6月8日は「世界海洋デー」 海のためにできることを考えよう

魚の群れ

Photo by Hiroko Yoshii on Unsplash

6月8日は「世界海洋デー」。地球の表面積の約70%を占め、多くの生き物が暮らす海は現在さまざまな課題を抱えている。世界海洋デーは、そんな海の環境や大切さについて改めて考える日だ。この記事では海洋環境が抱える問題や、私たちが海のためにできることなどを紹介する。

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2024.06.13
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世界海洋デーとは

水中に差し込む光

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世界海洋デー(World Oceans Day)とは「海と人のつながりや海の大切さ、海を守る方法」などについて考える日のことだ。1992年にブラジル・リオデジャネイロで行われた国連環境開発会議(地球サミット)において、カナダが世界海洋デーの構想を提案したことがきっかけとなり、2008年に開催された国連総会で2009年から毎年6月8日を世界海洋デーとすることが決定した。

世界海洋デーは国連によって毎年テーマが掲げられ、6月8日前後には世界各国で海洋保護に関するさまざまな取り組みが行われている。

世界海洋デーが必要な理由

海の中のプラスチック

Photo by Naja Bertolt Jensen on Unsplash

1992年の地球サミットで構想が生まれた世界海洋デーだが、その構想が生まれた背景にはどのような問題が潜んでいたのだろうか。ここでは世界海洋デーが制定されることになった理由と、海が抱える問題について詳しく解説する。

海洋プラスチックごみの問題

私たちの生活に欠かせないものとなっているプラスチック。それが不正な管理や投棄によって海洋プラスチックごみとなり、海洋汚染を引き起こすことが世界中で問題になっている。世界全体では、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているとの報告がある。そして、このままでは2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるとの試算も出されている。(※1)

海洋プラスチックごみは海鳥や海亀、魚が誤って食べてしまうなど生態系に悪影響を与えるほか、海岸機能の低下、漁業や船舶航行への悪影響など、さまざまな問題を引き起こしている。

海プラスチックごみ問題とは 海洋環境や生態系への影響と解決に向けた取り組み

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海面温度の上昇

世界の平均気温は、2016年~2020年の5年間で1850年以降もっとも高くなった。(※2)地球温暖化は世界中で問題となっているが、海面温度も無関係ではない。

コペルニクス気候変動サービスによると、2024年1月の世界の平均海面水温は20.97℃に達し、1月の水温としては最高記録となった。(※3)平均気温の上昇は、21世紀の間も続く可能性が高いとみられている。海は二酸化炭素や余分な熱を吸収することからも、地球温暖化問題は海も含めて考えなくてはならない問題である。

海水の酸性化

海は大気中の二酸化炭素を吸収しており、その量は世界全体で排出される二酸化炭素のうちの約4分の1にも相当する。しかし近年、この二酸化炭素の吸収により海のpHが変化する「海洋酸性化」が問題となっている。

本来、海は弱アルカリ性で表面海水中のpHは8.1程度だが、二酸化炭素が海に多く溶け込むほどpHが下がりアルカリ性が弱まる。長期間に渡って海水のpHが下がる現象を、海洋酸性化と呼ぶ。

IPCC第6次評価報告書によると、人間活動で排出された大気中の二酸化炭素を海が吸収することにより、地球全体の平均の海洋表面pHは、21紀末には19世紀終盤に比べ0.16~0.44低下すると予測されている。(※4)海洋酸性化は海の水質を変化させ、さまざまな生態系に影響をおよぼすことがわかっている。

工場・家庭排水や船舶からの海洋汚染

海洋汚染の原因はさまざまだ。海上の施設や船舶から石油や有害物質が流れだすといったものから、工場や家庭からの排水に含まれた有害な物質が川や海に流入して海の環境に悪影響をおよぼす、陸で発生した廃棄物が海に流入するなどが挙げられる。

人間が出す生活排水には多量の有機物が含まれていて、その多くは下水処理場で取り除かれるが、海に流出した有機物は海水を富栄養化し、プランクトンの発生による赤潮の起因となることもある。

魚食文化の広がりと過剰・違法漁業の問題

1人が1年当たりに消費する食用魚介類の量は過去50年で約2倍に増加し、世界的に水産物の需要が高まっている。2040年には世界人口が90億人に達するといわれていることから、これからもますます水産物の消費量は増える見込みである。

しかし、水産資源には限りがある。国際連合食糧農業機関(FAO)がまとめた世界の海洋水産資源の状況では、持続可能なレベルで漁獲されている資源の割合は漸減傾向にある。1974年には90%の水産資源が適正レベルで利用されていたが、2019年にはその割合が65%まで減少している。対して過剰に漁獲されている状態の資源の割合は10%から35%まで上昇しており、水産資源の枯渇が問題視されている。(※5)

その原因のひとつとして挙げられるのが違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported, Unregulated)漁業だ。IUU漁業は無許可操業や無報告、虚偽報告された操業など、国際的な操業ルールに従わない漁業活動のことを指す。(※6)海洋環境や生態系に配慮せず水産資源を乱獲すれば海に住む生態系のバランスが崩れ、ますます水産資源の減少を招くことになる。

世界海洋デーのテーマ

海中の生物

Photo by Francesco Ungaro on Unsplash

国連が発表した2024年の世界海洋デーのテーマは「Awaken New Depths(新たな深みを目覚めさせる)」。海の悲惨な状況は明らかだが、海洋環境の改善への機運を高めるためにも海への理解や思いやり、協力などをより深め、探求していこうという思いが込められている。(※7)

