ロハス(LOHAS)とは いま取り入れたい地球と健康に配慮した気持ちのいい生活

ハーブを調理する

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ロハス(LOHAS)なライフスタイルとは何か、その語源や取り入れることのメリット、似た言葉であるエコやSDGsとの違いや関連について解説する。また持続可能な消費やエコフレンドリー商品の選択など、ロハスなライフスタイルを送るための実践方法についても紹介。

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2024.05.21
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新しいライフスタイル「ロハス(LOHAS)」とは

芝の上にある地球柄のボール

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「ロハスな生き方」「ロハスな食事」など、身近で"ロハス"という言葉を聞いたり目にしたりする人も少なくないはず。2000年以降、日本にも浸透してきたロハスという生活様式。ここではロハスの意味、ロハスが誕生した背景、似たような言葉との違いについて解説する。

ロハスの意味と語源

「LOHAS」という言葉は「Lifestyles of Health and Sustainability」の頭文字を取った造語である。日本語にすると、"健康で持続可能な生活様式"という意味になり、日本では主に個人が健康と環境に配慮した持続可能な生活をすることを指す。

オーガニック食品やエコフレンドリーな製品の選択、環境活動への支援など物質的な取り組みから、精神的な健康の向上を目指すこともロハスの考え方だ。個人のライフスタイルをロハスにすることで、持続可能な社会を形成することにもつながるという特徴がある。

ロハスの提唱者

ロハスを提唱したのは、アメリカの社会学者ポール・レイ氏と心理学者シェリー・アンダーソン氏だ。彼らは1980年から、アメリカに住む15万人を対象に15年間、消費における価値観の調査を行った。その結果、新しい消費行動を行う層として発見されたのが、カルチュラル・クリエイティブ(生活創造者)と呼ばれる人々だ。彼らはロハスな価値観を持って消費を行うという特徴がある。

ロハスが生まれた背景

ロハスは1999年に、カルチュラル・クリエイティブを定義する言葉として誕生した。ヨガマットやエシカルな商品を販売するガイアム社の経営者ジルカ・リサビ氏が、ポール・レイ氏とともにカルチュラル・クリエイティブを捉えるためのマーケティング用語としてLOHASの概念を提唱したことが始まりだ。日本では2002 年に初めて紹介された。

ロハスとエコの違い

日本においては、ロハスは消費者層を指すだけではなく、ライフスタイルや製品にも用いられる概念となっている。生態・自然環境を意味する「エコロジー(ecology)」の略語「エコ」と似たような意味で使われることも多いが、ロハスの範囲は環境保護やエコロジーにとどまらず、健康や個人の精神的な幸福も含むライフスタイルの総合的な側面も含まれている。

ロハスとSDGsの違い

ロハスは個人のライフスタイルや消費行動に焦点を当て、健康や環境の持続可能性を追求する考え方だ。それに対し、SDGs(持続可能な開発目標)は国際的なレベルで貧困や不平等、環境問題などの地球上のあらゆる課題の解決を目指す、国を越えた取り組みである。

ロハスがカバーする5つの分野

風車と朝焼け

Photo by Jason Mavrommatis on Unsplash

ロハスな嗜好をもつ人々が、とくに関心を示すマーケティング分野は主に5つあるとされている。

健康的なライフスタイル

健康的なライフスタイルに関連する分野には、体にいい食材や食事、エシカルな衣料・雑貨、サプリメント、フィットネスやヨガなどのボディケア、メンタルケアなどが含まれる。ロハスな消費者は自身の健康やウェルビーイングに重点を置き、健康にいい製品やサービスを利用する。

経済の持続可能性(サステナブル・エコノミー)

太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーやエコ建築素材の開発、SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)、環境マネジメント、省エネ製品などの分野が含まれる。ロハスなライフスタイルを志向する人々は、経済活動においても持続可能性に高い関心を持ち、環境に配慮した製品やサービスを利用・投資する傾向がある。

予防医学と代替医療

ロハスなライフスタイルを送る人々にとって、鍼灸、ホメオパシー、予防治療、アーユルヴェーダなども関心の高い分野である。従来の医療以外の方法で健康を維持することに興味を持ち、代替医療や予防医学に関連するサービスを利用する傾向がある。

パーソナル・ディベロプメント(自己啓発)

パーソナル・ディベロプメントとは自己啓発のこと。ロハスな人々はヨガやピラティス、瞑想・座禅などメンタルケア、スピリチュアルな製品・サービス、セミナー参加や習い事に高い関心をもつ傾向がある。自己成長や精神的な健康に焦点を当て、自己啓発や精神性を高める活動に積極的に参加している。

