気候変動・地球温暖化が顕在化した異常気象や自然災害が起き、後半には新たな戦争が勃発した。この激動の2023年を振り返り、ELEMINSIT編集部がもっとも注目したトピックスを4つ紹介する。
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2023年も残すところあと1日。みなさんにとって、どのような年であっただろうか。世界を見渡しても、戦争、災害、疫病と困難が続いている。これらが常態化することで、人々の生活も変化した。一方で、環境課題に関わる法規制も多く制定された年でもあった。そんな今年のトピックスを編集部が振り返った。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは10月7日、イスラエルの攻撃を開始した。イスラエルの報復により武力衝突は激化。およそ2ヶ月間で1万8,000人を超えた。一部の人質解放や一時停戦はしたが、まもなく戦闘は再開し、いまもなお状況は悪化している。
Point
ユニセフはパレスチナの現状を次のように報告している。パレスチナ全土で支援が必要な人は310万人、ガザ地区で戦争の影響を受けている子どもは100万人、ガザ地区の病院のうち81%が機能不全または最低限の機能しかない状態にある(※)。一年でも一番寒い季節を迎え、支援は急務だ。以下の記事では、緊急支援・寄付先一覧を掲載している。
欧州議会は4月、欧州森林破壊防止法(European Deforestation Regulation、EUDR)を承認した。これによって森林破壊に関連した農産物や製品のEUへの輸入が禁止されることになる。企業がEU市場で製品を販売する場合、2020年以降に非合法で森林が伐採された土地で原材料などが栽培されていないことを証明、“検証可能な”情報の提出が義務づけられる。あらゆるサプライチェーンから森林破壊の要因をなくすことが目的だ。
Point
今後、EU加盟国の批准を経て正式に成立、施行されれば、欧州に輸出している国々、企業は森林破壊に関与していないか、自社のサプライチェーンをトレースする必要がでてくる。同法では、包括的な管理も重視されており、今後森林破壊のリスクにならないか分析・検証も求められている。
今年の夏は特別暑かった。日本は猛暑に見舞われ、世界の平均気温も7月に観測史上最高値を記録した。そんな中、衝撃となったのが、北極海の氷が2030年代にはすべて消失するというニュースだ。気象専門の研究チームが科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に発表した内容によると、温暖化が続き、氷の融解スピードが早まっているためだという。氷がなくなれば、温暖化はさらに進むことになるだろう。
Point
国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球が沸騰する時代が到来した」と警告した。昨年発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次報告書や日本の国立環境研究所なども、地球温暖化には人間活動が関与していることを明言。いよいよ私たちが行動に移さなければならない時が来ているのだ。
今年の夏頃から、世界各国で新型コロナによる規制が緩和され、自由に行き来することができるようになった。2年間というコロナ禍の反動か、今年の夏は各地でオーバーツーリズムと呼ばれる課題が浮き上がった。観光地に一度に大勢の観光客が訪れ、地域住民の生活や環境、景観などにダメージを与えることだ。イタリア・ベニス、フランス・モンブラン、日本では富士山や西表島に入る人数規制が設けられた。
Point
世界遺産などの環境保護だけでなく、地域社会が続かなくなるほどの混雑や混乱は持続可能とはいえない。観光には経済的な利点もあるが、訪れる観光客が責任のある旅行計画をすること(レスポンシブル・ツーリズム)が求められている。
2023年は「持続可能性」について改めて問われるようなトピックが多くあった。これまでは地球課題の主なものとして気候変動が挙げられてきたが、気候変動や情勢に伴いライフスタイルが変化することで、持続可能な選択もまた変化しているのだ。わたしたちは、その度に自分の選択がどのような影響を及ぼすのか、見極めながら選んでいかなければならない。
※unicef|ガザ・イスラエル、一時休戦支援活動、現地状況まとめ ユニセフ最新情勢レポート
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