世界海洋デーの取り組み・イベント

毎年、世界海洋デーの前後には世界各国でさまざまな取り組みやイベントが開催されている。ここでは世界や日本で行われるイベントを紹介する。

海ごみゼロウィーク2024(春・秋)

日本財団と環境省が「海ごみゼロ」を合言葉に共同で推進する一斉清掃活動。海だけでなく街を含めた日本全体が連携して海洋ごみ削減のためのアクションを行おう、という理念のもと開催されているイベントだ。日本全国の清掃活動に対して、海ごみゼロウィークオリジナルごみ袋が配布される。
【春】2024 年5月30 日(木)~ 同年6月9日(日)
【秋】2024 年9月20 日(金)~ 同年9月29 日(日)

街からのLOVE OCEAN大作戦

「特定非営利活動法人リビエラ未来創りプロジェクト」と、開業75周年を迎える「リビエラ東京」が池袋駅西口で開催する清掃イベントだ。海のない大都会で海のためのごみ拾いイベントを実施することで、海と街のつながりを意識し、海洋保護や地球環境へのアクションをすることを目的とする。
2024年6月8日(土)午前10時~(約70分間)

国連世界海洋デーのハイブリッド祝賀会

ニューヨークの国連本部で開催され、ライブ中継もされるイベント。世界の政策立案者や科学者、思想的リーダー、アーティストが講演を行い、海洋に対する知恵と専門知識を共有する。ウェブ上で登録を行えば、バーチャルイベントの視聴も可能だ。
2024年6月7日(金)午前10時30分~午後1時30分(東部夏時間)

世界海洋デーとSDGs

2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、環境・社会・経済など、地球上のあらゆる課題を解決するため、2030年を年限とした17のゴールと169のターゲットから成る国際目標だ。ここでは世界海洋デーとSDGsの関係性について詳しく解説する。

目標14「海の豊かさを守ろう」

SDGsの目標14に掲げられているのは「海の豊かさを守ろう」。持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目標としている。
さらにターゲットには

・海洋汚染の防止・削減
・海洋・沿岸の生態系を回復させる
・海洋酸性化の影響を最小限にする
・漁獲を規制し、不適切な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する

などが挙げられる。(※8)そのため、海洋環境や生態系の保護、適正な漁業活動などについて考え、アクションを起こす「世界海洋デー」が広く知られることによって、SDGsの目標のひとつ「海の豊かさを守ろう」に一歩近づけるのだ。

SDGsと「国連海洋科学の10年」

「国連海洋科学の10年」とは、海洋科学の推進によって持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためにつくられた国際的な枠組みのことを指す。2017年12月に開かれた国連総会で採択され、ユネスコIOCが実施計画策定機関となって2021年1月からスタートし、2030年までの10年間で集中的に取り組みを実施する。
実施計画では、下記の達成目標を掲げている。(※9)

1きれいな海
2健全で回復力のある海
3予測できる海
4安全な海
5生産的な海
6万人に開かれた海
7夢のある魅力的な海

この7つの目標を達成するためには、世界の各国の政府、科学者、産業界、市民団体などが 知恵を出し合い、協力していくことが重要だ。

世界海洋デーに向けて私たちにできること

ビーチのごみ拾い

Photo by OCG Saving The Ocean on Unsplash

世界海洋デーは海洋問題に思いを巡らせ、アクションを起こすいい機会だ。ここでは海の環境を守るために取り組めることを紹介する。

プラスチック製品の使用を減らす

使い捨てプラスチック製品を使わないように心がけることがプラスチックごみの削減につながる。例えば買い物のときにエコバッグを持参する、カフェに行くときにマイカップを持参する、使い捨ての日用品は買わないようにするなど、日常生活のちょっとしたことから始めてみよう。

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街中やビーチのごみ拾いに参加する

住んでいる地域の清掃イベントや、ビーチの清掃活動に参加してみよう。海に流れ着くごみは陸で発生したものも多いため、海辺以外の街でも清掃活動を行うことは重要だ。地域の自治体や団体などのホームページをチェックして、清掃キャンペーンやイベントがあれば積極的に参加してみるといいだろう。

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合成洗剤からエコ洗剤へ切り替える

家庭の排水口から流れ出たものは、最終的に海までたどり着く可能性が高い。そのため、家庭で使用する洗剤などに気をつけることも大切だ。自然界で分解されにくい石油系成分が使用されているものをできるだけ避け、生分解性の高い者や天然由来の成分、重曹、酵素などの成分が使用されている商品を選ぶようにしよう。

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「MSC認証」や「ASC認証」を取得した水産物を購入する

買い物の際、「MSC認証」「ASC認証」がついた水産物を購入するようにしよう。「MSC認証」は水産資源と環境に配慮した漁業で獲られた天然の水産物に対して付与される証で、「ASC認証」は環境と社会への影響を最小限にして育てられた養殖の水産物に対して付与される証だ。

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ごみはきちんと分別する

プラスチック製品をごみとして出す場合にはきちんと分別をし、できる限り資源化することも重要だ。住んでいる地域の自治体の分別ルールをしっかりと守り、プラスチックごみの削減に貢献しよう。

海の環境を守るために できることから始めよう

波打ち際

Photo by frank mckenna on Unsplash

地球の表面積のおよそ70%を占める広大な海は、いま、海洋汚染や海面温度の上昇などさまざまな問題を抱えている。たくさんの生命が住む海は、私たち人間にもたくさんの恵を与えてくれる。これから先の未来でも美しく生命が豊かな海を残していくためには、海の現状を知り、問題解決のためにアクションを起こすことが大切だ。世界海洋デーはそのきっかけを与えてくれる。

※掲載している情報は、2024年6月13日時点のものです。

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