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この記事では、日本でこれまでに起こった地震を規模の大きさでランキングしている。またこれらの地震は、特定のエリアに集中して起こる傾向がある。そこで地震が起こりやすい都道府県についても紹介し、なぜ地震が起こりやすいのか、そのメカニズムについて解説する。
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地震の強さは「マグニチュード」と「震度」のふたつの単位によって表される。(※1)
地震の規模を示す「マグニチュード(Mw)」は、地震によって発生したエネルギーの大きさを数値化したものである。地震学者チャールズ・リヒターが考案したリヒタースケールに基づいた単位だ。一般的にマグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍になるといわれている。たとえば、Mw6.0の地震はMw5.0の地震の約32倍のエネルギーを持つ。Mw8.0以上の地震は「巨大地震」と呼ばれ、大規模な被害を引き起こすことが多い。
地震の揺れの強さを示す「震度」は、地震を感じる場所での揺れの大きさを数値化したものである。震度は日本で独自に用いられている指標で、震度0から震度7まで分類されている。また同じ地震でも地域によって震度は異なるため、ひとつの地震で複数の震度が記録される。震度6強以上になると建物の倒壊や地割れなど、甚大な被害が発生することが多い。
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これまで日本で起こった地震のなかでも、とくに規模が大きかったものの上位10を紹介する。(※2)
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、モーメントマグニチュード(Mw)9.0という規模で、日本の観測史上最大の地震だ。この地震は東北地方を中心に大規模な津波を引き起こし、津波の高さは10メートルを超えた地域もあった。死者・行方不明者は約18,000人にのぼり、広範囲で甚大な被害が発生した。(※3)
1952年3月4日に北海道の十勝沖で発生した十勝沖地震は、Mw 8.2という非常に大きな規模であった。この地震によって北海道東部を中心に強い揺れが観測され、震度5の揺れが広範囲に広がった。また地震に伴い津波も発生し、津波によって運ばれた流氷による衝突のため災害が一層大きくなった。(※4)
1994年10月4日に発生した北海道東方沖地震はMw 8.1という規模で、北海道東部を中心に強い揺れが広がった。最大震度は6弱を観測し、津波も発生した。この地震はプレート境界で発生する海溝型地震で、沿岸部では津波による浸水が発生したが、早期の津波警報が行われたため人的被害は最小限に抑えられた。(※5)
1933年3月3日に発生した三陸地震は、三陸沖を震源とする海溝型地震であった。日本列島の東側にある日本海溝に沿った太平洋プレートと陸側のプレートが相互に引きずり合い、太平洋プレートが沈み込む際に発生したと考えられている。地震による直接の被害はほとんどなかったものの、最大25メートルにも達する津波が三陸沿岸部を襲い、壊滅的な被害を引き起こした。(※6)
1891年10月28日に発生した濃尾地震は、日本国内で記録されたなかでも最大級の直下型地震である。震源地は岐阜県の根尾谷断層で、周辺の活断層がずれ動いたことによって発生した。震源地周辺では家屋の倒壊や火災が多発し、愛知県や岐阜県を中心に広範囲にわたって被害が拡大した。また濃尾平野では地割れや地盤の隆起、液状化現象なども確認され、地形にも大きな変動をもたらした。(※7)
1946年12月21日に南海道沖で発生した南海地震は、南海トラフで発生した巨大な海溝型地震である。この地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む際に引き起こされ、紀伊半島から四国にかけての広い範囲に被害をもたらした。また地震後に発生した津波の高さは、場所によっては6メートル以上に達し、多くの沿岸部が水没した。地震による死者数は約1,330人、建物被害は約36,000棟以上に及んだ。(※8)
2003年9月26日に発生した十勝沖地震は、北海道東方沖を震源とする海溝型地震である。太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込む場所で発生し、マグニチュードは8.0に達し、建物の倒壊や停電、火災が発生した。また地震によって生じた津波も沿岸部に被害をもたらし、最大4メートルの津波が確認された。数百人が負傷し、インフラの被害も甚大だった。(※9)
1923年9月1日に発生した関東大震災は、日本の近代史においてもっとも破壊的な地震災害である。震源は相模湾で、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込む過程で引き起こされた。東京都心部では火災が発生し、地震後の数日間にわたって大規模な火災が広がった。火災による死者数が多く、死者・行方不明者の総数は約10万5,000人とされ、約37万棟の家屋が全焼または倒壊した。(※10)
