11月5日の「津波防災の日」とは  世界津波の日との関係と制定の背景

海岸に向かって続く板敷きの歩道

Photo by Aleksandra Boguslawska on Unsplash

津波は甚大な被害をもたらす自然災害だ。過去の津波被害を振り返って防災意識を高めるため、11月5日が「津波防災の日」として制定された。地震大国の日本ではどこも津波と無縁ではいられない。津波から国民の生命を守る目的で制定された津波防災の日に、改めて津波と防災について考えたい。

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11月5日の「津波防災の日」とは

2011年(平成23年)6月に、政府は「津波対策の推進に関する法律」を制定した。津波対策の強化を主軸とした法律だ。

同年3月には、東日本大震災が発生していた。この震災によって起きた大津波がもたらした甚大な被害を、いまだ多くの人が忘れられないのではないか。この被害が法制定のきっかけとなった。

法律の制定を受け、11月5日を「津波防災の日」とすることも定められた。国民の間で津波対策についての理解・関心を深める目的である。

「世界津波の日」との関係

11月5日は「世界津波の日」でもある。2015年の第70回国連総会本会議で日本をはじめとした142カ国が、同年の第3回国連防災世界会議および持続可能な開発のための2030アジェンダのフォローアップとして共同提案したことによって制定された。(※1)

津波の脅威と対策についての理解や関心を世界に広めるこの日の制定は、津波防災を推し進めている人々にとって非常に大きな意義を持つだろう。

11月5日の由来となる「稲むらの火」

津波防災の日および世界津波の日は、ともに11月5日である。この日付は日本に語り継がれている「稲むらの火」と呼ばれる逸話が由来している。

1854年(安政元年)に発生した安政南海地震は、マグニチュード8.4の激震で伊豆から四国までの広範囲に甚大な被害をもたらした。逸話の舞台となった和歌山県も激しい揺れに襲われた。8mもの津波が迫る中、濱口梧陵が稲に火を点け、逃げ遅れた人々を高台に導いた。(※2)

この日が11月5日であったことから、この逸話にちなんで津波防災の日と世界津波の日が同日に制定されたのである。

日本と津波被害の歴史

地震大国と言える日本の人々は、長い歴史の中で幾度もの大地震とそれに伴う大津波を経験している。

古くは「日本書紀」に地震と大津波の記述が確認できる。684年11月26日に発生したこの地震は大津波を伴い、「白鳳地震」とされた。日本で初めて詳細に記録された南海トラフ巨大地震と推定される地震である。

以降も時代ごとに大地震の記録が残されており、各時代の人々の大きすぎる受難がうかがえる。昭和以降だけでも9件もの大地震による津波が確認できるほど、日本と津波の関係は深い。

甚大な津波被害が繰り返し起きている地域を「津波常襲地帯」と呼ぶ。近年に東日本大震災の発生した三陸沿岸が有名である。この地域では明治以降だけでも、津波を伴う大地震が約50年間隔で発生している。(※3)

また前述の安政南海地震が起きた南海沿岸や、日本海側に位置する日本海東縁部沿岸では、約100年間隔で津波を伴う大地震に襲われている。北海道東南部沿岸は1994年と2003年に津波を伴う大地震が発生したことから、今後が注視される地域である。

日本近海は複数のプレートで構成される海溝やトラフが多い。いわば大規模な海底地震が起きる条件がそろってしまっており、結果として津波が発生しやすくなっている。

津波が襲いくるのは沿岸だ。津波常襲地帯はたしかに沿岸に位置している。今後も一定の間隔で津波の発生する可能性を否定できない。津波防災の必要性を改めて考えたくなる地域である。

津波災害に備え、改めて確認したい知識と行動

津波は大きな被害をもたらす恐ろしい存在だ。しかし、災害に備えることによって被害を軽減させられる一面は必ずある。津波の特徴や、津波が実際に発生した際にできる行動を考えておきたい。

津波の発生原因と被害規模を知る

津波の原因は海底地震による地盤の変動・地滑りで発生する海水の上下動だ。この上下動が大規模になるほど津波の規模も大きくなる。

津波が発生してから沿岸に到達するまでの時間は、津波発生の深度に左右される。深度が深ければ到達は速い。水深5,000mの場所での発生で時速800kmである。一方、浅ければ遅くなる。しかし、遅いと言っても時速36kmにもなるため、津波を見てから避難したのではとうてい間に合わない。いずれにしても迅速な避難が必須となる。

到達した津波の高さによって発生する被害は、以下の通りだ。(※4)

・5m以上(大津波警報):木造家屋の全壊・流出、甚大な人的被害
・3m(津波警報):標高が低い場所での浸水被害、人的被害
・1m以上(津波注意報):養殖いかだの流出、小型船舶の転覆、海のなかにいる場合の人的被害

事前に備えるための行動

・家具の固定や、ガラス飛散防止フィルムの貼付など家屋の安全対策
・避難場所と避難経路の確認
・飲料水や非常食の備蓄、緊急避難袋の用意
・家族との連絡方法の確認
・防災訓練への参加

津波が来たら行うべき行動

・直ちに海から離れ、高台や津波避難タワーや、津波避難ビルに避難する
・避難タワーや避難ビルには津波標識が掲げられているため目印にして避難する
・可能な限り高い場所へ避難する
・津波は複数回到達するため、警報解除まで避難場所にとどまる

津波防災の日の取り組み

津波防災の日には、各地でさまざまな取り組みが行われる。過去に行われた取り組みを紹介する。

津波防災の日スペシャルイベント(岩手県釜石市)

「誰一人として犠牲にならない津波防災」をテーマに、津波防災に関する対策や取り組みについて意見交換が行われた。

啓発のための津波警報サイレンの吹鳴(秋田県秋田市)

住民の啓発を目的に、津波警報サイレンが吹鳴された。大津波警報時のサイレンが数回繰り返された。

大規模津波防災総合訓練(大分県津久見市)

南海トラフ地震の発生が想定される津久見市で、災害時医療活動訓練と住民参加の避難訓練が広域で行われた。

※掲載している情報は、2022年1月31日時点のものです。

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