震度とマグニチュードの違いとは? わかりやすく解説

地震で地面に亀裂が入っているイメージ

Photo by Jens Aber

地震が発生すると発表される「震度」と「マグニチュード」は、どのような違いがあるのだろうか。本記事では、それぞれについて説明しながら、2つの違いをわかりやすく解説。さらに過去の大地震の震度とマグニチュードに触れながら、どのような被害があったのかを紹介する。

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2024.10.29
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震度とマグニチュードの違い

震度とは
・地震の揺れの強さを示す指標
・日本の震度階級は10段階
・一つの地震に複数

マグニチュードとは
・地震そのものの規模を表す数値
・観測史上最大は9.5
・一つの地震に一つ

違い①「地震の揺れの大きさ」と「地震そのものの規模」

震度が「地震の揺れの大きさ」を表すのに対して、マグニチュードは「地震そのものの規模」を表す数値であり、2つには大きな違いがある。

違い②一つの地震に対して震度は複数、マグニチュードは一つ

震度は、それぞれの場所によって異なるため、一つの地震に対していくつもの震度が発生する。しかし、マグニチュードは地震そのものの規模を表すため、一つの地震に対して一つ数字しかない。この点も、2つの違いとして挙げられる(※8)。

違い③マグニチュードが大きくても震度が低いこともある

地震そのものの規模を表すマグニチュードが大きいと、震度も大きくなるイメージがあるが、実はマグニチュードが大きくて震度が低いこともある。

震度とマグニチュードの違いは、しばしば、電球にたとえられる。電球の明るさをあらわす値が、マグニチュード。電球から離れたある場所の明るさが震度に相当する。電球そのものの明るさは変わらないが、近くにいると明るく、遠くにはなれると暗く感じる。

マグニチュードと電球の関係も同様で、マグニチュードが大きいの地震でも、震源から離れると、震度が低くなることもある(※8)。

以下では、地震とマグニチュードについてそれぞれ詳しく解説する。

震度とは

地震のイメージ

Photo by Xiangkun ZHU on Unsplash

日本に住んでいると、耳する機会が多い「震度」という言葉。あらためて、震度とは何を指すのだろうか。ここでは、震度の定義を解説していく。

「震度」は地震の揺れの強さを示す指標

震度とは、「地震の揺れの強さ」を示す指標のこと。地震が起きると、緊急地震速報などで「震度3」「震度4」といった、場所ごとの震度が発表される。

日本の震度階級は10段階

気象庁の震度階級では、「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級で、地震の揺れの強さを表している。

それぞれの震度ごとの揺れの状況や体感は、以下の通りだ(※1)。

震度揺れの状況/体感

人は揺れを感じない

屋内で静かにしている 人のなかには、揺れをわずかに感じる人がいる
屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる
・屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる
・電線が少し揺れる
・歩いている人のほとんどが、揺れを感じる
・電灯などのつり下げ物は、大きく揺れる
・電線が大きく揺れる
・自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる
5弱・大半の人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる
・棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある
・固定していない家具移動することがあり、不安定なものは倒れることがある
・まれに窓ガラスが割れて落ちることがある
5強・大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる
・固定していない家具が倒れることがある
・補強されていないブロック塀が崩れることがある
・自動車の運転が困難となり、停止する車もある
6弱・立っていることが困難になる
・固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある
・ドアが開かなくなることがある
・壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある
6強・立っていることができず、はわないと動くことができない
・揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある
・固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる
・補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる
・壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる
・立っていることができず、はわないと動くことができない
・揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある
・固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある
・壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる
・補強されているブロック塀も破損するものがある

震度の計測方法とは

ここからは、震度の計測方法について解説していく。

震度計による観測

かつて震度は、体感および周囲の状況から推定していたが、現在は震度計の計測震度を用いて自動的に観測し、速報している(※2)。

計測震度自体は加速度波形をもとに演算されており、その演算方法によっては同じ最大加速度であっても地震の継続時間と含まれる振動数の違いにより、計測震度(震度)が異なることもある。(※3)

震度計は全国約4,400地点に設置

気象庁、地方公共団体、防災科学技術研究所をあわせて、現在、全国4,372地点に震度観測点がある(※4)。

震度は隣接する場所であっても震度計が設置される地盤などによって観測する値が異なることがあり、正確な震度観測を行うために、気象庁では震度計設置環境基準をより理解しやすくするための解説書を発表している(※5)。

震度は国によって異なる

震度は、その国の建物の壊れやすさなどによって違い、国によって異なる。

日本では、10階級で表し、震度計で観測するが、外国では主にMM震度階(モディファイド・メルカリ・スケール(改正メルカリ震度階))という12階級で表すのが一般的だ(※6)。

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マグニチュードとは

地震による被害のイメージ

Photo by Nichika Sakurai on Unsplash

震度について理解したところで、震度とともによく耳にする「マグニチュード」についても解説していく。

地震そのものの規模を表す数値

マグニチュードとは、地震そのものの規模を表す数値のこと。地震による被害規模の大きさではなく、「地震自体のエネルギーの大きさ」を表すものである(※7)。

マグニチュード1の違いでエネルギーが約32倍

マグニチュードは、1大きくなると地震自体のエネルギーが約32倍大きくなり、2大きくなると、1000倍にもなる。つまり、マグニチュード8クラスの地震では、マグニチュード6クラスの地震1000個分のエネルギーがあるということになるのだ(※8)。