1944年12月7日に発生した東南海地震は、東海道沖を震源とする海溝型地震だ。太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込む際に発生し、東海地方や紀伊半島で甚大な被害が出た。地震による震度6の揺れが広範囲に観測され、多くの家屋が倒壊した。死者は1,200人を超え、約4万棟の建物が損壊している。(※11)
1968年5月16日に発生した十勝沖地震は、青森県東方沖を震源とする海溝型地震で、マグニチュード7.9を記録した。震度6の揺れが広範囲で観測され、青森県や北海道の沿岸部では津波による被害も発生した。津波の高さは最大で6メートルに達し、沿岸の漁村や港湾施設が壊滅的な被害を受けた。(※12)
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日本は地震が頻繁に発生する国として知られており、特定の地域によってはさらに地震の発生件数が高い。以下は、過去50年間における都道府県別の地震発生件数と震度5強以上の地震件数のデータである。(※13)
順位 | 都道府県名 | 全地震発生件数 | 震度5強以上件数 |
---|---|---|---|
1 | 東京都 | 24295 | 19 |
2 | 福島 | 11192 | 5 |
3 | 茨城 | 11133 | 5 |
4 | 宮城 | 10387 | 17 |
5 | 北海道 | 9929 | 15 |
このランキングは、1974年1月から2024年10月時点での計測をもとにしている。ここからわかる通り、日本で地震が多い都道府県には一定の偏りがあり、東京がずば抜けて多い。ただし、伊豆諸島や小笠原諸島の噴火活動にともなう地震も含まれている。また東日本が目立つが、西では熊本県が多く6位にランクインする。
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地震大国日本では、今後も大きな地震のリスクが懸念されている。ここでは、起こることで大規模な被害が予測されるものを紹介する。(※14)
南海トラフ地震は、日本の太平洋沿岸、東海地方から九州地方にかけて発生する巨大な海溝型地震である。地震の規模はMw8.0から9.0クラスと予測され、過去においても100~150年周期で繰り返し発生している。日本政府の地震調査研究推進本部によると、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70%とされている。
首都直下地震は、東京を中心とする関東地域で発生する直下型地震のことを指す。フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込む過程で発生する可能性があり、過去にも関東大震災(1923年)が起きている。今後30年以内にマグニチュード7クラスの首都直下地震が発生する確率は70%とされている。
日本海溝および千島海溝沿いでは、プレートの沈み込みによって海溝型の巨大地震が発生することが予想されている。東北地方太平洋沖地震(2011年)の後も、この地域ではさらに大規模な地震が発生する可能性が指摘されている。今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が発生する確率は60%とされている。
先にも触れた通り、東京をはじめとして特定の場所で地震は起こりやすい。ここでは、地震が発生しやすい地域の特徴について解説する。
日本の地震の多くは、プレート境界付近で発生している。日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートといった複数のプレートが交差する位置にあり、これらのプレートが互いにぶつかったり、沈み込むことで大きな地震が引き起こされる。東日本大震災が発生した三陸沖は、太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込むプレート境界であり、太平洋側で影響を受ける可能性が高い。(※15)
南海トラフや日本海溝などの、海底の溝やトラフに近い地域も地震が発生しやすい。これらの地域ではプレートが沈み込む際に巨大な力が生じ、大規模な海溝型地震を引き起こす。愛知県や高知県など、海溝に近い県は津波を伴う大地震のリスクが高い。(※16)
地表近くに活断層が存在する地域では、プレート境界から離れていても地震が頻繁に発生する。活断層が動くことで強い揺れが引き起こされ、局地的に甚大な被害をもたらすことがある。新潟県や兵庫県などは、活断層に起因する地震が発生しやすい地域である。(※17)
火山が活発な地域では、地震が発生しやすい。火山活動は地下のマグマの移動や圧力変動によって誘発されるため、周辺で火山性地震が多発する。鹿児島県や長野県など火山が集中している都道府県では、火山噴火に伴う地震活動が見られることがある。(※18)
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地震の多い都道府県では、それぞれ個別の地震対策に取り組んでいる。多岐にわたるが、ここでは一部を紹介する。
