ELEMINISTでは全5回にわけて、地球温暖化について網羅的に解説している『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』に書かれている内容について紹介。第4回目は輸送について。
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「エシカル」「サステナブル」「SDGs」──いまや、これらはライフスタイルからビジネスまでを語るうえで切っても切り離せないテーマだし、誰もが知識をつけることが求められている。
ここで取り上げるのは、すでに世界12カ国で翻訳されている『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』(ポール・ホーケン・編著 江守正多・監訳 東出顕子・訳)。
地球温暖化について網羅的に解説していて、誰もが簡単に理解できるわかりやすい内容になっているので、これから知識をつけようとしている人におすすめだ。また、さまざまな研究者たちの知識が盛りこまれているから、すでに地球温暖化について詳しい人が読んでも、たくさんの発見があるだろう。
ELEMINISTでは全5回にわけて、『DRAWDOWN ドローダウン――地球温暖化を逆転させる100の方法』に書かれている内容について紹介しようと思う。第4回目は輸送について。
地球温暖化という解決すべき大きな問題について、私たちの「衣食住」にポジティブな変化を加えれば、この地球規模の問題をいい方向に変えられるという「希望」を与えてくれる内容となっている。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)をはじめ、世界22ヶ国、約70人の権威ある機関で幅広く学術的経験や専門的経験を積んでいる研究者たちによる、科学的根拠にもとづいたデータをもとに、エネルギーや食、自然など私たちの身近なテーマを切り口に解説。
それだけでなく、今後期待できる地球温暖化問題を改善する新しい技術についても紹介しているから、この問題と向き合うために読んでおきたい1冊だ。
輸送分野の地球温暖化対策は、飛行機や電車、自動車などにおける燃費の改善や利用回数を抑えること、そもそもの解決策として化石燃料に依存する社会からの脱却という2つの点を考えていく必要がある。
そして、輸送の利用とサステナビリティは、人がどこでどのように住まい、働き、遊ぶのか?ということと合わせて考えなければいけない。
私たちの日常的な移動手段として自転車は、燃料に依存しない移動手段のひとつだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で生まれた新しい基準である「3密を避ける」行為をサポートすることもできる。
さらには、ドイツの連邦交通省による調査(2008)によると、通勤や通学などでアクティブな自転車ユーザー(週5日以上、1日30分以上の自転車利用)は、自転車走行1キロメートルあたり、2003年では11.0ユーロセント、2005年では12.5ユーロセントもの医療費削減効果をもたらしているという。
地球だけでなく健康や経済にもやさしい──それが自転車というわけだ。近場への移動が増えたいま、自転車の使用は私たちが身近で取り組める地球温暖化対策としてとらえてもいいだろう。
Photo by Okai Vehicles on Unsplash
電動自転車は中国で大流行しています。この傾向は、中国の急発展する都市が、世界最悪とされる大気汚染を改善しようと厳格な公害防止規則を敷いた1990年代半ばにさかのぼります。現在、ものすごい数の人々が電動自転車で通勤しており、中国では電動自転車の所有者数は車の所有者数の2倍です。
ある専門家によれば、これは「史上最大の代替燃料車両の採用」です。ということなら、中国が世界の電動自転車売上の約95%を占めていることは驚くにあたりませんが、このペダルとモーターのハイブリッド車は世界のあちこちで増加しています。都会の住人が混雑した街を動き回るのに便利で、健康的で手頃な価格の方法を求め、ついでに炭素排出量にも歯止めをかけようとしているからです。
都市移動の半分は10キロメートル未満、自転車で楽に行ける距離です。ところが、自転車をすいすい乗り回せるほど平らで温暖な場所に住んでいる人はそうそういません。高齢者や自転車に乗れない人もいます。通勤時間が長い人、時間の制約がある人、目的地に着いたとき汗だくでは困る人もいます。強い追い風で背中を押すように、電動自転車は坂を登りやすく、スピードを速く、長距離でも自転車で行けるようにしてくれます。
従来の自転車に気が進まない人も、電動アシストがあれば考え直すかもしれません。実際、電動自転車の性能がよくなり、価格が下がるにつれて、車に1人で乗るような、環境をより汚染してしまう交通手段から電動自転車に乗り換える人がますます増えています。
山と渓谷社
DRAWDOWNドローダウン― 地球温暖化を逆転させる100の方法
3,080円
※2021.03.04現在の価格です。
文/松本唯人 編集/小嶋正太郎
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