毎年6月3日は「世界自転車デー」 制定の背景や目的、取り組み事例を解説

海辺の道路をツーリングする男女

Photo by Polina Rytova on Unsplash

6月3日は、国連が制定した「世界自転車デー」である。なぜこのような国際デーが制定されたのか、その背景や目的に迫ろう。世界や日本では、世界自転車デーに合わせてさまざまなイベントが開催される。こちらも併せてチェックしてみよう。

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2022.05.25
SOCIETY
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6月3日の世界自転車デーとは

世界自転車デーとは、国連によって採択された国際デーのひとつである。英語での表記は「World Bicycle Day(ワールド・バイシクル・デー)」。毎年6月3日と決められており、世界各国でさまざまな取り組みが行われる。その目的は、“自転車のさらなる普及と活用” にある。

世界自転車デーが制定されたのは、2018年のこと。アメリカの社会学教授レシェク・シビルスキー氏の発案は、国際社会で多くの支持を獲得した。その後、国連加盟193カ国の賛成のもとで採択された。まだ世界自転車デーの歴史は浅く、認知度向上が今後の課題と言えるだろう。(※1)

世界自転車デー制定の由来と目的

では、そもそもなぜ世界自転車デーが制定されたのだろうか。その根底には、「自転車のさらなる普及や活用によって、人々の健康や運動能力を促進したい」という狙いがある。

自転車の歴史は非常に古く、その起源は1800年代までさかのぼると言われている。以降、私たちの移動手段として、またスポーツの道具として活躍してきた。

さらに、子どもから大人まで扱いやすい乗りものでもある。自分の足でこげることから、健康維持にも役立つだろう。このような自転車のメリットをより広げていくことが、世界自転車デーの目的である。

環境問題との関わり

自転車には、教育・健康・スポーツ面でのさまざまなメリットが期待できる。まず、車や公共交通機関の代わりに自転車を使えば、人々の運動不足は解消されるだろう。また世界に目を向けてみれば、日々の通学の負担によって学校に通えない子どもは多い。そこで自転車が普及すれば、質の高い教育をより多くの子どもたちに受けさせられるかもしれない。

こうしたメリットのほか、忘れてはならないのが、環境面で生じるメリットである。自分の足でこいで進む自転車は、環境にやさしいエコな乗りものである。利用する際に二酸化炭素が発生しない自転車は、「環境負荷の少ない交通手段」として改めて注目されているのだ。

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地球温暖化やエネルギーの大量消費問題は、地球全体で早急に取り組むべき課題である。世界自転車デー制定の背景には、これらの環境問題に対する意識の向上も関連している。

国連は自転車について、「持続可能な輸送の象徴であり また持続可能な消費と生産を促進するための積極的なメッセージを伝え、そして環境への積極的な影響を有している」と発信。その有用性を知り、さらなる活用を後押しするための国際デーなのだ。(※2)

ちなみに海外では、E-バイク(電動アシストつき自転車)の利用が盛んだ。フランス政府は2021年、E-バイク購入者に2,500ユーロ(約33万円)を補助すると決定。厳格な公害防止規則を敷いた中国では、電動自転車の所有者数は車の所有者数の2倍にのぼる。地球だけでなく健康や経済にもやさしい移動手段として、ますます注目を浴びている。

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海外と日本の取り組み事例

では、毎年6月3日の世界自転車デーには、具体的にどのような取り組みが行われているのだろうか?世界と日本の事例を、具体的に紹介しよう。

海外

海外では、毎年世界自転車デーに合わせて、さまざまなイベントが開催されている。2021年には、韓国で自転車団体協議会のメンバーが、街中でイベントを開催。多数の参加者が自転車に乗ってイベントに参加することで、国際デーの認知度アップに一役買った。

また、2019年にはドイツの人気自転車メーカー・キャニオンが、世界自転車デー祝福のため送料無料イベントを行い話題に。同社では、SNSを使ったプロモーションも積極的に展開している。

2022年には、欧州サイクリスト連盟(European Cyclists’ Federation)が「自転車が私たちの未来にどのような役割を果たすのか?」をテーマにしたイベントを開催する。世界中の主要な声が集まると想定されている。(※3)

日本

2022年現在、世界自転車デーの歴史はまだ浅く、日本における知名度はそれほど高くはない。しかし、毎年5月は自転車月間推進協議会が定めた「自転車月間」であり、5月22日には日本サイクリング協会(JCA)が定めた「サイクリングの日」でもある。前後に自転車関連の記念日が多く、これらの記念日と合わせて、自転車に関わるイベントが開催されるケースも多い。

2021年のゴールデンウィークから6月にかけて開催されたのが、「自転車月間展」である。日本自転車普及協会は、国土交通省の協力のもとで、自転車月間にまつわる展示を行った。また、国際自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン」にちなんだ展示イベントも開催され、多くの自転車ファンを喜ばせた。(※4)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、大規模イベントの開催が難しい状況が続いている。今後のイベント拡大に期待したいところだ。

世界自転車デーに日々の移動手段を見直してみよう

「自分の足でこぐだけで遠くまで出かけられる」。自転車は自由の象徴である。新型コロナウイルスにより、公共交通機関を使った移動に不安を覚えやすいいまだからこそ、自転車は再注目したい移動手段だ。また、自身の健康問題と世界的な環境問題、どちらにもアプローチ可能な画期的なアイテムと言えるだろう。

国連が世界自転車デーを制定したことで、自転車への注目度よりいっそう高まっている。6月3日の当日には、世界各地で多数の関連イベントが開催されるだろう。自転車が持つ可能性と、さらなる活用によってもたらされる未来について、より深く考えるきっかけになるはずだ。

日本では、世界自転車デーの認知度はまだまだ低い。「ふだんはあまり自転車に乗らない」という人も、6月3日には久しぶりに自転車に乗ってみてはどうだろうか。健康や環境、そして時間に縛られない自由など、さまざまなメリットを実感できるだろう。

※掲載している情報は、2022年5月25日時点のものです。

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