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ニューヨークのエリック・アダムス市長が、プラントベースの食事の自治体導入で注目を集めている。同氏は自らプラントベースの食事を実践するほか、公立の学校をはじめ、病院、刑務所などへの導入を進めている。これには二酸化炭素削減と、市民の健康促進の意図がある。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
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世界の多くの都市や地方自治体で、学校給食でのプラントベースの導入が増加している。そんななか、とくにそのリーダーシップを発揮している一人が、ニューヨークのエリック・アダムス市長だろう。
アダムス市長は、自らもプラントベースの食事を実践。市が運営する公立病院では、植物由来のメニューをデフォルトとして積極的に推進している。さらに公立の学校では「Plant-Power Friday」と称して毎週金曜日にプラントベースの食事を提供。高齢者施設、ホームレスのシェルター、刑務所などでも、少なくとも週に1回、昼食と夕食にプラントベースの食事を提供しているという。
これらはすべて、ニューヨーク市が提供する食事から排出される二酸化炭素を削減するための取り組みの一環である。
さらにニューヨーク市食料政策局では、市内のスポーツ施設、医療システム、外食業者、従業員食堂を運営する企業に対し、植物由来のメニューを拡大し、食事関連のCO2排出量を削減するよう奨励するプロジェクト「Plant-Power Carbon Challenge」を開始。
この挑戦にコロンビア大学も名乗りを上げ、2023年12月から大学の食堂におけるプラントベースの食材調達を優先。2030年までにCO2排出量を25%削減することを目指すという。ニューヨークを拠点とする多くの企業が、今後さらにこのプロジェクトに参加する予定だ。
アダムス市長はこのプロジェクトのプロモーションビデオで、「ニューヨークの人全員が毎日4分の1ポンド(約113g)のハンバーガーを植物性タンパク質に置き換えると、年間3億5千万本の植樹または、約500万台の車を道路から排除するのと同じ効果を得られる」と語る。
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プラントベースの食事には、CO2の排出量削減だけでなく、健康上のメリットもある。植物由来の食事に置き換えることによって、がんや心臓病などのさまざまな疾患による死亡リスク、慢性疾患のリスクを下げる効果も期待されるという。
食は非常に個人的なものであり、市民の食習慣を劇的に変えることは簡単ではない。しかし、プラントベースの食品は健康にいいだけでなく、さまざまなおいしい調理法や提供方法があると、アダムス市長は強調する。こうしたニューヨーク市の挑戦は、世界各地の都市にとっても模範となるだろう。
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