Photo by Força Foods
カリフォルニアを拠点とするスタートアップForça Foodsが、スイカの種を使ったプラントベースミルクを製造。従来の代替乳製品は、製造の際に大量の水を使う必要があることが指摘されているが、スイカの種を使ったミルクでは水の使用量を大幅に抑えることが可能だという。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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Photo by Força Foods
アーモンドミルクやオーツミルク、ライスミルクなど、牛乳に代わるさまざまな植物性ミルク(プラントベースミルク)がつくられるようになって久しい。これらは牛乳よりも、使用する土地面積や二酸化炭素排出量、水の使用量などが少なく、環境への負荷が少ないとされている。
一方で、植物性ミルクに対する製造にかかる水の使用量についての批判が少なくない。たとえばアーモンドミルクを1Lつくるためには、371.5L、ライスミルクには270Lの水が必要とされている。これは、牛乳1Lをつくるのに628Lの水が必要であるのに比べれば大幅に少ないが、それでも代替ミルクに対する風当たりは強まっている。
そんななか、カリフォルニアのスタートアップForça Foodsは、スイカの種からつくった代替ミルクを開発。栽培に必要な水の量が、アーモンドよりも99%、オーツ麦よりも72%、大豆よりも53%少なくて済むという。
Photo by Força Foods
Força Foodsを立ち上げたのは、カリフォルニア大学デービス校で植物科学を学んだブラジル人研究者のギリェルメ・マイア・シルヴァ氏。有機農業と持続可能な農業についての知識を深めた彼は、2021年に同社を設立した。「スイカの種は栄養価が高く、アーモンドよりもタンパク質が多く、抗酸化物質が豊富なだけでなく、アーモンドよりも栽培に必要な水の量が99%少ないことを発見しました」と語る。
Força Foodsの主力商品である「MILKish」は、オリジナル・フレーバーとバニラ・フレーバーの2種類があり、スイカの種とMCTオイル、ヒマワリ・レシチン、エンドウ豆プロテイン、セルロース・ゲル、天然香料を組み合わせている。
砂糖・炭水化物は含まれておらず、低脂肪乳よりカロリーが42%低く、カルシウム、カリウム、ビタミンA、D、Eが強化されている(ただし、MCTオイルを使用しているため、飽和脂肪分は1%牛乳より高い)。
「MILKish」はそのまま飲んでもおいしく、コーヒーはもちろん、シリアルやスムージー、お菓子づくりなどにも適しているという。
「水不足は世界の食糧供給を制限する最大の要因のひとつであり、農業は世界の淡水使用量の70%以上に直接寄与しています。より低いフットプリントの代替品を消費することは、より持続可能な生活を送るための簡単でおいしい方法です」とシルヴァ氏。
こうした現状を受けて、昨今ではピスタチオミルクやポテトミルク、そばミルクなど、アーモンド、大豆、オーツ麦、ココナッツ以外のより環境負荷の少ない植物性ベースミルクを開発する企業も増えている。さまざまな商品が消費者にオルタナティブな選択肢を与えることで、より高い栄養価、より低い糖分、そして現状よりも優れた持続可能性を叶える代替品がさらに増えていくことが期待される。
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