マグニチュードの計測方法

マグニチュードは、長さや重さのように直接物理量を測ることができないものであることから、算出することがむずかしく、昔からさまざまな算出方法が考案されてきた。そのため、計算に使用するデータ(観測する地震計の種類や、地震波形のどの部分を用いるかなど)や計算手法などに応じて、たくさんの種類が存在しており、国際的に統一された規格はない。

たくさんの種類があるなかで、気象庁では「気象庁マグニチュード(Mj)」と「モーメントマグニチュード(Mw)」の2種類を主に用いている(※9)。

過去に発生したマグニチュードが大きい地震

過去10年間、国内で発生した地震でもっともマグニチュードが大きかったのは、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」。この地震のマグニチュードは、7.6であった(※10)。

気象庁のホームページに記載のある、平成8年以降に起きた地震のなかで、もっともマグニチュードが大きい地震は、2011年3月11日に発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」。マグニチュード(モーメントマグニチュード)は9を記録しており、モーメントマグニチュードで比べると、1900年以降日本で一番大きな規模の地震となった(※11)。

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地震の強さと被害の関係

地震による被害には、建物倒壊や火災、津波などさまざまな災害の発生などがある。ここでは、地震の強さと被害の大きさの関係について見ていこう。

震度が高い場合の建物やインフラへの影響

オフィスビルのイメージ

Photo by S M on Unsplash

震度が高い地震が発生すると、建物やインフラにも影響が出る。

既出の表に記載があるように、棚にある食器類、書棚の本が落ちたり固定していない家具が動いたり倒れたりするほか、ドアが開かなくなる、壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する、ブロック塀が崩れるなどの可能性が高まる。

また、震度5弱程度以上の揺れがあった地域では、断水、停電が発生することもあり、震度6強程度以上の揺れとなる地震があった場合には、広い地域で、ガス、水道、電気の供給が停止する。震度4程度以上の揺れがあった場合には、鉄道、高速道路などで、安全確認のため、運転見合わせや速度規制、通行規制を実施することもある。

さらに、電話やインターネット等による安否確認、問合せが増加し、電話等がつながりにくい状況が起こることもあり、通信にも影響が出る(※12)。

マグニチュードの大きさと津波や余震のリスク

波のイメージ

Photo by Leo Escala on Unsplash

地震のマグニチュードと津波規模には密接な関係がある。震源が浅い地震でマグニチュード7をこえると、津波が発生するおそれがあり、地震により発生した津波は、水深4,000mでは約720km/h、水深10mでは約36km/hのスピードで進む(※13)。陸地に近づくとスピードは落ちてくるが、それでもオリンピック短距離選手の平均速度程度のスピードがあるためいち早く避難することが重要である(※14)。

また、大地震が発生した際、震源近くでは、最初の大地震よりも規模の小さい地震が引き続いて起きる「余震」が多く発生する。マグニチュードが大きい地震だと、余震が収まるまでの期間が一般的には長くなるといわれている(※15)。

過去の大きな地震とその被害例

2024年1月1日に発生した、「令和6年能登半島地震」では、マグニチュード7.6、最大震度7を記録。石川県を中心に、多数の家屋倒壊、土砂災害等により死者260名、重軽傷者1,323名の甚大な被害が発生した(2024年6月25日時点)。電気やガス、水道等のライフラインへの被害のほか、道路、鉄道等の交通インフラにも甚大な被害が生じ、いまなお避難生活を送っている人がたくさんいる(※16)。

2011年3月11日には、戦後最大の自然災害といわれる「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」が発生。最大震度7、日本で観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録した。この巨大地震によって、死者19,747人、行方不明者2,556人、住家被害も建物の全壊半壊一部損壊合わせて1,154,893棟と未曾有の甚大な被害がもたらされた(※17)。

地震の被害を減らすための準備と対応方法

地震の被害を減らすためには、日頃からの準備や発生時どう対応するかを考えておくことが重要だ。家具類の転倒・落下・移動防止対策をする、食器棚や窓ガラスなどにはガラスの飛散防止措置をしておくなどけがの防止対策をする、家屋の耐震診断を受け、必要な補強をしておくなど、身の安全に備えること。また、初期対応の備えとして、消火の備えや火災発生防止対策、非常用品を備えておくことも、いまのうちに実施する必要がある(※18)。

そのほか、地震が発生したときの行動について家族で話し合っておくことも大切だ。住んでいる地域によって、川の氾濫や土砂崩れ、津波などの危険性が異なるため、自治体の防災マップ等で自分の住む地域の地域危険度を確認し、それに合わせた避難や対応をとれるようにしておこう。

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地震への備えを後回しにしない

地震が発生しやすい位置にある日本では、現在「首都直下地震」「南海トラフ地震」など複数の巨大地震が近い将来(30年以内)発生すると予測されている。30年以内といわれると「まだ起こらないだろう」と油断してしまうが、今日にでも発生する可能性があることを忘れてはいけない。これまでの地震やその被害から学んだ教訓を無駄にしないよう、後回しにせず、すぐに地震の被害を減らせるよう準備を進めていこう。

※掲載している情報は、2024年10月29日時点のものです。

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