に向け、さまざまな取組をおこなっている。ここでは新しい技術開発、新しい商品開発、エネルギー利用の工夫、電力の供給の工夫などを紹介する。

自動車業界の取り組み

自動車業界では、CO2削減を目指す取り組みが活発化している。ガソリン車に代わる、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の開発・普及が進められ、化石燃料への依存を減らす努力をしている。また、水素などを燃料にした燃料電池車(FCV)の導入も注目されている。(※11)

そのほか車両の軽量化や空気抵抗の低減、駆動系の改良、エンジン性能の向上などによって燃費を改善させ、燃料使用量を減らすことも取り組みの一環である。

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航空業界の対策

航空業界のCO2削減のための取り組みのひとつに、SAF(持続可能な航空燃料)の開発・利用がある。このSAFを使えば、従来のジェット燃料とくらべ、約6~8割のCO2削減効果がある。また運行方式の改善、電動ハイブリッド推進航空機、水素燃焼技術の導入なども進められている。(※12)

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鉄道業界の省エネ技術

鉄道業界はもともとほかの乗り物にくらべてCO2排出量が少ないが、さらなる削減を目指している。取り組みには車両の軽量化・LED化に加え、VVVFインバータや回生ブレーキといった省エネ機器の車両への導入がある。またディーゼル発電機と蓄電池の電力により走行するハイブリッド方式の車両(ディーゼルハイブリッド車両)や、電化区間で蓄電した電力によって非電化区間を走行する車両(蓄電池電車)の開発も進められている。(※13)

バス業界の取り組み

バス業界では、ハイブリッドバスや燃料電池バス、電気バスといった電動車の導入を推進し、CO2排出量の軽減を図っている。また一度に多くの人を運ぶことができるバスは、CO2排出量が少ない交通手段であることをアピールし、一般の方への利用促進をおこなっている。(※14)

私たちが日常でできるCO2排出量削減の工夫

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私たちにも、日常でできる乗り物によるCO2排出量削減の工夫がある。できることからチャレンジしよう。

外出時の交通手段の選択

まずは、外出時の交通手段を見直してみよう。マイカーで通勤している場合には、交通公共機関で移動できないかを検討してみたい。また目的地が近い場合には、車を使わず自転車や徒歩、バスで移動するなど、なるべく車を使わない交通手段を選択しよう。(※15)

オフピークの利用

マイカーで通勤している場合には、ピーク時を避けた通勤「オフピーク通勤」をおこなうことで通勤時間を短縮でき、渋滞も避けられてCO2排出量削減につながる。(※16)

自動車の運転習慣の改善

自動車の運転習慣によっても、CO2排出量を削減できる。燃費がよくなれば、CO2排出量の低減につながるためだ。燃費をよくするためには、車間距離にゆとりをもち、加速・減速の少ない一定の速度で走ることが重要だ。また減速時は早めにアクセルを離す、無駄なアイドリングはしないなどを心がけるとよい。(※16)

CO2排出量削減がもたらす環境への影響

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CO2排出量削減は地球温暖化の進行を抑制することにつながる。そうすれば、気候変動による災害のリスクも軽減できる。また化石燃料の使用削減は大気汚染の改善につながり、人々の健康にもよい影響をもたらす。これらにより、地球規模での持続可能な社会構築に貢献できる。

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地球環境にやさしい乗り物を選ぼう

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乗り物は便利なものであるが、CO2排出量が多いのが難点だ。なるべく公共交通機関を利用し、車を使う場合にはエコドライブを心がけよう。そうすれば、CO2の排出量を減らすことにつながる。

※掲載している情報は、2024年12月24日時点のものです。

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