静岡県は、南海トラフ地震の被害を最小限に抑えるために「地震・津波対策アクションプログラム2023」を策定している。このプログラムでは、津波防潮堤の整備や避難経路の確保、避難訓練の実施に力を入れている。また津波から住民を迅速に避難させるための早期警報システムの強化が進められており、自治体や学校などでの防災訓練が定期的に行われている。(※19)
関西地域では、南海トラフ地震を想定した応急対応マニュアルが作成されている。このマニュアルは、地震発生直後から1週間にかけての応急対応をタイムライン形式で整理しており、自治体や企業が円滑に災害対応を進めるための指針となっている。地域全体で広域応援体制を整え、地震発生後に迅速な復旧が行えるように備えている。(※20)
東京都は、地震発生時に多くの人々が帰宅困難となる事態に備え「帰宅困難者対策」を進めている。大規模な地震が発生した場合、公共交通機関が停止し、多くの人々が移動手段を失うことが予測される。このため都内では、帰宅困難者を一斉に帰宅させないようにするための待機指示や、企業や商業施設での備蓄品の設置、避難スペースの確保などが行われている。(※21)
日本海溝や千島海溝沿いで大地震が発生した場合、その後にさらに大規模な後発地震が起きる可能性がある。この「後発地震」に対して、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発信し、住民に注意を呼びかけている。この注意情報は、地震発生から約1週間程度の間、再度の大地震に備えるための指針として役立つものであり、とくに沿岸地域では避難経路の確認が推奨されている。(※22)
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地震大国である日本では、政府や自治体もさまざまな取り組みで対策を行なっているが、私たち一人ひとり身を守る術を身につけておきたい。ここでは、各家庭や個人でできる地震への対策を紹介する。
地震発生時には、食料や飲料水、医薬品などの緊急用品を備蓄しておくことが大切である。最低でも3日分、できれば1週間分の物資を用意しておくと安心だ。なかでも水は1日あたり1人につき3リットル程度が必要とされているため、家族全員分を確保しておくといいだろう。
地震で揺れが大きい場合、家具や家電が倒れてくる危険がある。そのため、家具を壁に固定することが推奨される。また寝室などには家具を置かず、転倒や落下の危険性が低い場所を選ぶことが重要だ。万が一のために、頭を守れるようなクッションやヘルメットを備えておくことも効果的である。
地震発生時に家族と離れている場合、どこに避難するのか、どのように連絡を取るのかを事前に話し合っておくことが重要だ。避難所の場所や避難経路を確認し、家族全員が理解しているか確認することが必要だ。また避難訓練に参加することで、いざという時の行動がスムーズにできるようになる。
建物の耐震性を確認し、必要に応じて補強することが地震対策の基本だ。また古い建物は耐震基準が緩かった時代に建てられていることが多く、倒壊のリスクが高い。建物の耐震診断を行い、必要であれば耐震補強工事を行うことで、大地震による被害を最小限に抑えることができる。
地震が発生した際には、正しい避難行動を取ることが生死を分ける。まずは揺れが収まるまで身の安全を確保できる場所に留まり、その後、安全を確認して避難を開始することが基本だ。日頃から避難訓練に参加し、地域の避難ルートや避難所の場所を確認しておくことが大切である。
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今回は過去に起こった地震の規模の大きかったものをピックアップしたが、日本は地震大国でありいずれの都道府県であってもリスクを抱えている。地震が少ない都道府県に住んでいる場合でも、対策を講じておくことをおすすめする。日頃から家族や友人と防災対策については話し合い、万が一のときに備えたい。
※1 国土を知る 意外と知らない日本の国土|国土技術研究センター
※2 我が国における主な被害地震(明治以降) |環境省
※3 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震|気象庁
※4 1952年 十勝沖地震|NHK
※5 北海道東方沖地震(1994年)|内閣府
※6 三陸沖地震(1933年)|内閣府
※7 1891 濃尾地震|内閣府
※8 1946年 昭和南海地震|NHK
※9 2003年 十勝沖地震|NHK
※10 「関東大震災100年」 特設ページ|内閣府
※11 1944 東南海地震・1945 三河地震|内閣府
※12 1968年十勝沖地震(1968年)|内閣府
※13 震度データベース検索|気象庁
※14 地震災害|内閣府
※15 地震発生のしくみ|気象庁
※16 南海トラフ地震とは|気象庁
※17 活断層とは|国土地理院
※18 地震と火山噴火の仕組み|国土交通省
※19 静岡県地震・津波対策アクションプログラム2023|静岡県公式ホームページ
※20 南海トラフ地震応急対応マニュアル/関西広域連合
※21 帰宅困難者対策|東京都
※22 「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について|気象庁
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