環境に配慮したライフスタイル

ロハスなライフスタイルを送る人々は、環境意識も高い。最新のエコ住宅や有機・再生繊維でつくられた製品、環境負荷の低い製品やサービスを好んで使用する。生活様式のあらゆる部分で環境に配慮した生活を実践し、地球環境への負荷を軽減するための取り組みに関心を持っている。

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ロハスを取り入れることのメリット

運動する人々

Photo by Gabin Vallet on Unsplash

ロハスなライフスタイルを取り入れることで、心身の健康が得られ、さらには環境負荷の低減が期待できるとされる。ここでは、ロハスなライフスタイルのメリットについて解説する。

健康的な生活が送れる

健康的な食事や生活習慣は、ロハスなライフスタイルの基本である。有機食品や自然由来の製品を選択することで、化学物質や添加物の摂取を減らし、体内をクリーンな状態に保つ。またヨガやマインドフルネスなどで精神的な健康面を高められることも、ロハスの魅力だろう。

環境への貢献が期待できる

エコロジーな製品や再生可能エネルギーの選択は、地球温暖化や環境汚染の軽減につながる。また廃棄物の削減やリサイクルの推進など、環境に配慮したロハスの行動スタイルは、長い目でみて地球全体の生態系にいい影響を与えるはずだ。

精神的なゆとりや豊かさが得られる

ロハスな生活を送ることで、精神的なゆとりや豊かさを得られる。自然に触れることや瞑想、ヨガなどのリラックスできる活動を通して、心の安定が得られるだろう。物質的ではなく、自己成長や精神的な豊かさを追求することで、人生の満足度や幸福感の向上につながる。

生活にロハスを取り入れてみよう

たくさんの果物

Photo by Brooke Lark on Unsplash

ロハスなライフスタイルを実現するには、どのようなことから取り組めばいいのだろうか。ここでは、ロハスな行動の身近な例を紹介する。誰でも気軽に取り組めるものばかりのため、ぜひ挑戦してみて。

オーガニック食材を食べる

オーガニック食材を積極的に取り入れることは、体にもうれいロハスな取り組みの一つだ。オーガニック食材は化学肥料や農薬を使わずに栽培された食品で、安心して食べることができる。また地元の生産者がつくったオーガニック食材を選ぶことで、健康的な食事ができるだけではなく、地域への貢献にもつながる。

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自宅に再生可能エネルギーを取り入れる

近年、自宅に再生可能エネルギーを導入することも一般的になりつつある。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを導入することで、家庭でのエネルギー消費を環境負荷が軽減された持続可能な方法で賄える。ソーラーパネルを導入するなど、初期費用はかかるものの、長期的な視点で見れば家計にもエコな方法の選択もある。

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移動には公共交通機関を利用する

ロハスな生活の実践には、できる限り自家用車の利用を控え、公共交通機関や自転車を利用することがおすすめ。電車やバスなどの公共交通機関の利用は、二酸化炭素の排出量を削減し、環境への負荷を軽減することにつながる。

自転車の利用は、その日の気温や風、太陽の光など、その時折の季節を肌に感じることができる。初めての道を通ることで新たな発見が心の高揚につながり、時間をかけて移動するからこその贅沢な時間の使い方が精神的な満足やゆとりにつながる。

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天然素材・自然由来の服や製品を選ぶ

ロハスな生活を送る人々は、天然素材や自然由来の原料でつくられた服や製品を積極的に選んでいる。コットンやシルク、竹などの天然繊維を使用した衣類や、自然由来の化粧品、洗剤などを選択することは、自分や周囲の人の健康を守ることにつながる。

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リサイクルに取り組む

持続可能な社会の実現には、いまある資源を有効活用することが求められる。家庭から排出されるごみは可能な限りリサイクルを行い、エコな方法で廃棄したい。また再生繊維でつくられたバッグや衣類など、身につけるアイテムにこだわってみてもいいだろう。

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ロハスな生活で身体も地球も気持ちよく

山頂でヨガをする人

Photo by Eneko Uruñuela on Unsplash

環境意識が高まるなか、ロハスな生活を送るための選択肢は身の回りにあふている。買い物に行けば、有機栽培された食材やリサイクルされた製品を必ずといっていいほど目にするようになった。

しかし、すべての生活をロハスにする必要はない。ロハスは「〜しなければならない」という誰かからの強制や圧力で行うものではなく、自分が快適だと思えること、自分の心と身体が喜ぶことを取り入れていく生活様式だ。そして可能な範囲でできることから取り組むことが、やがて持続可能な社会の実現につながっていく。ふだん口にしているもの、身につけているもの、使用しているサービスなど、できることからロハスな選択を取り入れていってみてほしい。

※掲載している情報は、2024年5月21日時点のものです。

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