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日本をはじめ世界各国で問題視されている食品ロス。日本のスーパーでも食品ロスは問題となっているが、どのような原因があるのだろうか。スーパーでの食品ロスの現状を知ったうえで、削減に向けた対策・取り組みや、いまできることは何なのかをあらためて考えてみよう。
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エレミニスト編集部
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食品ロスとは、本来まだ食べられる食品や食材なのにもかかわらず、なんらかの理由によって廃棄することを指す。
似た言葉に、流通や生産工程で出るロス「フードロス」、一般家庭で出るロス「フードウェイスト」があるが、これらをまとめて「食品ロス」という。まずは食品ロスの現状と、食品ロスによってどのような問題が生じるのか見てみよう。
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界で生じた食品ロスは約13億トンにもなる。
家庭で出る食品ロスが多い国は、1位から順に、中国、インド、ナイジェリア、インドネシア、アメリカという結果であった。食品ロスランキング1位の中国は、9164万トンもの食品廃棄量を出している。
では、日本ではどうか。先ほどの食品ロスランキングでは14位。農林水産省が公表した「食品ロス量によれば、2021年度の食品ロス量は約523万トンという結果であった。これは、前年度にくらべると1万トンも増えている。日本でも多くの食品ロスが生まれているのである。(※1)
食品ロスによって多くの問題が生じる。問題の1つは、二酸化炭素の排出である。食品は、ごみとして捨てられ焼却処分される。このときに大量の二酸化炭素が排出され、それが地球温暖化の要因となってしまう。食品ロスの量が増えれば、二酸化炭素の量も増え、地球温暖化がますます加速することになる。
また焼却後の灰を埋める土地も必要となり、処分場の逼迫も懸念される。地球温暖化が進むと、次に問題となるのが農業・畜産業への影響だ。地球温暖化により気候変動が加速すれば、自然災害が増えたり、農作物の収穫量が減ったりといった影響も出るだろう。
そのほか、洪水や干ばつなどにより、住む場所を追われる人が増加する、貧困や飢餓に苦しむ人々をさらに増加させるといった可能性もある。このように、食品ロスによって負の連鎖が生じてしまうのである。
また、世界的に食料不足が懸念されるなか、食べられるものをロスすることは社会的にも問題だろう。
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食品ロスはさまざまなところで生じるが、なかでもスーパーでの食品ロスがある。スーパーで食品ロスが起こる原因について解説する。
スーパーには、商習慣として「3分の1ルール」というものが存在する。3分の1ルールとは、賞味期間の3分の1以内をメーカーから小売店舗へ納入する期間、小売店舗が販売する期間を3分の1とし、残りの3分の1の期間を残して棚から撤去するというルールだ。
これは、あくまでも商習慣であり、法律などに基づいたルールではない。しかし多くのスーパーはこの暗黙のルールに従い、まだ販売できる商品を廃棄しているのである。
商品を過剰に発注し、それが売れなかったことによる廃棄も問題となっている。とくに、恵方巻やクリスマスケーキといったイベントで必要になる食品や季節商品は、過剰発注の傾向にあり大量の食品ロスを生んでいる。
一般的に規格外商品とは、色や形、重量・容量が当該商品の標準と異なるもの、包装材の不良が生じた商品などをいう。このような規格外商品は、消費者に購入されることが少なく、売れ残って廃棄される。規格外商品の廃棄は、スーパー側だけの問題ではなく、消費者側の問題でもある。
在庫管理が不十分だと、必要以上に商品を発注することにつながる。また店頭での賞味期限切れ、販売できる量を超えた惣菜の製造・調理などが、食品ロスにつながる原因となっている。
商品の配送中に発生する、商品やパッケージの破損も食品ロスを生む原因のひとつである。
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実際に、スーパーで実施されている食品ロス対策を紹介する。
多くのスーパーで呼びかけている取り組みが「てまえどり」だ。てまえどりとは、賞味期限や消費期限の近い商品を手間に置き、消費者に商品棚の手前から取ってもらうという方法である。このてまえどりを実践することで、消費者に賞味期限や消費期限の近い商品から手に取ってもらえて、食品ロスの軽減につながる。
見切り商品の購入促進も、多くのスーパーで見かけるようになってきた。見切り商品とは、賞味期限間近になった商品や、売れ残った商品の値段を下げて販売する商品のことを指す。多くの場合、見切り商品に「半額」「1割引」などのシールが貼られていて、消費者に購入を促進している。
スーパーが、フードドライブを行っている事例もある。フードドライブは、家庭で余っている未使用の食品を集め、フードバンクを通じて地域の福祉団体や施設などに寄贈する活動のことだ。この活動により、福祉活動につながることはもちろん、食品ロスの一助にもなっている。
ダイナミックプライシングとは、商品価格を需要に応じて調整する仕組みのことである。スーパーにおいてのダイナミックプライシングは、鮮度の高い商品は値段を高く、鮮度の低い商品は値段を安く提供する。このダイナミックプライシングの導入により、商品の売れ残りを大幅に削減でき、食品ロス対策につなげることができる。
前述した3分の1ルールを見直すスーパーも増えている。3分の1ルールによって、賞味期限まで多くの日数があるにもかかわらず、廃棄されていた商品はたくさんあった。このルールを見直すことで販売期間を延長でき、廃棄される商品を減らすことができる。
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海外のスーパーの取り組みを紹介しよう。オーストラリアには、消費期限が近い商品や、賞味期限切れ商品だけを集めたスーパーがある。取り扱う商品は、飲料、調味料、冷凍食品、菓子類などの食品から、洗剤、シャンプー、歯磨き粉などの日用品までと豊富。だが、それらのすべては、消費期限が近い商品や、賞味期限切れ商品だけであるのが特徴だ。
商品の仕入れは、オーストリア国内のサプライヤーから在庫をすべて前払いで引き取る仕組みとなっている。スーパーが消費期限が近い商品や、賞味期限切れ商品を積極的に受け入れ、それを安く売り切るという方法で、廃棄する商品を削減することに成功している。
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スーパーでの食品ロス削減のために、消費者ができる取り組みを紹介する。
多くの食料品は、賞味期限や消費期限が近いものを手前に、長いものを奥に陳列している場合が多い。よって、購入するときは陳列順に商品を手に取るようにすれば、自然と「てまえどり」ができる。
大量に食品を購入すると、食べきれずに捨てる、賞味期限や消費期限が切れて食べられなくなるということが生じる。そういったことをなくすためにも、必要な分だけ、食べられる分だけ購入することが大切だ。
見切り商品を購入すれば、食品ロスに貢献できる。すぐに食べるものは、見切り商品から選ぶようにしよう。
食材の保存方法を工夫すると食品ロス軽減につながる。たとえば、生鮮食品は使う分量に分けて冷凍保存する、中身の見える容器に総菜を保存し食べ忘れを防ぐ、食材や調味料の定位置を決めて保存・保管し使い忘れを防ぐ、などの工夫をしよう。
恵方巻や土用の丑の日のうなぎ、クリスマスケーキなどの季節商品は、食べ切れる大きさのものを予約して買うようにしよう。そうすることで食品ロスを防ぐことに貢献できる。
いまや、スーパーではさまざまな食品ロスの対策を行っている。スーパーを活用する消費者も食品ロス対策に協力することで、より食品ロス軽減が実現できるだろう。店舗任せではなく、ぜひ自分にできることは何かを考えてみよう。
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